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ランブリング!!

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【RB1】
  【RB第四話】

 二時限目の授業が終わりに近付く中、担任の佐久間弥恵は開いた教科書を閉じる。


「諸君、三時限目は君たちにランブリングバトルを直で見てもらおうと思う。ここ、RB養成学校も朝から夕方にかけて、FRBBが開催されてるのは諸君もご存知だろう」


 流石にGⅢといったクラスの試合は無いものの常時世界各地で開催されているFRBBはここ、RB養成学校でも開催している。

 人工島の中央にある巨大なドームがその開催地だ。

 平日は流石に学生は参加できないが、土日に関しては参加可能だ。

 とはいえ、参加する場合は自前の機体を用意するのが条件だが。

 学校側の訓練機はあくまでも学園での訓練での貸し出しだからFRBBに参加は出来ない。

 一年で参加する者も少なくは無いが、大半は乗っていたRBは鉄屑となるだろう。


「集合場所はドーム入り口だ。迷うようならドームを目指せばいい。それとだ、見る試合はサバイバルランブリングバトルだ。ランカーが来るとは限らないが、可能性はあるだろう」


 時折だがサバイバルランブリングバトルに参加するランカーもいる、サバイバルに関しては八機入り乱れたバトルで全員敵だから実力をつけるにもうってつけなのだ。

 勿論負けたらスポンサーが離れる可能性も高いので本当に参加するランカーは腕に自信のあるものばかりだ。

 それこそ一騎当千といった働きをし、クレジットを荒稼ぎするランカーもいる。

 因みに倒された機体――ボディモジュールに関しては電磁シールドに守られているために破壊する場合は困難を極める。

 故にスポーツとして見るRBバトルは死亡事故等は起きない。

 破壊された機体は直ぐ様牽引用ドローンが回収、安全圏まで搭乗者ごと運ばれる。

 ボディモジュールは電磁シールドに守られているものの、その他のアームモジュール、レッグモジュール、オプションモジュールに関しては守られていない。

 破壊されたら鉄屑になるだけ――特にアームモジュールの破損率はRBバトルでもトップクラスで、これらの大半は使い捨てと判断されてる為か各企業安値の量産品を大量に生産しているのだ。

 規格に関しては実は共通していて、他社のモジュールも難なく装着は可能だったりする。

 だからこそ生産性が高いのだが――日々溢れ出るスクラップの処理が目下の問題となっている。

 この人工島にもスクラップ置き場が散見している――勿論リサイクル可能だが空輸するにしても運輸するにしても土日しか運べないのだ。

 生徒の中にはRBを用いて鉄屑をコンテナに詰めるバイトをしてる者がいるぐらい人手が足りないのが現状だった。

 二時限目の授業が終わるメロディが校内に鳴り響いた。


「では諸君、ドーム入り口前で会おう」


 つかつかと靴音を鳴らし、開閉式スライドドアの向こう側へ消えていく佐久間先生。


「兄さん、ランブリングバトル生で見れますね」

「……退屈な授業よりは断然ましだな」

「うふふ、兄さんったら何度も欠伸してましたもんね?」

「チッ……見るんじゃねぇよ」


 席が後ろの義妹に見られてるのはクルスにとって居心地の悪さをあげるだけだった。


「クルスー、一緒にドーム前まで行かない?」


 アリスがそう言い、近付いてくるのだがその前に由加が立ち塞がった。


「生憎と、兄さんは私と一緒にドームへ行きますので」

「えーっ!? ……てか有川さん、明らかに敵視してるよね?」

「勿論です。兄にまとわりつく悪い虫は排除しないといけませんので」

「むむ……」


 バチバチと火花が舞い散る二人の視線、初日から繰り広げられる光景にはらはらする一同だが――。


「けっ、馬鹿らしい。喧嘩なら外でやれ二人とも」


 クルスの発言に、二人してビクッと反応した。


「に、兄さん。喧嘩なんてしていませんよ。ね、加川さん?」

「も、勿論。喧嘩なんてナンセンス!ね、有川さんっ」

「…………チッ」


 怪訝そうな表情を浮かべて二人を見るクルス。

 ため息を吐くと席から立ち上がり、一人ドームを目指した。


「ま、待ってください兄さん!」

「クルス! 一人で行かなくても!」


 二人は慌ててクルスの後を追った。


「有川くんって、目付き悪いよね?」

「てかめちゃくちゃこえぇ……。な、何か金とか巻き上げられそう」

「そ、そんな訳ないじゃん。……多分」


 目付きも悪ければ口調も悪いクルスの印象はあまりよくなかったクラスメイト。

 時間を見るとそろそろいい時間だったので残された生徒もぼちぼちとドームを目指すのだった。 
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