ノーネームのバイト人の日常
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前書き
十六夜達がサウザンドアイズに来るところから始まります。
日がくれて看板を下げる割烹着の女性店員に、黒ウサギは滑り込みでストップを、
「まっ」
「待った無しです御客様。うちは時間外営業はやっていません」
…………ストップをかけることも出来なかった。黒ウサギは悔しそうに店員を睨み付ける。そして
(………せめて楓馬さんがでてきてくれれば………)
一人の少年のことを考える。
楓馬とは、サウザンドアイズのメンバーでいつも困ったときは助けてくれたり、たまにノーネームの本拠地に食料をもってきてくれたり、子供達と遊んでくれたりした優しい人なのである。
いまここにいれば、女性店員を説得してくれるだろうか?
「なんて商売っ気の無いお店なのかしら」
「ま、全くです!閉店時間の五分前に客を締め出すなんて!」
「文句があるならどうぞ他所へ。あなた方は今後一切の出入りを禁じます。出禁です」
「出禁!?これだけで出禁とか御客様を舐めすぎでございますよ!?」
キャーキャーと喚く黒ウサギに、店員は冷めたような眼と侮蔑を込めた声で対応しようとしたが、
「……確かに……御客様を舐めすぎているな……店員さん?」
(…!!この声は!!)
黒ウサギ達が固まっていると一人の少年が店から出てきた。少年は黒ウサギ達にむけて無表情で口を開く。
「………すいません御客様。うちの店員が大変無礼を働きました。心から謝罪を申し上げます……………と、まあ謝罪はそこそこにして…いらっしゃいませ、中でお話でもしましょう」
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