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嗚呼三十三対四

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第三章

 六回裏に李承燁がホームランを打ちここで井川は降板し橋本がマウンドに登ったが。
 七回にはワンアウトランナー一塁二塁からだった。キャッチャーの里崎のバットが鋭く一閃してそれでだった。
 ボールはホームランとなった、そこからまたランナーが出てベニーのツーランが出た。ロッテは三イニング続けての攻撃で十点をもぎ取った。
 ここで霧が深くなり試合は一時中断となり三十分以上様子が見られたが結局ここでコールドとなった、シリーズでは珍しいコールドゲームとなった。
「コールドかいな」
「あと二イニングで怒涛の反撃やったのにな」
「まずはロッテの勝ちか」
「最初の勝ちは献上したったな」
「けれど明日からや」
 十点取られてもだ、彼等は落ち着いていた。
「こっから反撃やで」
「阪神怒涛の大攻勢や」
「それがはじまるわ」
「また明日や」
「明日の試合からや」
 こう言ってだ、そのうえでだった。
 阪神ファン達は次の試合は必ず、と思っていた。それはデイリーでも同じでだ。
 意気軒昂だった、日本の虎党は平気だった。
「昨日はたまたま」
「今日からちゃうで」
「ちゃんで何か書いてる奴おるけどな」
 プロ野板は早速阪神ネタで盛り上がっていた。
「こんなんすぐ変わるわ」
「阪神の日本一でや」
「こっから四連勝」
「まあそれが実力や」
「こっちは優勝、あっちは二位」
 シーズンの順位のことも話される。
「実力の差は歴然や」
「投打でこっちの方が有利」
「その阪神に勝てるかいな」
「こっからは実力がもの言うで」
「巨人とはちゃうんや、巨人とは」
 関西弁で某青い巨星の台詞も出た。
「ほな球場行こか」
「テレビ観るで」
「ビール用意して観よか」
「楽しんでや」
 こう言ってだ、彼等は応援をはじめた。この日も彼等は彼等だった。
 この日の試合もマリンスタジアムだったが。
「もう霧は出んで」
「コールドにはならんで」
「九回までやるで」
「しっかりとや」 
 ファン達は阪神の勝利を確信していた、この試合においても。そのうえでプレーボールとなった。
 阪神の先発は安藤、ロッテの先発は渡辺俊介だった。三塁側で観る渡辺の投球はどういったものかというと。
「ほんま低いな」
「手が出るところが低いわ」
「最近あそこまでのアンダースロー減ったな」
「おらんようになったわ」
 かつては日本の野球文化と言われたアンダースローだったが。
「ええピッチャーやな」
「そやな、けどや」
「阪神打線に通用するかや」
「今日こそ爆発するで」
「ダイナマイト打線の大爆発や」 
 彼等は早速怪気炎を挙げていた、だが一回は得点がなく。
 その裏だ、何と。
「えっ!?」
「今岡それはあかんやろ」
「何でそこでエラーするんや」
「それはやったらあかんわ」
 彼のエラーでだ、ロッテが先制した。だが一点でだ。
「まあ一点や」
「一点位何でもなるわ」
「今年の阪神は暗黒時代とちゃうで」
 それこそ一点取ることさえ遠かった時代とはだ、この頃の阪神の打線はとかく打つことが出来なかった。 
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