マスコットじゃねーよ。
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モンスター
誰かがいった姿形がどんなに美しくても、知性と理性が無ければそれは野の獣。人と獣の違いそれは理性と知性、知性と理性があるからこそ人は人であるそうだ。
この理屈で言えば姿が獣でも知性に理性が有ればそれは人で良いのだろうか?
人とは何か悩む。人と人外との境界は何処だろうかと悩む二度目の14の頃、中二病ではない。
結論として姿が獣ならどんなに賢くても獣と言うかな……と言っても『この世界だと』違う感じの結論となる。外に出たら人の定義とかバカらしくなるしね。
だって周りがね。
腕がゴムみたいに伸びてる。向こうの人はまるで岩みたいな皮膚。蛇みたいなニョロニョロな胴体の人だっているわぁ……。人が人外ばかりって此は如何に?
どうも死んだと思えばボクは生まれ変わっていた人?です。二度目の名前は八文衣武一と言う。
生まれ変わった当初は前の世界と同じ現代かと思ってれば、丸きり違う世界。この世界には『個性』と言う特殊能力を持つ人々で溢れていた。
個性には見掛けに殆ど変化の無い個性から、まるで怪人や怪物にしか見えない異形の姿となる個性までピンからキリ。炎を出したり首を伸ばしたりする人が当たり前に歩いてる。初めは世界的に妖怪の巣窟かよと震えました。
まぁ…………自分も人外枠ですが。
自分の個性は分類したら異形系。異形系の中でも完璧に人の形をしてない異形系。二足歩行ですらないよ。人の形を全くしてない。
その姿は前世のゲームに出てきたとあるモンスターにソックリ。
栗色の毛で全身が覆わているボディ。
円らな黒目の目。
四足で歩く身体。
狐みたいなもふもふな尻尾。
ポケモンの『イーブイ』にしか見えないねチクショウ。
こんな外見だから心は人間のつもりでも誰からも人として扱われない。人外魔境な世の中でも人として扱われない。
よく身体を弄ばれ、オモチャの様に扱われ、動物の様に扱われた。両親すらたまに動物扱い。
まぁ、ただ、幼馴染み兼理解者の親友みたいな友人もいるからあまり不幸とも言えないか。親友と呼べる相手が居るなら不幸どころか幸運と言えるよね。……と思ってたんだよね。
小学五年ぐらいで幼馴染みの友達に公園に呼び出されるまでは……
あの日の事は今でも覚えてる。
その日は誕生日だった。
友達が持ってきた誕生日プレゼント。
何かなとワクワク。
何故か赤い顔で渡された袋。
口で袋の紐を引っ張り何かなと開けてみた。
プレゼントを二度見した
首輪
紫の首輪。
プレゼントの袋見たら…ペットショップの。
泣いて走った誕生日。
泣いたあの日から何年か。
もうすぐ高校の受験。
幼馴染みとはあの後に疎遠になり、転校したんだよね。
あの首輪の事は有るけど少し寂しい。けど同時にもう会いたくないとも思う。流石に動物扱いされてたの思い出すと……。
まぁ他の異形系とか見るとまだ動物扱いでもマシなのかもしれない。
この世界だと例外は有るけどこの世界では完全異形系の人気は低い。特に怪人の様な見掛けだと犯罪率が高くヴィラン(敵)と見られるから?
ヴィランとは大雑把に言えば個性を利用した犯罪者。
つまり異形系は見掛けだけで犯罪者と見られる事がある。前世的に言えば目付きが悪くてヤンキー扱いされるようなのを更に悪化させたかんじ。
生まれた姿、自分の意思じゃどうにもならない姿で犯罪者と分類されたり本気である。
異形系の個性の人がヴィラン(敵)となるのは、本人のせいより周りのせいが大きいと思う。周りで何度か見たけど異形系の人でイジメや無視の対象にされてたの見たよ。差別されたら社会の敵になるの多くて仕方ない。
……いや本当に恐ろしいよ。
だって幼馴染みと疎遠になってから新しく転校した先の学校で、特にめずらしい感じの悪役ぽい異形系の人が居たけど、泣きそうなぐらい怖かったよ。
第一印象は白い宇宙人。
名前は波動未夢さん見掛けはミュウツー。
見た目に則してというのか念動力とかエスパーみたいな事が出来る個性を持っている。……1度本気を見せてもらったけど……うん、チビったよ。
ソロソロ中学も卒業。
ボクの高校の受験先を波動さんに話すと驚いてた。
「…あの高校に?本気なのか」
「うん、本気も本気だよ。ボクは進学先の高校は雄英高校を目指すよ」
雄英高校それはヒーローを目指す人間が入る超難関高校。No.1ヒーローのオールマイトを始めとした名だたるヒーロー達がここの卒業生。雄英はヒーローになるための登竜門とか言われてる高校。
ヒーローとは人気職業。
スーパースター。
雄英はともかくヒーローを目指す理由、他の職業よりは希望があるから。ボクは異形系でしかも四足歩行……四足歩行で雇ってくれる所とか少ないんだよ。
「………入れる?」
「うーん、学力的には問題無いかな。試験は毎年違うみたいだからなんとも言えない」
頭は良いとは言えないけど、二度目な分のアドバンテージがあるから偏差値的には大丈夫。
「………………」
なんでそんなに渋る感じ?
「……実は私も雄英高校の受験を受けてみようと思ってるんだ」
ミュウくんも!?
やばい、ミュウくんがライバルだと雄英は駄目かな。やっぱり止めようかな。あ、ダメだ、ダメだ!やる前にヘタレてたら……けど、うーん。迷いが出てきたよ。
こんな迷いが有るとダメだよなぁ。
よ…よし!引き返せない様にしよう。
教室、クラスメイトはみんな揃ってる。
タッ!と机の上に立つ。
「ん?なにしてんだ」
「なんだ、なんだ」
クラスメイトの注目が集まる。
さぁ言うぞ。
「ボクは来年はあの雄英高校に受験します!ボクは雄英に必ず合格してヒーローになって見せます!」
自分の突然の決意の気迫の前にクラスは沈黙。いきなり何を言ってるんだという空気。何となくの勢いってあるよね。うん、やって後悔した。
尻尾と耳が垂れ下がる。
「「「キヤァァァー!!」」」
悲鳴が上がる。女の子から、
あ、ヤバイ。
「かわいい!!ヒーローになるより私の家にきてよ」
「衣武一ちゃんはヒーローなんかよりアイドルを目指すべきだと思うよ」
「モフモフ」
「ちょ!?やめ!?」
いやぁぁぁ!!セクハラ!!
「ヒーローと言うよりヒーローのマスコット…」
マスコット枠で悪かったね!?
と言うかミュウくん助けて!
くそぅ!くそぅ。『イーブイ』の姿はヒーローの道をも妨げるのか!
ぎゅ!!
ひ!し、尻尾はだめぇぇ!!
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