恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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227部分:第二十話 公孫賛、気付かれないのことその三
第二十話 公孫賛、気付かれないのことその三
「噂には聞いていたが」
「本当に誰だかわからなかったわ」
「何か目立たない人ですね」
香澄もこっそりと一同に囁く。
「側にいてもわからない様な」
「皆、白々ちゃんだよ」
その証拠に劉備はまた真名を間違えていた。
「私の古い友達なんだ」
「白蓮だ。同じ師匠の下で学んでいたのだ」
恒例のやり取りからだった。全てははじまった。
こうして劉備達はその公孫賛の行為で桃家荘に入ることになった。すると孔明はこの村にすぐに城壁を築き壕を掘らせたのだった。
「はい、ここはこうですね」
「こうですね」
「これでいいんですね」
「はい、御願いします」
設計図を見ながら兵士達や協力を申し出た村人達に言う。兵達は公孫賛の兵達である。
「ここにかなりの物資や兵隊さん達が来ますし」
「それでこうして城壁や壕をか」
「それだけではありません」
孔明は関羽の問いに答える。
「まだあります」
「理由は他にもあるのか」
「この村の将来の守りです」
孔明はそこまで考えているのだ。
「ですからこうして壁と壕をです」
「築いておくのか」
「備えあれば憂いなしです」
孔明はまた言った。
「ですから」
「そうか、そこまで考えているのか」
関羽は孔明のその深謀に感心した。
「流石だな」
「いえ、そんな」
褒められるとだった。孔明はその顔を赤くさせた。
「私はただ」
「いや、これでこの村は守りを手に入れた」
関羽はこのことをまた話す。
「それはいいことではないか」
「はあ」
「貴殿によりこの村は救われる」
関羽は微笑んでさらに言う。
「これを善行と言わずして何と言うか」
「そうね。それはそうと」
「どうした?」
関羽は黄忠の言葉に顔を向けた。
「何かあったのだ?」
「斥候に出た鈴々ちゃんに翠ちゃんだけれど」
黄忠は二人のことを話すのだった。
「三日戻ってないけれど大丈夫かしら」
「そうだな。気になるな」
趙雲もそれを話す。
「少し見に行くか」
「そうだな、行こう」
関羽も趙雲の言葉に頷く。
「探索にな」
「そうするか」
こう話してだった。二人で馬を出して探索に出た。するとであった。
まず張飛はだ。一人の大柄な男と対峙していた。
その張飛に関羽が声をかけた。
「おい、鈴々」
「愛紗なのだ?」
関羽の言葉を背に受けながら問い返してきた。
「来てくれたのだ」
「何だ、この大男は」
「わからないのだ。もう三日こうして戦っているのだ」
「決着がつかないのか」
「何か物凄く強いのだ」
こう言うのであった。
「三日間時々御飯を食べながらこうして戦っているのだ」
「その通りだ」
男の方からも言ってきた。見れば日の丸の鉢巻をしていて下は白いズボンの様な服に下駄である。上半身は裸で細い目と四角い顔、角刈りである。
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