マイ「艦これ」「みほ2ん」
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第29話<バカな司令官>
前書き
撤収部隊が到着する段階になって発生した事件。しかし新たな補給を受けて司令と日向は解決に向けて動き出す。
「敵の身を心配する私は、バカな司令官だと思うか?」
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第29話 <バカな司令官>(改2)
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撤収部隊は直ぐそこまで来ている。
私は日向に言った。
「面倒なことになったな」
「はい」
意外に落ち着いている彼女。
「敵の地上部隊もほぼ制圧された今、逃げ延びるのも簡単ではないでしょう」
ショートヘアーを気にしながらそう言った。
しかし私は気になる。
「確かに丸腰で手負いの敵だからな……今さら我々が心配する事ではないが」
彼女は意味ありげに微笑む。
「もし憲兵に捕まったら? ……ということですか」
それは図星だった。
「そうだ、とてもマズイ気がする」
「……」
もともと日向は冷静で、あまり感情を表に出さないタイプだ。だが察しの良さは秘書艦に次ぐかも知れない。
私は少々、落ち着かない。
「もしアイツが陸軍の手に渡るとどうなるだろうか?」
私の言葉に彼女は続けた。
「米子の陸軍が、どういった方針なのか知りませんが基本的には拷問や尋問は免れないでしょうね」
「陸軍や憲兵は残酷だからな。連中なら容赦なくやりかねんよなあ」
ココまで話をした私は日向の顔を見た。
「敵の身を心配する私は、バカな司令官だと思うか?」
単刀直入に聞いた。
一瞬、間があった。彼女はゆっくりと答えた。
「指揮官と隊員は一心同体であるべきです。司令が敵の身を案じるなら、私も躊躇無くそれに従います」
正直、日向の返事に私は安堵した。恐らくその言葉に偽りはないだろう。
「出来れば深海棲艦が遠くに行かないうちに確保したい」
「はい」
「だが私たちの撤収も迅速にすべきだ。逃げた捕虜が見つかるまで待っているわけにもいかない」
ちょっと悩んだ。
そのとき大淀さんと足柄さんが岸壁に到着した。日向が大淀さんから呼ばれて岸壁へ駆け寄る。
そこで彼女は何かを手渡され指示を伝達されていた。駆逐艦たちも何か荷物を持って来ていた。
「司令……」
日向が私の元に戻ってきた。
「軽機関銃の弾丸の補給と簡易無線機がきました」
さらに日向は大きな荷物を抱えて嬉しそうな顔をしている。
「それは?」
「はい、私の砲塔は無理ですが飛行甲板の軽量版(試作)を夕張が作ってくれました」
「へえ」
思わず声が出た。
「……てことは索敵が出来るのか?」
「はい、瑞雲も来たので可能です」
「おぉ!」
まさに渡りに船だ。
そこで私は指示を出す。
「では予定通り寛代と夕立は担架で搬送。日向と私は逃亡者を探しながら基地へ戻る」
その場に居た全員が驚いた……日向を除いて。
大淀さんが意見する。
「司令、事前には負傷した捕虜がいるという、お話でしたが」
「事情が変わった」
私は周りを見回してから大淀さんに顔を寄せ小声で言った。
「落ち着いて聞いて欲しい、実は捕虜に逃げられた」
「……」
さすが大淀さん、それを聞いても眉一つ動かさない。
「この件は無線連絡も厳禁だ。敵も傍受して奪還に来るかも知れない」
私はチラッと陸軍を見ながら続ける。
「もちろん陸軍や憲兵にも伏せる……当然、彼らより先の発見が必須だ」
私は顔を上げた。
「以上だ。速やかに夕立及び寛代を収容して撤収せよ」
「了解」
大淀さんは敬礼した。
駆逐艦たちがバラバラと路地へ向かう。
夕立は愚痴を言う。
「あぁ、私も車が良かった。詰まらないっぽい」
「夕立、これも訓練と思え! 運ぶ方は、もっと大変なんだぞ」
足柄さんが諭す。
「私、もぉ大丈夫っぽいんだけど」
ぼやきながらも夕立は駆逐艦たちが広げる担架へ向かう。
その後姿を見送りながら私は空を見上げた。
「まだ日差しが強いな」
ただでさえ弱っている深海棲艦(大井・仮)は、この炎天下にウロウロして身体は大丈夫だろうか?
すると日向が言う。
「深海棲艦が心配ですか?」
「ああ。敵……だけどな」
日向は何かを詮索するような表情をする。
私は口には出さないが、あいつは敵でない可能性がある。そんな気がするのだ。
つい口に出た。
「でも私の命を狙っているし。なんだか複雑だな」
日向は微笑んだ。
後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ2ん」とは
「美保鎮守府:第二部」の略称です。
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