恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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209部分:第十八話 劉備、関羽達と会うのことその五
第十八話 劉備、関羽達と会うのことその五
「とはいっても貴殿等の知っている漢ではない」
「漢っていうと清の」
「ああ、昔の名前だよな」
「それじゃあ僕達は」
「昔に来たってわけか?」
「昔であって昔でないようだな」
こう二人に告げる。
「どうやらな」
「あの、何かあまり」
「意味がわからないんだがな」
「そうでしょうね。私達も最初はそうでしたし」
今度は太史慈が二人に話す。
「しかし御二人だけではありませんので」
「他にも貴殿等と同じ者達がいる」
「というと」
「覇王丸達がいるのか?」
閑丸と骸羅は顔を見合わせる。身体の大きさが違い過ぎ骸羅は見下ろしている。
「そうなりますよね」
「そうだな」
「覇王丸という者は知らぬが」
諸葛勤はその名前には答えられなかった。
しかしそれでもだ。こう話すのだった。
「それでも。どうも多くの者がこちらに来ているようね」
「その様ですね」
「そういえばナコルルだったかしら」
建業からの早馬から聞いた話である。この早馬から妹のことも聞いているのだ。
「その者も来ていたそうだけれど」
「ナコルルさんですか」
「あいつも来ていたのかよ」
「知っているようね」
諸葛勤は二人がその名前に反応したのを見て述べた。
「どうやら」
「ええ、よく」
「知ってるぜ」
二人はここでようやくはっきりとした顔になった。
「そうですか、ナコルルさんもですか」
「この世界に来ていたのか」
「藍里殿、やはり」
「そうね」
ここで二人も顔を見合わせて頷き合う。そのうえでまた二人に言う。
「それでだけれど」
「はい」
「それで何だ?」
「我が主に話してから正式に、となるけれどね」
こう前置きしてからだった。
「貴方達これから行くあてはあるかしら」
「残念ですがそれが」
「この世界のことはさっぱりわからないからな」
二人はまた困った顔になった。そのうえでの言葉だった。
「ですから。ちょっと」
「どうしたものか困ってたんだよ。そっちのお侍さんに声をかけられるまでな」
「侍というのはわかります」
太史慈が二人の言葉に答える。
「あかりさん達から教えてもらいましたので」
「あかりさん?」
「何か聞いたことねえな、その名前は」
二人にとってはその名前も不可思議なものであった。ついついいぶかしんでしまう程だった。
「とにかく。これからですが」
「どうしたものか困ってるんだよ」
「わかったわ。だから孫策様にお話してから正式になるけれど」
「私達と一緒に働きませんか?」
二人はこう閑丸達に提案する。
「孫策様のところでね」
「それでどうかしら」
「孫策様は確か」
「このお侍さん達の主君だな」
二人は兵というものをよく知らなかった。彼等を見ても侍としか思えない。これは彼等の時代の日本の感覚に他ならなかった。
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