レーヴァティン
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第八話 神殿にてその一
第八話 神殿にて
久志と英雄は夜はそちらの世界にいた、久志はまずは自分達の周りを見回してそのうえで隣にいる英雄に言った。
「じゃあ今日もな」
「この世界でもだな」
「やっていくか」
こう言うのだった。
「そうしていくか」
「そうだな、ではだ」
「剣抜いたしな」
英雄は刀になる。
「レーヴァティンをな」
「俺は天羽々斬をだ」
「抜いたしな、じゃあな」
「まずはだ」
「情報収集だな」
「書と話からな」
英雄も周りを見回した、丁度彼等が刀剣を抜いたその部屋だった。部屋の中には神官達がそのままいる。
「それを行うとしよう」
「それじゃあな」
「それでだが」
白い法衣の神官が二人に声をかけてきた。
「そなた達はこの神殿でこの世界のことを知りたいのだな」
「ああ、おっさんもいたか」
久志は神官に声をかけられ彼にも応えた。
「そういえばそうだった」
「おっさんではない」
神官は久志の言葉にむっとした顔で返した。
「私にはオトフリートという名前がある」
「オトフリートさんか」
「オトフリートP=フォン=ゴルトハイムという」
彼は自らの名を名乗った。
「名乗りが遅れて済まぬ」
「いやいや、俺達も名乗っていないしな」
「そういえばそうだったな」
「ああ、俺は有栖川久志っていうんだ」
「時任英雄だ」
英雄も名乗った。
「さっき名乗ったかも知れないがな」
「それならあらためて宜しく頼む」
「有栖川殿と時任殿か」
「名前でいいぜ」
久志は姓で呼んだゴルトハイムに笑って返した。
「別にな」
「では久志殿と呼ばせてもらう」
「殿付けか」
「神官の言葉の使い方ではそうなる」
「成程な」
「殿付けまではいいと思うが俺も名前で呼んで欲しい」
英雄はここでも久志に続いた。
「英雄とな」
「では英雄殿」
「ああ、ゴルトハイム殿と言うべきか」
相手も殿だからだ、久志はこう言った。
「だからか」
「何でもいい」
「そうか」
「さん付けでもいいよな」
久志は彼の砕けた調子から言った。
「それでも」
「構わない」
「そうか、じゃあゴルトハイムさんって呼ばせてもらうな」
「わかった」
ゴルトハイムも頷いて応えた。
「こちらも宜しく頼む」
「ここにいる間な、しかしな」
「何だ」
「ここ本一杯あるんだよな」
久志はゴルトハイムにまた問うた、今度はこのことについてだった。
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