【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。
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0056話『瑞鳳のお料理』
前書き
更新します。
今日の仕事も終わり、少し背中を椅子に預けてゆっくりとしていた。
見れば時間はもう少しで午後の十時という時間帯。
大淀はもういないために少し手持ち無沙汰になっている。
…そろそろ秘書官を毎日ローテーションで回す事を考えようか。
大淀達だけに負担をかけるわけにもいかないしな。
それになにやら明後日の6月6日の夜に大本営がなにかしらの発表をするという話である。
この時期にしてはゲームで言えば複数の艦娘のグラフィックが梅雨modeに入るだろうメンテの頃間からそれ関連だと思うが…。
…まさかもう次の改二が来るのかもしれないが、ついこの間に長門を改二にしたばかりなのに来るとしたらスパンが早いな。
まぁ、なんなのかを楽しみにしていながらも…この世界では果たして艦娘達は梅雨modeになるのかならないのか果たして…。
そう考えるとそれぞれの季節にあるグラフィックって常時そういう格好をしているわけでもないんだよな。
ゲーム内では次のメンテが終わるまでは常時限定グラだけどこの世界は現実だから普段通りの恰好だろうし。
そう考えると少し残念に思いながらも、そこでお腹が少し空いたのか『くー』という可愛らしいお腹の音が鳴る。
自分で可愛らしいという表現を使うのもどうだかだけど。
《て、提督! 榛名のお腹の音ではないですからね!?》
そこで自身のお腹の音だと思われたくない榛名が出てきてそう言ってくる。
「わかってるよ。これは私のお腹の音だから榛名はあまり気にするな」
《そ、そうなんですけど…やっぱり私の身体でもありますから少し恥ずかしいんです》
「まぁそうだな。そこは我慢してくれ」
《はい…》
「それより何かを食べに行こうか。今の時間だともう間宮は閉まっているだろうし…」
《でしたら鳳翔さんの居酒屋に行ってみませんか?》
鳳翔さんの居酒屋か。
いいだろう、少し摘むだけでも明日の活力になるからな。
「わかった。それじゃ鳳翔さんの所へと向かうか」
《はい》
それで向かう道中でやはり思う事は榛名は何も口にできない状態だから食に対しての意識はどうなっているのだろうかと…。
今まで気になっていたけど中々言い出せないでずるずると引っ張ってきたけどこの際聞いてみるか。
「なぁ榛名…?」
《はい? なんでしょうか提督?》
「榛名ってこういっては何だけど何も触れられないから何も口にできない状態だからお腹とかは空かないのか? 食にたいして意識が下がっていないか…?」
《その事でしたか。はい、直接口にできないのはとても残念なんですけど、提督の食べたものが私にもどういう原理か分かりませんが味とか伝わってくるんです》
「そうだったのか…?」
《はい。ですから提督がお腹が一杯になりましたら私もお腹が膨れるんです》
むぅ…。
ますます榛名の状態がどういう事になっているのか調べたくなってきたぞ。
知的好奇心というのはこういう時に発揮しないといけないな。
だけど私の考えが多少榛名に伝わったのか、
《提督…? 今何かよからぬことを考えていませんでしたか?》
「そ、そんなことは無いぞ。ただだとすると私が忙しい時にまともに食事を摂っていない時は榛名もお腹を空かせているんだなって思って…」
《うっ! うう…提督、酷いです。榛名もできれば金剛お姉様と紅茶とかを一緒にしたいのを我慢していますのに、そんな事を言われたらお腹が空いちゃうじゃないですか》
榛名はそう言ってふくれっ面になってしまった。
うん。そんな表情でもやっぱり榛名は可愛いな。
一人榛名に癒されながらも居酒屋鳳翔へと足を歩ませていった。
…そして到着する居酒屋鳳翔。
よかった。まだ暖簾は下がっていないし明かりはついているみたいだな。
おそらくまだまだ中には艦娘が数人いるのだろうな。………酒飲みが多そうだけど。
とにかく玄関を開けて中へと入っていく。
「いらっしゃいませ。あら、提督でしたか」
「鳳翔さん、こんばんは。まだなにか作れるものはありますか?」
「はい。でも今日は少しとある子の料理の腕を見ていますのでよろしかったらそれを食べてみませんか…?」
「とある子ですか…?」
「はい、そろそろ…」
鳳翔さんが誰かが来る気配を感じたのだろう、厨房の奥から少し高い声が聞こえてきた。
「鳳翔さーん。瑞鳳特性の卵料理ができましたー! って、あれ…? 提督がいりゅ?」
「瑞鳳さん、噛んでますよ。それより瑞鳳さん、よかったら提督にその料理をお出ししたらどうですか?」
「え…でもまだ試作品ですから味は保証できませんよ?」
瑞鳳がそんな事を言っている。
でも瑞鳳はゲーム内設定でも料理は出来る方だったから大丈夫だろう。卵焼き限定かもしれないけど…。
「構わないよ、瑞鳳。今はなにか食べたいからよかったら食べさせてもらってもいいか? 味見も兼ねて食べさせてもらうよ」
「そうですか…? だったら瑞鳳の作った卵料理を食べてみて!」
そう言って瑞鳳はお皿に乗せられた卵料理を私の前に出してきた。
「今日は少しいつもの卵焼きにアレンジを加えてみました。卵の間にちょっと他の食材を細かく刻んで混ぜてみたんですけど…」
「これは………わかめか?」
「うん。それでよかったら味見してみて?」
「わかったよ」
それで箸で一切れ摘んで口の中に入れてみる。
卵焼きの甘さの中にほんのり磯の味が感じられて、だけどどちらも大きく出張はせずに調和している。
だから私は素直に「おいしい」と言葉にした。
それで瑞鳳は両手を合わせて、
「よかったぁ…アレンジの料理はしたことがなかったから不安だったの」
「そうか。そうだ、今度もなにか料理を試作するんだったら呼んでくれないか? 素直に判定させてもらうよ」
「本当? ありがとう! 鳳翔さんの採点も完璧なんだけど他の人の感想も欲しかったの」
それで瑞鳳は「えへへー」と笑いながら、
「それじゃ今度は萩風とか浦風とお料理会を開くから提督も呼ぶから来てね!」
「うん、ぜひ行かせてもらうよ」
それで夜も更ける中、私は瑞鳳の作った料理を味わっていたのであった。
後書き
今回は瑞鳳の料理をメインに書いてみました。
うーん…まだまだ書きたい子はたくさんいるんですけど毎日のネタを考えるのが時間的制約で難しくなってきたかも。
改二とかイベントごとなら話は進むんですけど日常に関しては大体即興で考えたオリジナルですからね。
でも、毎日投稿は根を上げるまで頑張ってみようと思う。
それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。
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