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歌集「春雪花」

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 虚しける

  吹かば流るる

   白雲を

 友にし風の

   つれなかりけり



 青空を見上げれば、白い雲が流れてゆく…。

 風はそうして雲を友として吹いているのに、私の声なぞお構い無し…。

 彼はどうしているのだろう…そう呟いてみても詮ないことだと解っているが…。


 風よ…そんな薄情にならず教えてほしい…。

 せめて…この虚しさを吹き飛ばしてほしい…。



 音ぞなく

  澄ませば遠く

   蛙鳴く

 思わば侘し

     わが心かな



 しんと静まり返る夜中…何も聞こえないと思って耳を欹てていたら、遠くから蛙の鳴き声が聞こえていた…。

 相手を求め鳴く蛙…私は彼を求めて鳴くことさえ許されようもないと思い、尚の事寂しくなってしまった…。


 それならいっそ…何も聞こえぬ方が良かったものを…。




 
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