恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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270部分:第二十三話 楓、思い出すのことその一
第二十三話 楓、思い出すのことその一
第二十三話 楓、思い出すのこと
袁紹の陣営は今何かと多忙だった。誰もが仕事を持っていて動き回っていた。
「善光、あの書はできまして?」
「はい、できました」
陳琳が袁紹の問いに答えていた。
「こちらに」
「わかりましたわ。ではすぐにそれを烏丸にいる青珠と赤珠に届けなさい」
「はい、すぐに」
「急ぎなさい。それと」
袁紹は険しい顔で陳琳に話す。
「次は西に向けて書きなさい」
「はい、涼州にですね」
「そうですわ。そこにも」
袁紹は言うのだった。
「兵を送りますわよ」
「ではいよいよ」
「ええ、討伐にかかりますわ」
こう言うのであった。
「姜への」
「はい、それではすぐに兵を」
「わたくしも行きますわ」
彼女もだというのだった。
「わかりましたわね」
「麗羽様もですか?」
「いけませんこと?」
「あの、それは」
「少し」
ここでだった。彼女の左右に控えていた田豊と沮授がすぐに彼女を止めにかかった。
「烏丸の時も出陣されましたし」
「今は」
「駄目だというのでして?」
袁紹は二人の言葉に面白くなさそうにその目を向けた。
「わたくしが出なくてどうするのでして?」
「ですが麗羽様は御出陣になるとすぐに前に出られますから」
「それでは何かあったら」
「大変だというのでして」
「はい、そうです」
「ですから今回はここに留まっておいて下さい」
二人は袁紹を必死に止める。
「御願いですから本当に」
「政治のこともありますし」
「いえ、そういう訳にはいきませんわ」
しかし袁紹は話を聞かない。
「わたくし自ら出陣しあの者達を討伐しますわ」
「全く。戦がお好きなんだから」
「困ったことですよ」
田豊と沮授も主のその性格には呆れるばかりだった。だが袁紹は言い出したら聞かない。それが袁紹陣営の悩みの種だった。
そうしてだ。袁紹自ら西方に出陣するという話は兵達にも伝わっていた。それはまだ烏丸の治安維持にあたっている者達のところにも届いていた。
「また袁紹の姫さん出陣されるそうだぜ」
「あの方も好きだよな」
「全くだ」
ビリーとアクセル、ローレンスが話をしていた。彼等は築いている城の城壁のところにいた。その城から烏丸を治めようというのである。
「戦場に出たらいつも前に出る人だしな」
「俺達はいいが周りははらはらしてるな」
「大将自ら前に出てはそれも当然だ」
三人はこう話していた。そしてジャックもミッキー、リーと話をしていた。
「今度は西か」
「ああ、そうだな」
「また大きな戦争じゃな」
ミッキーとリーは食事を採りながらジャックの言葉に応えていた。
「まあ俺達は戦うことが仕事だしな」
「それとこうした城壁を築いたりすることだな」
「わしは薬の仕事もあるがな」
リーはそちらの仕事もあった。見れば今何か手に薬草を持っている。
「これを飲めば二日酔いも一発じゃ」
「おっ、そりゃいい薬だな」
「俺にもくれるか?」
「よいぞ。しかしここでも戦いおかしなことがあったのう」
リーはここで首を捻るのだった。
「随分とな」
「ああ、そうですよね」
「それは」
ニコルとミハルが来てだ。リーのその言葉に応えた。
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