恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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321部分:第二十六話 袁紹、劉備を迎えるのことその十三
第二十六話 袁紹、劉備を迎えるのことその十三
「ダーリンにね」
「相応しいわね」
「それに」
「この世界を救えるわ」
「さっきから何を話してるんだ?」
華陀はその二人を見ながら問うた。
「二人共、ところでだが」
「ええ、ところで」
「何かしら」
二人は華陀の言葉を受けて彼の方に顔も身体も向けた。
「二人共行く宛はあるのか?」
「行く宛?」
「それなの」
「ああ、この御時世二人だけの旅も危ないだろう」
彼は二人の恐ろしさを知らなかった。
「だから。ここはだ」
「一緒になのね」
「そういうことなのね」
「ああ、よかったらどうだ?」
また二人に言う華陀だった。
「三人でな。どうだ?」
「ええ、それじゃあ」
「喜んで」
二人はその不気味な姿をそれぞれもじもじとさせながら華陀の提案に頷いた。
「ダーリンがそう言うのなら」
「三人で旅をしましょう」
「俺は今困っている人達を助けながら旅をしている」
これが彼の旅の目的だというのである。
「二人の目的は何なんだ?」
「この世界を救うこと」
「それよ」
こうはっきりと華陀に話すのだった。
「それが私達の目的なのよ」
「実はね」
「そうか、わかった」
華陀は明朗に言葉を返した。
「なら目的は同じだな。三人で一緒にこの国を回るとするか」
「ええわかったわ」
「それじゃあね」
「それでだ。御老人」
華陀はここで自分が治療した老人に声をかけた。
「調子の方は」
「何と、これは」
明るい顔で応えて起き上がる老人だった。
「今までとは全然違う」
「そうか」
「何か若い頃に戻ったようだ」
「あら、じゃあただ元気になっただけじゃなくて」
「素からなのね」
「病は根からなおさないと駄目だ」
華陀はこう二人に話した。
「だからだ。俺の針はその根幹から治すんだ」
「名医ね」
「そうね」
そしてだった。二人は華陀をこう呼んだ。
「医者王ね」
「そうね」
「まさにそれよ」
「スーパードクターよ」
「それはどうかわからないが」
華陀はそうした言葉には興味がないようだった。今度の態度は素っ気無い。
「しかしだ」
「しかし?」
「どうなの?」
「医術は仁術だ」
これが華陀の考えであった。
「だからだ。俺はこの世のあらゆる病と戦うんだ!」
「やっぱり凄いわ」
「惚れて濡れちゃいそうだわん」
また身体をくねらせてのそれぞれの言葉だった。
「ダーリン、最高よ」
「もう惚れてどうしようもないわ」
「それじゃあ二人共行くか」
全く動じない華陀だった。
「この世のあらゆる病を倒しに!」
「ええ、行きましょう」
「それじゃあね」
こうしてだった。三人の旅もはじまった。これもまた運命の戦いのはじまりだった。戦いはこの国のあらゆるところで起ころうとしていた。
第二十六話 完
2010・8・16
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