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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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319部分:第二十六話 袁紹、劉備を迎えるのことその十一


第二十六話 袁紹、劉備を迎えるのことその十一

「では幽州の民はこれで大丈夫ですわね」
「はい、抜かりなく」
「そちらも既に」
「では。心置きなくですわね」
 ここで己の席から立ち上がった。
「行きますわよ」
「はい!」
「いざ出陣ですね」
 こうしてであった。袁紹も大会に向かう。むしろ彼女達の方がである。大会のことが楽しみで仕方がないといった感じですらあった。
 そしてその頃。国の中でまた一つ恐ろしいことが起ころうとしていた。
「ねえ卑弥呼」
「何、貂蝉」
 あの不気味な二人が語り合っていたのである。
「これからだけれどどうするの?」
「そうね。まずはいいおのこを見つけないとね」
 こう貂蝉に返す卑弥呼だった。
「まずはそれからよ」
「この世界は奇麗なおなごはいてもいいおのこは少ないのよね」
 ここでこんなことを言う貂蝉だった。
「普通のおのこにとっては極楽だけれど」
「確かに」
 どうやらこの二人は女には興味がないらしい。
「私達乙女にとってはね」
「地獄よ」
 こう言ってやまない。そこにだった。
「んっ?あれは」
「あら、病気かしら」
 ふと、である。道の端に倒れている者を見つけたのである。
 見ればその者は老人だった。老人は腹を抑えて苦しんでいた。
「ううう・・・・・・」
「御老人、どうしたの?」
「御身体が何処か」
「そうなのじゃ、これが」
 心配する二人にこう答える老人だった。
「持病がのう」
「あら、持病?」
「それは困ったわね」
 このことを聞いて実際に心配な顔になる二人だった。
「どうしようかしら、これは」
「お薬はないし」
「私達医術の心得もないし」
「あるのは乙女の心と武術のみよ」
 かなり怖いことを言っている。
「それでどうしたものかしら」
「本当にね」
「ううう・・・・・・」
 この間にも苦しむ老人だった。
「普段は薬があるのじゃが丁度切らしておって」
「ううん、困ったわね」
「本当にね」
 二人も今はどうしていいか悩んでいた。そこにだった。
「むっ、どうしたんだ?」
 赤い髪の精悍な顔の若者が来た。白い上着の下に黒い服と茶色のズボンという格好である。そのエメラルドグリーンの目の光が強い。
「この御老人は」
「あら、いいおのこ」
「そうよね」
 二人はその若者の姿形を見て言った。
「この人なら私のダーリンに相応しいわ」
「あら、私によ」 
 二人は言い争いもはじめた。
「私のダーリンにこそよ」
「駄目よ、私のよ」
 喧嘩になりそうになる。しかしであった。
 貂蝉がこう卑弥呼に提案したのである。
「喧嘩してもはじまらないわ」
「そうね」
「だからここはね」
「暫くダーリンと一緒にいてどちらがよりダーリンに相応しいかよ」
「確かにするのね」
「そうよ、そういうことよ」 
 こんな提案をするのであった。
 
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