魔法

　　　　　　　　　　　魔法
　中学生花守華子はこの時悩んでいた、あどけないが大きな丸い瞳と紅の唇が目立つふわりとした黒髪をロングしているその外見で言うのだった。
「好きか嫌いかね」
「真壁君がよね」
「華ちゃんをどう思ってるか」
「それが問題よね」
「そうなのよね」
　友人達にこう言うのだった。
「果たしてね」
「好きだからね、彼のこと」
「だからよね」
「どうしても気になるわね」
「言いたいけれど」
　告白をだ、華子は言った。
「私もね、けれどよ」
「果たしてね」
「彼はそれを受けてくれるか」
「告白してもね」
「それが問題よね」
「若しもよ」
　華子はクラスメイト達に深刻な顔で言った。
「告白してもね」
「断られたら」
「嫌って言われたら」
「その時はね」
「誰だってね」
「そう、嫌でしょ」
　それもこれ以上はないまでにだ。
「私まだ誰にも告白したことないけれど」
「若し振られたら」
「それで酷い振られ方したらね」
「もう立ち直れないわよね」
「そうなるわね」
「だからね」　
　そう思うからだとだ、華子は深刻な顔で言うのだった。
「周治君が私をどう思ってるか」
「まずはそれを知りたい」
「そこからよね」
「それでよね」
「どうするかよね」
「ええ、好きでなかったら」
　彼が自分のことをとだ、華子は自分が望んでいないことを今はあえて言って最悪の事態を想定したうえでさらに考えていった。
「もう諦めるけれど」
「その時はね」
「もうそれでなのね」
「華ちゃんも諦めるの」
「そうするの」
「ええ、けれどね」
　それでもというのだ、最悪の事態を想定してからさらに。
「若しも彼も私のこと好きなら」
「その時はよね」
「告白するわよね」
「やっぱり」
「その時は」
「絶対にね」
　意気込みを見せてだ、華子は皆に答えた。
「そうするわ」
「それしかないわよね」
「彼が好きなら」
「もうね」
「だから知りたいのよ」
　是非にと言うのだった。
「私もね」
「真壁君の気持ち」
「それを」
「誰かに聞こうかしら」
　こうもだ、華子は考えた。