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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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33部分:第三話 関羽、趙雲と死地に赴くのことその八


第三話 関羽、趙雲と死地に赴くのことその八

「この青龍偃月刀の錆になりたくなければかかって来い!」
「何っ、青龍偃月刀!?」
「そんなのが何処にあるんだ!?」
「何っ!?」
 言われてそのことに自分でも気付く関羽だった。
 持っていない。そのことを思い出したのだ。
「しまった、持って来れなかったな」
「いきなり出て来て何かって思ったがな」
「飛んで火にいる何かだ。死んでもらうぜ」
「ふん、それでもだ」
 腰にある剣を抜いての言葉である。例えいつもの青龍偃月刀はなくともだ。彼女も諦めるわけにはいかなかった。
「貴様等なぞこの剣で充分だ!」
「ふん、死ね!」
「たった一人で何ができるってんだ!」
 こうして戦いがはじまろうとしている。しかしであった。
 不意に灯りが消えた。趙雲が傍にあった小石を投げてだ。そのうえで灯りを次々に消していったのだ。
「何だ!?灯りが消えた!?」
「どうなってんだ今度は」
「関羽」
 趙雲は彼等が戸惑っているその間にだ。すぐに関羽達のところに駆け寄った。そしてそのうえで関羽に対して言うのであった。
「こっちだ」
「趙雲か、済まない」
「話は後だ。いいな」
「ああ、わかった」
 こうして二人は娘を連れてすぐにその場から消えた。そうしてそのうえで物陰に隠れてだ。あらためて三人で話をするのであった。
「しかしだ、関羽よ」
「何だ?」
「無鉄砲なのはあの張飛ばかりだと思っていたが」
 こう言うのである。三人はその隅に座ってだ。そうして話をするのだった。
「だがそれは貴殿も同じだな」
「ついな」
 関羽は唇を噛み締めて言葉を返す。
「それはだ」
「だが。あれでよかった」
「よかったのか」
「そうだ、よかった」
 趙雲はこうも言うのだった。
「私も何らかの手段でこの娘を救おうとしていた」
「そうか」
「そしてだ。これからどうする?」
 あらためて関羽に問うのだった。
「これからだが。どうするつもりだ?」
「この娘を連れて出る」
 まずはそれだというのだ。
「とりあえずはな」
「そうだな。この娘を置いていくことはできない」
 それに趙雲も頷く。二人で助け出した娘を見ている。見れば楚々とした可愛らしい少女である。
「そうするとしよう」
「ああ、では今のうちにだな」
「うむ」
「あの」
 しかしであった。ここでその娘が言ってきたのである。
「私だけではありません」
「私だけではないとすると」
「まだ他に捕まっているのか」
「はい、実は」
 娘は俯きながらそのうえで話すのだった。
「村の子供達が」
「子供達もか」
「あの連中に捕まっているのか」
「そうです、捕まっています」
 こう話すのである。
「偶然山賊達の通り道を見つけてしまって。そこを通った山賊達に捕まって。一緒にいた私も」
「わかった。そういう事情か」
「ならばだ」
 二人はそれを聞いてだ。あらためて言うのだった。
「その子供達のところに案内してくれ」
「すぐにだ」
「子供達のですか」
「そうだ、その子達も救う」
「だからだ」
 二人はこう娘に言うのであった。そうしてである。
 
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