カレーライスかライスカレーか

「ああして延々と」
「あっ、おばちゃん出て来たな」
　食堂のだ、そしてだった。
　彼等はこの店でも注意されて黙った、こうして店には平和が戻ったのだが。
　美稀は店で洋佑と一緒に親子丼を食べてからだった、店を出て彼に言った。
「カレーは好きみたいね」
「何時でも食ってるからな」
　洋佑もそれはわかった。
「間違いなくな」
「そうよね、けれどね」
「それでもな」
「何でなのよ」
　美稀は眉を曇らせどうにもという顔になって言った。
「ああしてどうでもいい議論してるのよ」
「カレーライスかライスカレーかな」
「どうでもいいわよ」
「ああ、呼び名なんてな」
「私はそう思うけれど」
「俺もだよ」
　洋佑も答えた。
「普通はそうだろ」
「美味しかったらね」
「それでいいだろ」
「そうよね」
「普通に食ってればな」
「いいわよね」
「ああ、いいんだよ」
　まさにというのだ。
「ああして言う方がおかしい」
「全く以てね」
「ああしてカレーあるところか？」
「言い合ってばかりなのかしら」
「変な連中だ」
「ええ、理解出来ないな」
「凄まじく必死だけれどな」
　彼等自身はだ。
「誰がどう見ても」
「命賭けてるみたいにね」
「そんな感じだな」
「そうだけれど」
　しかしとだ、美稀はまた言った。
「その必死さはね」
「何でなんだろうな」
「こだわりよね」
　美稀もこれはわかった。
「あの人達の」
「それは俺もわかるよ」
「そうよね、卵が先かと同じで」
「そういえばな」
「そういえばって？」
「自衛隊じゃ呼び名が違うらしいな」
　洋佑は美稀にこの組織の話を出した。
「確か海自さんがカレーライスで陸自さんがライスカレーか」
「あっ、そう呼ぶの」
「あとこっちはカレーライスでな」
　八条町のある関西はというのだ。
「関東はライスカレーだったか」
「そうだったの」
「組織や地域で呼び方違ったな」
「同じカレーでも」
「ああ、それでか？」
「あの人達も言い合ってるの」
「カレーの呼び名でな」　
　味はともかくとして、というのだ。