恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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205部分:第十八話 劉備、関羽達と会うのことその一
第十八話 劉備、関羽達と会うのことその一
第十八話 劉備、関羽達と会うのこと
深い森の中にだ。二人の少女がいた。
一人は見事な金髪を腰まで伸ばし赤紫に輝く目をしている。背は高めであり黒いドレスでその身体を覆っている。顔立ちはまだ幼さが残りそれがいささか長身といささかアンバランスさを醸し出している。すらりとした身体だ。
もう一人は凛とした顔の青い髪を左右で団子にしてまとめた少女であり背はその金髪の美女よりも高い。青い目の光は濃くそして強い。かなり大きな目で口も大きめだ。耳には槍の形のイヤリングがある。
服は半ズボンでありそれは黒、そして上着は袖がなく紫である。その二人が今森の中にいた。
まずはだ。青い髪の少女が金髪の美女に声をかけた。
「諸葛勤殿」
「藍里でいいわよ」
美女はこう少女に返した。
「太史慈殿」
「左様ですか。しかし私も」
「貴女も?」
「はい、飛翔と御呼び下さい」
少女もこう言ってきた。
「真名で」
「わかったわ。では飛翔」
「はい、藍里様」
「もう少しだったわね」
諸葛勤はこうその少女太史慈に問うた。森は緑でありかなり深い。しかも温度もかなりのものである。その中を二人で進んでいるのである。
「その場所は」
「はい、砦を築くにはあそこが一番です」
「一度見てみないと」
ここで諸葛勤は考える顔になり右手を自分の口に当てた。
「そうでないとね」
「わからないというのですね」
「ええ、山越を攻める足懸かりとしての砦」
それだというのだ。
「それは是非とも築かないとならないから」
「思えば山越とも因縁がありますね」
「確かに」
諸葛勤は太史慈の言葉に頷いた。
「先代の孫堅様から攻めているけれど」
「容易に服属しませんね」
「粘り強いわね、実にね」
「強いだけでなく地の利もあります」
「この山の中は」
太史慈はその森の中を見回していた。遠くには山が幾つも連なっている。
「まだ我等の勢力圏ですが」
「しかしその境に砦を築く」
「はい、そのうえで山越を攻める」
太史慈も言う。
「その為にです」
「孫堅様もそうされたのだったわね」
諸葛勤はここでふと話した。
「この辺りに砦を築かれて」
「そのうえで攻められようとしたのですが」
「暗殺された」
諸葛勤のその声が曇る。
「何者かに」
「それが去年のことでした」
太史慈もだ。その声を曇らせる。
「そして今こうして」
「孫策様がまた攻められる」
「はい、今度こそ山越を服属させましょう」
太史慈は言葉を強いものにさせた。
「是非共」
「ええ、何があってもね」
そんな話をしてだ。山の中を進む。その中でだった。
ある山の頂上に出た。そこは広く開けていた。
二人はその頂上に出てだ。また話をした。
「ここです」
「いい場所ね」
諸葛勤は太史慈に対して満足した顔で頷いていた。
「ここなら遠くまで見渡せるし」
「大軍が入る砦を築けます」
「しかも山越の本拠地を見渡せる」
見れば連なる山の一つにだ。集落があった。二人は今はその集落を見ていた。
「充分にね」
「はい、ここしかありません」
「水はどうかしら」
諸葛勤は今度はこのことを尋ねた。
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