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ドリトル先生と悩める画家

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第十幕その四

「雪に包まれていると」
「それだけでだね」
「全く違います」
「そんな感じがするね」
「はい」
 実際にというのです。
「別の場所にいるみたいです」
「君がよく感じることだね」
「同じ場所でも季節や時間、気候によって」
「変わるね」
「どんな場所でも」
「そうなんだよね」
「そしてそれを感じ取ることが」
 先生にです、太田さんは目の光を強くさせて述べました。
「大事ですね」
「芸術にはね」
「ですからこの動物園も」
「観てだね」
「何かを感じます」
「だからこそここに来たんだね」
「はい、あとですが」
 太田さんは先生にこうも言ったのでした。
「僕ペンギンが好きなんです」
「ああ、あの鳥がだね」
「はい、好きです」
 実際にというのです。
「愛嬌がありますね」
「そうだね、よちよちと歩いてね」
「あの姿がいいです」
「陸地ではそうでね」
「一旦海に入ると」
 太田さんはペンギン達のそれからもお話するのでした。
「凄い速さで泳ぎますね」
「そうだよ、ペンギン君達にとって海は空なんだ」
「他の鳥達と同じで」
「そう、主な場所なんだ」
「海で泳ぐのに最適の身体なんですね」
「そうなんだ」
 実際にというのです。
「寒い南極の海で長い間泳いで獲物を手に入れる」
「そうした鳥ですね」
「だからあの体型なんだ」
「翼で泳ぐんですね」
「そうしているんだ」
 飛ぶのではなくです。
「あれも進化の一つだよ」
「生きものの」
「そうだよ、海では凄い速さで泳げるから」
「面白いですね」
「そうだね、じゃあ彼等も観るんだね」
「もう観てきました」
 既にという返事でした。
「ここに来て最初に」
「そうなんだね」
「物凄く楽しそうに泳いでました」
「何しろこの寒さだから」
「元気なんですね」
「雪まで降ってね」
「南極みたいに、いや違いますね」
 太田さんは自分のお言葉を訂正して言うのでした。
「南極よりはあったかいですね」
「あそこと北極は違うよ」
「寒さのレベルが」
「僕はどっちも行ったことがあるけれどね」 
 それでもというのです。 
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