真田十勇士
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巻ノ九十 風魔小太郎その十四
「そうなっておる、わかったな」
「はい、それでは」
「我等はこのままですな」
「源次郎様がおられずとも」
「おられる様にしておく」
「そうされますか」
「そうじゃ、しかしあ奴はな」
幸村、彼はというと。
「わしより名を残すやもな」
「大殿よりもですか」
「そうなられるやも知れませぬか」
「うむ、ああして修行に励むのを見るとな」
あえて九度山から出てまでして修行に励むのを見ればというのだ。
「そうも思える」
「ですか、では」
「大殿が立たれればですな」
「源次郎様は大殿以上にですか」
「名を挙げられますか」
「若しわしと源次郎が共におれば」
機が熟したその時はというのだ。
「必ずやことを為せる」
「左様ですか」
「そうなりますか」
「では、ですな」
「源次郎様はその時は」
「わしより名を挙げてもらいたい」
父としての言葉だった。
「心からそう思っておる」
「左様ですか」
「では、ですな」
「そのことを思いつつ」
「そのうえで」
「わしはあの者達を見守っておる」
幸村、そして十勇士達をというのだ。
「そして大助も時が来れば」
「あの方も修行ですな」
「それに励まれますか」
「そうなろう、しかし源次郎は厳しい者ではない」
幸村のこともだ、昌幸はわかっていた。
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