ソードアート・オンライン~白と青の軌跡~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
俺が生きる理由
前書き
今回は長い…かもしれないです。
笑う棺桶討伐はまた後ほどに!
では、本編へ!
”月夜の黒猫団が壊滅した”
その現実を受け止めきれていないまま、俺は攻略に進んだ。
あれから半年が経ち、第50層ボス攻略が今から始まろうとしている。
「……くん、……イくん、ライ君!」
「っ!?」
「大丈夫…?」
俺の肩を揺すりながら心配そうな表情を見せ、顔を覗いてきたアスナ。
「あ、あぁ。大丈夫、ただボーっとしてただけ。」
俺は笑顔でそう言った。
しかし、アスナは納得していないようだったがギルドメンバーの元に戻った。
──アスナには気づかれてはいけない。
俺は腰にある剣を握る。
「ライ、お前……」
「何でもない、クラインは準備しなくていいのか?」
「大丈夫だ、エギルが完璧にしてくれたからな!」
「そうか。」
そして、今回のリーダーが声を発した。
「解放の日のためにー!」
『おー!』
扉が開かれ、攻略組は次々中へと入っていく。
──戦闘の始まりだ。
ガキン!
「ライ君、スイッチ!」
俺がボスのヘイトになった瞬間、アスナとスイッチ。
細剣上位ソードスキル《スター・レインズ》
「アスナ、スイッチ!」
キリトが前に出て、切り付けていく。
「はぁぁぁぁ!」
片手剣上位ソードスキル《フローズン・セイル》
「キリト、スイッチだ!」
「行け、ライ!」
俺はキリトとスイッチし、同時に右側から来た野太刀を剣で受け流し地面へと誘導する。
そして、誘導したことによって出来た左側の隙に入り込み剣を構える。
片手剣上位ソードスキル《フォルト・サーチェンジ》
攻撃を受けてヘイトが再び俺に付いた。
だが、今の俺は硬直しているため動けない。
そんな事はお構い無しに剣が振り落とされ、俺は後方に飛ばされる。
「ぐはっ……!」
「ライ君!」
「アスナは、ライの下に行け!ここは俺達が持つ!」
──やべぇ……HPが残り数ミリ……
俺はポーションを飲もうと手を動かすが動かなかった。
硬直だけでなく、攻撃された余波が残っているのか手は痺れたかのように動かない。
だが、俺からのヘイトは外れない。
ボスはキリト達を反対側に飛ばし、俺の元に近づいてくる。
──あぁ、俺はこれで死ねるのか……サチ、ケータ、ダッカー、テツオ……ごめんな……。
俺は覚悟してゆっくりと目を瞑った。
「あおくーん!!」
一つの声が聞こえるまで。
──今の……声は……。
自分を『あおくん』と呼ぶのは一人しかいない。
気づけば、俺は手元に落ちていた剣を握った。
──まだ動ける……彼女にこれ以上……剣を握らせる訳には……!
すぐそこまで来ていてる死を、俺は弾くかのように野太刀を弾いた。
「…………殺す。」
俺は、現実世界で習った一つである構えをとる。
剣を右手で握り、自分の目線まで持ち上げ肘を後ろにする。
左手は剣に添えるかのように前に向け、左足を前に置き、右足を後ろに引いて軸を真ん中に置く。
所謂、天然理心流の構え方だ。
そして相手の目を見るのではなく────。
シュッ……。
「Check mate.」
その言葉と同時にパリンというポリゴンの音へとボスは変わった。
だが、その音とは別に……
バキン
俺の剣が破壊された。
「……ここまでありがとう。」
俺は礼を言いながら、その場に倒れる。
聞きなれた声が俺の名前を呼んでいる気がした。
気付くと、見慣れない天井だった。
どこかの宿だということは分かるが、あとは何もわからない。
「ここは……ん?」
お腹辺りに重さを感じた。
顔を上げて自身のお腹を見てみると、そこには寝ている幼馴染みの姿。
「アスナ?」
「ん……あおくん!?」
アスナは俺の声に反応したのか、物凄い勢いで肩をガシッと掴んで……
「大丈夫!?どこか痛いところとかは!?」
「お、落ち着いて……」
「落ち着けるわけないでしょ!」
「はいはい、落ち着きなさいよアスナ。ライが話せないでしょ。」
ガチャっと扉が開いたと思えば、現れたのはピンク色の髪の毛の少女”リズベット”と黒髪の少年”キリト”だった。
「リズー……だってぇ……。」
「もー、泣かないの。」
涙を流すアスナにリズが、なだめているとキリトが話しかけてきた。
「大丈夫か?」
「あぁ、あれからどれぐらい経った?」
「3時間…だな。」
「あおくんのばか!1人でまた無茶して!」
「こら、アスナ!リアルネームは駄目でしょ。」
アスナはリズに注意され、ハッとしていた。
「と、とりあえず!君は1人で無茶をしすぎ!」
「別に俺は無茶なんてして……」
「してるの!」
俺の反論にアスナの言葉が重なる。
「何で無茶してるって思うんだよ。」
俺は少しキレ気味に言った。
そんな俺にびっくりしたのかアスナはぎゅっとスカートの裾を掴み、言葉を放った。
「いつだってそうじゃない!1人で危ない目にあって、どうしてそんな死にかけるようなことばかり……!」
「……お前に何がわかるだよ」
「……!?」
「俺に生きる価値なんて無いんだ、俺は約束を……!
何も知らないお前が知っているかのような事言うな!」
──嫌だ、サチ達のようにアスナ達を失うのは。
俺はそう言ってベッドから起き上がり、外に出ようとする。
だが、キリトとリズが止めに入るが俺は2人を睨みながら。
「邪魔だ、何も知らない奴が俺の前に立ちはだかるな。」
「ライ、お前な……!」
キリトは負けじと俺に反抗してきた。
「所詮、お前は何も出来ない子供だろーが。」
──今の俺は誰も助けられない、それならいっその事……
俺は今回のLAで貰った剣をオブジェクト化し、キリト達に向けた。
「俺とお前らはいる世界が違うんだよ。」
──離れよう。
「そんなことない。」
俺は外に出ようと扉を開けた瞬間に声が聞こえた。
「私達は同じ世界にいるよ。」
「……何言ってんの?」
──駄目だ、それ以上言ったら後戻り……
「だって、本当にそう思っているなら。」
アスナは俺の横に来て、微笑んでから──
「そんな辛そうな顔して剣を握らないもん。」
「…………。」
「無理に話してとは言わないよ、でもね。」
気付けば、俺は握っていた剣を床に落とし涙を流していた。
「君がどれだけ罪になることをしても、どれだけ周りから捨てられても、君の生きる価値が無いって言うなら私が君の生きる価値あるって証明する。だから!」
「明日奈……俺……。」
「分かってる、私達を自分から離して危険をなくそうとしてたんでしょ?」
俺は顔を伏せた。
──君には適わないな……
「私は死なないよ。」
「!?」
俺は伏せていた顔を上げた。
「だから笑って?」
この世界に来て、俺が最後に笑ったのは何時だっただろうか。
──デスゲームになる前?
いや違う、きっと。
君たちを失ってから俺は笑っていない。
『ライア大好きだよ、ありがとう。さようなら。』
──もしかして君は最後……
『ライア笑って。』
俺は今は亡き彼女の声が聞こえた気がした。
──そっか……。
俺は久しぶりに笑った。
「あぁ。」
後書き
今回はそこそこ長かったと思います、多分(笑)
笑う棺桶の討伐は後ほど書きますので、お待ちください
では、また次回に!
ページ上へ戻る