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プテラノドンの三兄弟

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第四章

「もうあそこは危なくて餌も少ないからな」
「引っ越してきたわ」
「棲む洞窟は別々だがな」
「また宜しくね」
 こう言って息子達に挨拶をして棲みはじめた、三兄弟は両親が自分達の新しい巣に入ってからまた彼等の間で話した。
「こうなるとは思わなかったよ」
「僕もだよ」
「本当にいい場所に集まるものだね」
 誰もがとだ、こう話すのだった。そして彼等はこの崖で暮らしていきやがてそれぞれつがいを持って別々の穴に移って暮らした。その山の崖において。
 そして彼等から遥か後の世で人間達がかつて山があった場所で多くの化石を見付けた、そのうえで唸って言った。
「ここはプテラノドンの巣だったか」
「そうみたいですね」
「凄い数ですね」
「近くにいい餌場があったんですね」
「天敵もいなくて」
「彼等にとって都合のいい場所だったんですね」
 学者達がプテラノドンの化石達を見て話している、その多くのものを見ながら。
「だからこれだけ集まってるんですね」
「これだけのプテラノドンの化石は滅多にないですしね」
「貴重な発見ですね」
「学術的にも素晴らしいです」
「ここは山だったみたいだしな」
 彼等のリーダーである丸眼鏡の初老の教授が言った。
「プテラノドンは崖に住んでいた」
「そのこともわかりますね」
「そこから空を飛んで生活していた」
「このことからも」
「ああ、しかも群れを為していた」
 教授はさらに話した。
「何かとわかるな」
「全くですね、じゃあ今からですね」
「化石の発掘ですね」
「それにかかるか」 
 こう話してだ、人間の学者達は化石の発掘にかかった。この化石のプテラノドン達の中に三兄弟や両親がいたかどうかはわからない。しかし彼等はそこまでは知らず考えることも想像することもなかった。あくまでプテラノドンという恐竜を遥か後世の人間達の目で見て考えて学術的に調査研究をする為に彼等の化石を発掘するだけだった。


プテラノドンの三兄弟   完


                       2017・3・14 
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