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繊細な猛将

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第二章

「どうもな」
「そうなんですか」
「そう思うがな」
「そうですか、じゃあ」
「じゃあ?」
「わかる時を待ちますか」
 ボルトはあっさりとだ、キャリーに言った。
「そうしますか」
「待つのか」
「はい、迂闊に近寄れない人ですよね」
「怖いからな」
 何といってもとだ、キャリーも答えた。
「ちょっと変なことをしていたら雷だからな」
「そうした人ですから」
「じろじろ見たりするよりもか」
「わかる時を待ちましょう」
「そうするべきか」
「そういうことで、じゃあ今日は」
 ボルトはあっさりとした口調にキャリーにこうも言った。
「寝ましょう」
「ああ、明日も何があるかわからないからな」
「ドイツ軍もしぶといですしね」
「そうだな、アフリカでもこのフランスでもな」
 ノルマンディーに上陸はしたがだ。
「連中はしぶといからな」
「急に攻めてきたりしますし」
 夜でもだ。
「寝られるうちに寝ておきましょう」
「そうするか」
「はい、それじゃあ」
 こう話してだ、二人は残りのバーボンを飲み干してそのうえで彼等のテントに入って寝た。その数日後ドイツ軍との戦いになったが。
 キャリーは前から来たドイツ軍の戦車部隊を見てだ、ボルトに言った。戦車は十両程、どれも重装の自走砲厳密に言えばそうなるエレファントだった。
「いいか、ここはだ」
「どうされますか?」
「撤退の必要はない」
 こう言ったのだった。
「こっちは歩兵、相手は戦車だがな」
「ではここは」
「バズーカを出せ」
 この兵器をというのだ。
「それの一斉射撃だ」
「それで、ですか」
「戦車を吹き飛ばすぞ」
 そうするというのだ。
「いいな」
「大胆ですね」 
 キャリーの決断にだ、ボルトはこう返した。
「まさかそうするとは」
「何を言っている、大胆不敵であれだろ」
「将軍のお言葉ですね」
「だから俺達もだ」
「大胆にですか」
「幸いバズーカも多くあるからな」
 彼等の中隊にはだ。
「どんどん撃て」
「そうしてですか」
「戦車を吹き飛ばしていけ」
「わかりました」
「車体は狙うな、キャタピラを狙え」
 こうもだ、キャリーは命令を出した。 
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