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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第四章 RE:BIRTH
  研究機関の兵器たち



「ここですか?」

「うむ、到着したぞ」


一同が戦いの場にいる中、エリオと卑弥呼はまた少し離れた場所にいた。

そこは封印地から五百メートルほど離れた岩場の上。
そこにもまた、封印地と同じように岩が立っていた。


「始めるのでな、あとは任せたぞぃ」

「はい」


そしてそこに、卑弥呼が腕を突っ込む。
こちらの作業は、順調だ。



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刃が舞い、刃が散る
鉄翼刀を相手にする四人は、その中を潜り抜けていく。


一方四人を相手にする翼刀は、さっきまで蒔風と行っていた近接は避け、刃の射出による攻撃しか行っていない。

それもそのはず。
四人にはわからないことだが、実をいうと翼刀は「この四人」との戦闘記録がない。


「EARTH」の様々なメンバーの模造戦士を作り上げた機関だが、この四人は「EARTH」とは深くかかわっていないメンバーだ。

川神百代は友人関係であって、メンバー登録していない。
泉戸裕理は登録してても太転依問題専門としてしか動いていなかった。
羽入は立場こそ「元神様」だが、普段はただの学生。
ハクオロもフォーティーンの戦いに参戦したがそれだけだ。


本部に来るのも稀だし、主に(一名を除いては)戦うメンバーではないのだ。



だから、こうして様子を見ている。
相手の動き、攻撃方法、回避方法などを。


しかし、その思惑は簡単に覆される。



ドンッッ!!

「ハハッ!面白い剣使うなぁ、お前!!」

「!!?」



その刃の弾幕、いうなれば刃幕の中を直進し、川神百代が翼刀の胸ぐらをつかみかかってきた。
無論、回避などはしていない。


「川神流瞬間回復!!ではここから・・・・」

キィイイいいい!!!

「お楽しみの時間だな!!!」

ドゴォッッ!!


翼刀の目の前で百代が発光し、そのままエネルギーをばらまいて爆発した。


川神流大爆発

自分の体内に気力をめぐらし、それを一気に爆発させるものだ。
無論、使用者自身もダメージを負うが彼女の場合は瞬間回復で治ってしまう。



「そらぁ!!」

「!!」


ブワォッ!!とその爆発の煙の中から翼刀が転がり出て、そこに百代の蹴りが放たれる。
それを腕でガードする翼刀。

バキリという音がして、骨が砕けた。


ドォン!!



そして、吹っ飛ぶ身体。
川神百代の蹴りは、そうそう受け止められるものではない。



「これ・・・・」

「もうあの人一人でいいんじゃないかな?」


それを眺める残りの三人。
羽入と裕理がどうしたもんかとつぶやいた。
だがハクオロだけは、吹き飛んだ翼刀を眺めていた。


「まだだ!!百代殿!!!」

「なに?」

ドウァッッ、バガァッッ!!!



直後、ハクオロの言葉と共に翼刀が飛び出し、百代に向かって突っ込んでいった。
翼刀の拳を百代が受け止めるが、その初撃の一発で百代の方までの骨が砕ける。


「う・・・おぉお!?」


ブンッッ!!という音がして、百代の体が先ほどの翼刀のように勢いよく飛んでいく。

それを一瞬目で追うハクオロと裕理。
羽入は百代のもとに駈け寄って行っていた。


「大丈夫なのですか!?」

「むぅ・・・まさか瞬間回復を一発で真似られるとは思わなかった」


百代の視線の先の翼刀は、すでに腕をブンブン振るってハクオロと裕理に襲い掛かっている。
さっきの百代の一撃は確実に翼刀の腕を砕いていたはずにもかかわらず、だ。


「だがまぁ私のももう治った」


少し困ったような顔をした百代だが、彼女の傷もすぐに治る。
羽入の頭を撫で、立ち上がって気力を溜める。


「これは一人じゃ勝てないかもなぁ・・・・」

「え!?」

「負けないが、勝てないだろうな。だからサポートを頼むさ」

「は、はい!!」



今は剣を持っていない翼刀だが、それでもハクオロと裕理を押しのけている。
力を合わせる必要がある。


四人が、力を合わせて立ち向かう。



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「よっし!!俺は行ける!!天道さんは?」

「俺はまだだ・・・翼人の回復力にはかなわないな」

「いや、ほかのことでずば抜けすぎですからあなたは」


そう会話を済ませ、一刀が走り出す。
とりあえず、向かうのは炎に囲まれた森林だ。



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「あっははははは!!」

「クッ、オォッ!!」



炎に囲まれた森の中、クラウドと超能力を駆使する男が戦っている。
しかし男はクラウドとまともにぶつかろうとはせず、フヨフヨ浮いてクラウドから一定の距離を取って波動を放ってくるだけだ。

その波動を剣で受け、力任せに投げ飛ばすようにしていなしていくクラウド。



ギチィッッ!!

「オグッ!!!」


しかし、そこでクラウドの動きがビタリと止められてしまう。
そこに周囲の炎が渦を巻いて襲い掛かって行った。

クラウドは身体を縛るそれを強引に振り切り、剣を振るってその炎を吹き飛ばす。
そしてそのままその炎を飛ばしていくが、男の前で炎は弾けて消え行った。


「無理無理!!お前じゃ僕に勝てないよ!!なんたって僕は――――」

ガァン!!


意気揚々とクラウドに話しかける男。
しかし、その言葉はクラウドの刃によって打ちとめられていく。

その刃は男の前で見えない壁に防がれてしまっているが。


「本当に人の話聞かない人だね」

「言ったろう」

ドゴッッ!!

「うぐっ!?」

「興味ないね」


フッ、と笑いながら、クラウドが剣を押し付けた状態から男の腹に向かって足を振り上げた。
それを男は何とか受け止めたようだが、若干遅かったらしく、鈍い痛みが浸透していく。


「やはりお前自身の耐久力は低いみたいだな」

「は、はは!!そりゃそうさ。僕が本気を出せば、誰も一歩も動けないんだから!!」



「じゃあ、やれよ」



「・・・・・え?」


今まで手加減してやってたんだという男の言葉。
それにクラウドが、じゃあ全力で来い、と言い放った。


臆することなく、油断もなく。
その目には、確実に打ち破れる、という気概に満ちていた。


「何その目・・・お前僕を舐めてるだろ」

「舐めるも何もない」

チャキ

「興味がない。さっきからそう言ってるだろ」


クラウドが剣を構える。
その態度に、男が額に青筋を立てる。

うっすらと浮き上がったそれは、徐々にはっきりと浮き上がり、周囲の地面を陥没させ、その感情を爆発させた。



「コ ロ ス !」

「来い(・・・と・・・・うまくいくといいんだが)」


クラウドがニヤリと笑いながらも、その念動力の力に少し冷や汗を垂らす。

目の前には、見て明らかに分かるほど空間を歪める力場。
それが男の二本の腕からそれぞれ噴き出してきた。

それは鞭のように男の両腕から伸びており、ヒュンヒュンとクラウドの周囲を覆っていく。



「これは・・・・」

「捩じれ行く空間の波に、呑まれて砕けてバラバラになっちゃいなァ!!!」


そして男の言葉通りに、力場鞭の旋回によってその場が電撃のようなものを放ち始め、歪みが一気にクラウドの体を叩いた。


「喰らえェ!!念動術―――」

ズゴゥッッ!!


―――捩次亜(ネジレジア)!!!


ギュィッ、ズゴンッッ!!!



空間が締め上げられる音
空間が陥没する音


そんなありえない音がして、一体が粉塵に消える。


そのあとには、男の笑い声。


それが空間に響いていた。




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「到~~~~~着ゥッッ!!!ダぁッッ!!!」

「ゴッ、パァッ!?」


一方、G4と四人の戦場に、ようやっとして蒔風が合流した。
それと同時に一撃蹴りをぶち込み、砲台を粉砕して身体に衝撃をぶち込む。


嫌に簡単に入るものだと思うが、G4はシグナム、ランサーと対峙していたし、遠距離からは砲撃(なのは)音撃(ヒビキ)の脅威に晒されていたのだ。

そこに気配を絶って駆け込み、完全に不意打ちをしたらそりゃ命中もする。



G4の体が少しだけ浮き、地面を転がってゆく。
そして、蒔風が決まった、と言わんばかりに決めポーズ。

酷い男である。


「蒔風・・・・」

「ん?どうしたよ。そんながっくりして」

「いや・・・考えたら負けだな・・・・」

「?」



ランサーが呟き、シグナムがこめかみに指を当ててやれやれと頭を振るのを見て、蒔風がきょとんとする。

その瞬間



ガッ、ゴンッッ!!!



という鋼を打ち据える音が二重にして、G4が蒔風に向かって突っ込んでいった。

パイルバンカーを脚から生やし、その射出によって一気に向かってきたそのG4を、蒔風が両足を踏ん張って、両腕で受け止める。
が、突っ込んできたG4の腕にガキョン、と再び現れるパイルバンカー。

その機構の隙間からブシュッ!!と蒸気が噴き出て


「やバッッ!!?」


バギャッッ!!!と蒔風の顔面に向かって鋼の杭をブチ込んだ。



「蒔風!!」

「舜君ッッ!!!」



その光景を見て、一同が叫ぶ。
蒔風の上半身が大きく仰け反り、辺りに鮮血が噴き出す。


「~~~~ッッ!!ドラァッッ!!!」


だが、その杭は蒔風の頭を貫いてはいなかった。
蒔風が仰け反った体勢から、無理矢理に蹴りを放ってG4の顎を狙う。

それを容易にG4が回避し、そこに響鬼とシグナムが切り掛かって相手を引き受けていく。



「舜君!大丈夫!?」

「心配すんな。これくらい大したことはない」


そう言う蒔風だがしかし、額からはダラダラと血が流れ、視界を朱く染め上げている。
そこをグシグシと拭って、蒔風が大声を出して呼びかけた。


「響鬼さん!!!」

「なに!!!?」

「翼刀の方に行ってもらえますか!!!」

「オッケィ・・・・じゃあこいつは任せたよッ!!!」

ドドンッッ!!!


蒔風の呼びかけに響鬼が応え、音撃を以ってG4の押しのけて蒔風の指示した方向に走る。
それを追って行こうとするG4だが、それを蒔風とランサーが阻んだ。


「行かせねぇぜ?」

「あぁ、なんせこの「妖怪・心臓貰い」が心臓欲しいって言ってるからな!!」

「俺のセリフを変なキャラ付けに変えんじゃねェ!!!」



茶番をする二人だが、G4の背後にはなのはとシグナムもまわりこんでいる。



それを見て、マスクの下で、男が笑う。


「へぇ・・・いいねぇ・・・」

「あん?」

「いやいや、やっと楽しい戦いが出来そうでよ。翼人がいるなら、最高に楽しそうだ!!」

「・・・・」


オォオオオお!!と気迫を吐きあげ、男が戦いに対する覚悟をようやく決める。


そして、その瞬間



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「ヌォァッッ!!!」

「!?」

ギィン!!!!


クラウドの大剣が、宙に浮くエスパー男の力場に阻まれて止まる。
しかし驚愕の表情を露わにしているのは、止めている男の方。


「お前、確かに力場の奔流に飲まれて!!!」


そう、確かにそのとおりである。
クラウドは確かに、この男の力場による空間のねじでに巻き込まれたはずだ。

しかし、こうして男に大剣を振り降ろして襲い掛かっている。
実際には無傷ではなく、服が所々千切れ、身体の各所から血を流してはいるが。


「知らないのか?」

「なにを?」


その男に対し、クラウドが答えを教えてやる。
静かに応えるクラウドの言葉。


「翼人の力は、あらゆる力に変換可能だ。気力、魔力はもちろんのこと、その多様性は無類だ」

「ま・・・さか・・・!!!」

「そうだ。あれだけ大きなものを見れば、その力の使い方だって変換は可能だろう?」



そう、クラウドはあの瞬間、相手の力を解釈し、翼人の力を以ってそれに変換、剣を二刀にしてそれぞれに纏わせ振ることあの歪みを脱出していたのだ。


だが、それでも完全には無理だった。
男の念動力はあまりに協力で、打ち消すことはかなわず、こうして大きなダメージを追ってしまっている。



「そう・・かい・・・!!でも、それを繰り返したらどうなるかな?この力に関しては、僕の方がずっと上だよ!!!」


ギュォッ!!


男のその言葉通りである。
相手の力の方が上だ。

いくら理解して中和できるからと言っても、相手はクラウドの動きを封じ込められるほどの念動力の持ち主。
中和してそれを開示しても、相手の捩次亜が飛んでくる方が早い。


しかし、クラウドはその言葉に対してフッ、と力を抜いて宙に浮く男から離れて地面に着地した。


「ああ、そうだな。だから――――」

「流――――星―――――!!!」

「ん?ウぁッ!?」

「バトンタッチだ」



「―――――剣ン!!!!!」




ゴギィッ、ギャァッッッ!!!!




とんでもない摩擦音。
まるで黒板を引っ掻いた音の二十倍はあるような音を掻き鳴らし、男の力場と一刀の流星剣が衝突した。


ガチガチとぶつかって止まる流星剣を、一刀がより押し込もうと力を入れ、それに対して念動力で男がそれを受け流そうと少しずつ脇に逸らしていく。


「う・・・アぁあああ!!!」

ブンッッ!!ザッシャァッ!!!


そしてそれを逸らし切り、一刀がスライディングするようにしてクラウドの横に到着した。



「ごめん!遅くなった!!にしてもなんて奴だよ・・・流星剣を流したぜ!?」

「いや、いいタイミングだ。あいつの力はかなり強い。俺も動きを止められるくらいだ」



こうして、二人の翼人がそろう。

一人は戦士、一人は賢者の翼人。
しかも後者は、多種多様の力を使うことに特化した者。




「じゃあ」

「ああ」


「「行くぞ!!」」




二人が意気込み、剣を向ける。
切っ先の直線状には、へぇ、という顔をしてにやつく男。



戦いは、終わらない。





to be continued
 
 

 
後書き

クラウドが相手をするのは超能力戦士です。

こいつがいじれるのは「空間」であって「時空」ではないので、世界のゲートは開けません。
その力で空間を捻じ曲げ、それが戻ろうとする反動で相手を粉砕するのが得意な奴です。
その為に感性を研ぎ澄ませる目的で、少し少年風になってます。
まあ見た目は二十代後半なんですけど


ちなみにこいつの技名
適当に叫ばせようと思ったけどウヲォオ!!とかじゃなんか違うと思ってテキトーに付けました
元ネタは電磁戦隊です。



一方おなじみG4さん

こいつの攻撃方法考えるのがもう大変ですよ
下手したら単調になりますからね。


こっちには四人で相手してもらってます。
こいつのクロックアップはハイパーのチョイ手前くらいまで速いです。
時間は越えられないけど、かなりやばい速さということで。

そして不意打ち上等蒔風登場。
お前ホントに主人公かよ。

入れ替わりで翼刀の方には響鬼さんが向かってますね。



翼刀自身の強さは、百代と渡り合ってるあたりかなり上位に食い込む強さです。

翼人と戦えるというのも、決して渡航者というアドバンテージがあるからというわけじゃないんですね。


エリオと卑弥呼は別働隊です。
彼らは彼らの仕事がある。




ではまた次回

 
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