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魔法少女リリカルなのは~無限の可能性~

作者:かやちゃ
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第4章:日常と非日常
  第106話「海水浴・前」

 
前書き
今度は海水浴。
キャラが多すぎて描き切れてるか不安です。
 

 




       =優輝side=



「...凄い大所帯だな。」

 夏祭りから数日後。早速海水浴の機会が回ってきた。
 参加する面子は、高町家、月村家、テスタロッサ家、八神家、志導家、聖奈家、天使家、バニングス家から鮫島さんとアリサ、後は織崎だ。
 アリサと織崎の両親はさすがに予定が取れなかったようだ。
 それでも、良さそうな場所を見繕ってくれたみたいだが。

「眠いですぅ....。」

「さすがに早朝だからね...。」

 あまりの眠たさに、リインやアリシアがそんな声を上げる。
 時刻は5時。夏とはいえ、そこまで暑くないと思える時間帯だ。
 さすがに子供にはまだ眠い時間帯だろう。

「早く行かないと混むからな...。仕方ないだろう。」

「そ、そうは言っても...。」

 なのはやフェイト、ヴィータも眠そうだ。
 普段しっかりしてる司、奏、はやては無事だが。後、織崎もな。
 余談だが、今回もリインは僕の魔法で変身する予定だ。魔力結晶もあるしな。

「先日もですけど、ありがとうですー。おかげで楽しめましたー。」

「それは何より。まぁ、せっかく遊びに行くんだし、楽しめるようにしないとな。」

 それにしても、今回はあまりにも大所帯だ。
 35人...小学校一クラスに匹敵するぞ、これ。

「それじゃあ、行くぞー。」

「「「はーい。」」」

 大人組の掛け声に、皆で車に乗り込む。
 高町家、月村家、バニングス家で車が計4台用意された。内、二台がバニングス家だ。
 それぞれ10人乗りのキャンピングカーで、士郎さん、プレシアさん、ノエルさん、鮫島さんが運転する事となっている。
 後は、乗る人をどう分けるかなんだけど...。

「どう分かれる?」

「私は優輝と同じでいいわ。」

「いつも通りの方が気楽だしねー。」

 椿と葵は僕と一緒なようだ。
 一方、なのは、フェイト、はやては真っ先に織崎の所に行っていた。

「結局、仲がいい人と...って感じだな。じゃあ、司、奏、来るか?」

「えっ、いいの?じゃあ...。」

「....。」

 誘ってみると、あっさり二人は来てくれた。

「リインもこっちです!」

「あ、ちょ、リイン!?」

 そこで、まさかのリインが僕の所へ来た。
 てっきり自分の所、もしくはアインスさん達の所だと思ったはやても驚いている。

「...いいのか?」

「はいです!優輝さんの事、もっと知りたいです!」

 ...大方、変身魔法の件で興味を持たれたって所だろうけど...。
 後ろのはやてと織崎の視線がうざったい...。

「...じゃあ、決まったな。」

 しばらくして、何とか全員が決まる。
 士郎さんの所に桃子さん、恭也さん、美由希さん、忍さん、ファリンさん、シグナムさん、シャマルさん、ザフィーラさんが。
 プレシアさんの所に、僕と椿、葵、司、奏、リイン、父さん母さんが。
 ノエルさんの所になのは、フェイト、はやて、アインスさん、ヴィータ、アルフさん、織崎が。
 鮫島さんの所にアリサ、すずか、アリシア、リニスさん、司と奏の両親が乗った。

「それじゃあ、今度こそ出発ね。」

「レッツゴーです!」

 それぞれが乗り込み、出発する。
 プレシアさんの言葉にリインは元気よく声を上げ、楽しそうだ。

「...ふと思ったのだけど、リインは大きくなった時に御守りはどうしていたのかしら?」

「あっ、そういえば...。」

 椿がふと呟いた言葉に、葵もそこで気づく。

「えっと...ずっとそのままにしておいたのですけど...。」

「あー、それなら変身魔法でついでに大きくしておいたんだ。元々、創造魔法で小さくしたから、変身魔法で大きくするぐらい容易だしな。」

「そうなの。要らぬ心配だったわね。」

 ちゃんと対策は取っておいたからな。

「御守り....もしかして、リインちゃんが魅了されてないのはそのおかげ?」

「あ、そう言えばあの場にいた人しか御守りについて知らなかったな。」

 司や奏にも、軽く御守りについて説明しておく。
 ちなみに、一応織崎の魅了に関しては伏せてある。リインのためにもな。

「身に着けてないと効果がないんだ...。」

「司のあの魔法を掛けるまでの繋ぎだったんだ。...頼めるか?」

「うん。行けるよ。」

 霊術で周りからは普通に見えるように認識阻害をしておく。
 偶然だけど、この車には事情を知っている人しかいないから安心だ。

「...?何をするのですか?」

「まぁ、ちょっとしたおまじない...か?御守りだけだと、もし手放したりしたら危ないからな。そのための魔法を今から掛けるんだ。」

「そうなのですか。」

 騙している感じがするが、嘘はついてないし、実際ためになるからいいだろう。
 と言うか、織崎とかにばれても司の加護なんだし大して問題にはならない。

「じゃあ、行くよ...。汝らの御心を護りし加護を...。」

〈天駆ける願い、顕現せよ。“Wish come true(ウィッシュ・カム・トゥルー)”〉

 天巫女の姿になり、司はもう何度目かになる祈りの加護を授ける。

「ふわぁ...あったかいですぅ...。」

「....これで終わりだよ。」

 魔法が終わり、これでリインにも加護が与えられた。

「凄いですぅ!」

「あはは...面と向かってそう言われると照れるなぁ...。」

「今のどういう魔法なんですか!?」

 リインは、司の魔法に興味津々なようだ。
 それから、リインは僕らに今までの事件の話や、魔法の事を色々聞いてきた。
 僕らもそれに応え、海まで会話を楽しんだ。







       =out side=





「....霊力?」

「今、優輝の方から感じたね。」

「何かやっているのかな?」

 アリサの執事である鮫島が運転する車の中で、アリシア達は霊力を感じ取る。
 優輝はアリシア達に隠す必要はないからと、霊力を隠す事はあまりしなかったようだ。

「....今のが、霊力ですか?」

「あれ?リニスって霊力は使えなかったよね?」

 その際、リニスも少し霊力を感じたのか、そういう。

「はい。...ですが、司の使い魔としているからか、影響を受けているようです。」

「なるほどー....まぁ、多分リインに司の魔法を掛けてるんだと思うよ。」

 使い魔は何かしら主の影響を受ける。
 その一端として、リニスは司の影響を受け、霊力を朧気に感じる事が出来たのだ。

「...そういえば、今更だけどあたし達、奏の両親には会った事なかったのよね。」

「司さんの両親は以前のパーティーとかで顔合わせはしたけど..。」

 司の両親と奏の両親が談笑しているのを見ながら、アリサ達が言う。
 そう、何気に奏の両親は今まで優輝達も含め、会った事がなかったのだ。

「...まぁ、そこまで気にするほどの事じゃないか。」

「今回は奏さんの両親も集まりましたから、この機会に交流するのもいいでしょう。」

 リニスの言葉で締めくくられ、アリシア達も談笑する事にした。





「なんでなんやリイン....。」

 一方、ノエルが運転する車で、はやては嘆くようにそう呟いていた。

「は、はやてちゃん...。」

「はやてにとってリインは末の妹らしいんだ。だから、取られたみたいでこうなってるんじゃねーのか?」

「的確な解説ありだとーなヴィータ。」

 ヴィータの言葉に力なく手を振って礼を言うはやて。
 その様子に、さしものなのはも苦笑いだった。

「けど...なんであっちに...。」

「そこなんよー。確かに優輝君には変身魔法の事もあるし、椿ちゃんには御守りを貰った事があるんやけど...あ、葵ちゃんもユニゾンデバイスやからかな?」

「意気投合したって事?」

「かなー?」

 実際は色々してくれたので、お礼ついでにもっと知りたいという純粋故のただの好奇心だったのだが、はやては変に邪推してしまう。

「まさか、また洗脳を...。」

「ええっ!?そんな...。」

 そして、いつもの如く神夜は見当違いな事を言う。

「でも、椿ちゃんに貰った御守りは、そういうのから身を護るとか言うてたよ?それに、開発段階でリインには精神干渉に耐性があるようにしてたけど...。」

「椿だってあいつに洗脳されてるんだ。多分、その御守りも...。」

 邪推に邪推を重ね、どんどん見当違いな事を述べていく神夜。
 もしここに優輝がいれば、呆れて何も言えなくなっていただろう。

「...主、それに神夜、それは考えすぎなようです。」

「へ?」

「どういうことだ?」

 そこで、リインフォース改め、リインフォース・アインス...通称アインスが言う。

「私を基にして作られた彼女は、基にした故に私には状態がすぐわかります。その上で精神状態をスキャンしましたが...異常はありません。」

「そうなんか?じゃあ、なんでリインは...。」

「...おそらく、普通に好奇心からでしょう。彼女は、まだ生まれたばかり。知らない事も多く、気になる事だらけなのでしょう。」

 アインスの言葉に、なるほどとはやては納得する。

「じゃあ、大丈夫やねんな?」

「はい。」

「...心配のしすぎだったか...。」

 拗れかけた話は終わり、その後は普通に談笑して海までの時間を潰した。





「ふむ....。」

「......。」

 士郎が運転する車では、恭也がザフィーラ(人型になっている)の体を見ていた。

「徒手空拳の相手との試合もいいな。」

「恭ちゃん、さすがにこんな所にまで鍛錬の話を持ってこなくても...。」

 人型のザフィーラと会う事はあまりなく、恭也はザフィーラの屈強さに感心していた。

「私は時間と場所さえあれば構わないが...。」

「ザフィーラ、貴方も受ける必要はないのよ。」

 別にそこまで困る訳ではないと答えるザフィーラに、シャマルがそういう。

「それにしても、優輝君達が楽しそうにしてたのは意外だったわね。」

「そうだな...。あいつは、良くも悪くも大人びている。以前に両親がいなくなって妹の緋雪の二人で生活してたから、こういった事をする余裕もなかったのだろう。」

「大変だっただろうね...。」

 今回、優輝は前世以来の海な上、気を張る事もないため純粋に楽しみにしていた。
 “娯楽を楽しむ”と言った姿を恭也達はあまり見ていないので、意外に感じていた。

「それだけ優輝君にも余裕ができたのよ。椿ちゃんや葵ちゃんも来て、優香さんと光輝さんも帰ってきたのだから。」

「その通りだとも。優輝君にはもっと年相応に楽しんでもらいたいものだ。そういう事に関しては、この前の夏祭りや、今回の海水浴はいい機会だろう。」

「そうね。」

 桃子の言葉に、士郎は運転しつつ応える。
 その言葉を聞いて、恭也達もその通りだと頷く。

「...っと、見えてきたぞ。」

 そこで、目的地の砂浜が見えてくる。
 他の車の皆もそれに気づき、もうすぐ着くのだと理解した。





       =優輝side=



「夏休みなのにあまり混んでないな...。」

「ここは穴場なのよ。パパもおすすめしてたわよ。」

 到着し、見渡してみると程よい人の多さだった。
 八月の割に全然混んでいないので、アリサの言う通り穴場なのだろう。

「それじゃあ、着替えてから集合するように。ただ、さすがに大人数すぎるから、あまり邪魔にならないようにね。」

「「「はーい!」」」

 士郎さんの言葉通りに、僕らは男女に別れて着替えに行く。

「椿と葵は司か奏の言う通りにすれば大丈夫だから。」

「ええ。こういう施設は来た事がないから、そうするわ。」

「じゃあ、また後でねー。」

 どういう手順を踏めばいいか分からない椿と葵にそう言ってから、僕も更衣室に行く。
 さて、女性陣は時間がかかるだろうし、さっさと着替えて場所を取っておくか。





「お待たせー!」

 場所を取っておき、恭也さん達と雑談していると、アリシアの声が聞こえてくる。
 どうやら、着替え終わったらしい。

「ん?なのは達はまだなのか?」

「もうちょっとかかるって。私たちは着替え終わったから先に来たんだよ。」

 先に来たのはアリシア、椿、葵、司、奏、アリサ、すずか7人だ。
 他はまだ着替えていたり、誰かを待っていると言った感じだろう。

「ねぇねぇ、優ちゃん。あたしとかやちゃん、どうかな?」

「なんとなく来る質問だとは思ってたけど...そうだな...。」

 椿の水着は水色のタンクトップビキニで、所々に白い花びらの模様がある。
 胸のすぐ下に青いリボンが巻かれており、どこか胸を強調している。
 また、水着と同じような色と柄のリボンとハイビスカスのような乙女色の髪飾りを付けているのも可愛らしい。

 葵の水着は白いチューブトップビキニで、フリルで装飾されている。
 下はそれでスカート(と言うには短すぎるが)のようになっている。
 胸元には紫のリボンがあるのもチャームポイントだな。

 水着自体は素材を創り替える時に見ていたけど、実際着ているのを見ると...。

「控えめに言って...可愛いと思う...。」

「っ.....。」

「えへへ...実際言われると嬉しいね。」

 その一言で、椿は顔を赤くして花を出し、葵も照れていた。
 うん...正直、見惚れていた。僕だって男だし。

「ほらほら、司と奏も評価貰いなよ!」

「い、いいよ私は...。」

「...自信ない...。」

 そこへ、アリシアに押されるように司と奏が前に出てくる。
 司は恥ずかしがり、奏も初めての海なため、恥ずかしがっていた。

「ど、どうかな...。」

「....。」

 司は葵と同じように白いチューブトップビキニで、紫色の縁と水玉模様だ。
 フリルや胸元のリボンも同じだが、雰囲気がまた違って可愛らしい。

 奏は白を基調とし、縁が黒いバンドゥビキニ。
 それに、ピンクに白い模様が入ったパレオを付けている。

 ...うん、なんというかね、こう四人連続で評価を求められるとさ...。

「あ、優輝が恥ずかしがってる!?珍しい!」

「ぼ、僕だって男なんだからそういう事はあるだろ!特に、いつも親しくしてる皆の水着姿は...なんというか、いつもと違うギャップとかで...。」

 アリシアの言葉にどんどん顔が赤くなっているのが自分でもわかる。
 それに、僕は確かに皆の水着姿に見惚れていた。それもあって恥ずかしいのだ。

「そ、それで...どうだったの?」

「それは...えっと...。」

 どこか司と奏も期待しているようなので、ここで答えない訳にはいかないだろう。
 別に、素直に思った感想を言うだけだ。気持ちを落ち着けて...。

「...文句なしに、可愛いと思うよ。」

「っ~~~!!」

「―――。」

 あ、二人共固まった。...まぁ、そうなるだろうなぁ。恥ずかしがってたし、そこへ素直に“可愛い”と言われたなら、少なくとも照れるだろうし。

「...ぶっちゃけ、今までないくらいにドキドキしてると思う。と、とりあえず、それぐらい皆は似合ってるって事で!」

 司の場合は、前世が男だったというギャップもあるだろうが、それを差し引いても皆はとても似合っていた。
 こういう類で、ここまでドキドキしたのは初めてだ。

「青春...してるねぇ。」

「ぜひうちの娘とくっついてもらいたいね。」

「いやいや、奏も負けてませんよ?」

「ちょっと父親勢黙ってて。」

 僕、司、奏の父親が余計な事を言ってたので突っ込むようにそういう。
 ...うん、今ので落ち着けた。皮肉だけど。

「...ん?あれ、ナンパされてないか?」

「あ、ホントだ。皆美人だもんね。」

 ふと更衣室の方面を見ると、大人勢がナンパされていた。
 残りの子供勢は先にこっちに走ってきてたから巻き込まれてないけど...。

「(桃子さんや忍さんをナンパしたら...あー...。)」

 振り向けば、そこには笑顔な修羅が二人。
 士郎さんと恭也さんが明らかな殺気を持っていた。

「...ザフィーラ、他の皆は頼めるかい?」

「任せておけ。」

 どの道止める予定だったため、二人はザフィーラさんも連れて歩いていく。

「...前もあったんだよね。これ。」

「そうなのか...。同じ面子か?」

「いや、別人だよ。同一人物だったら絶対手を出さないようになってるから。」

 アリシア曰く、とんでもない事をしたらしい。いや、どんな事だよ。

「とりあえず、ちょっと行ってみるか。父さん達も行くみたいだし。」

「結局、妻帯者は全員出るのね。」

 ナンパされてる面子には、母さんも含まれている。
 正直、ナンパしてる奴の人数も5人だし、母さんたちなら大丈夫だろうけど...。
 まぁ、面白そうではあるし、見に行くか。

 ...どちらかと言うと、後続の僕らはストッパーになりそうだけど。





「いいじゃんかー、俺らと一緒の方が愉しいぜ?」

「(...今時そんなナンパする奴いたんだ。)」

 聞こえてきた声に思わず呆れざるを得なかった。
 とりあえず、恭也さん達が近付いたので少し様子を見よう。

「少し、いいか?」

「あん?」

 後ろから、ザフィーラさんが声を掛ける。

「...うちの連れに何か用か?」

「っ!?」

 指を鳴らしながら、威圧を込めてそのまま言葉を続ける。
 なるほど。ザフィーラさんは褐色肌で筋肉もある。見た目はかなり威圧感がある。
 それを利用して威圧するようだ。

「い、いや、なんでも...。」

「ほう...僕らには、ナンパしてるように見えたけどねぇ...?」

「ひっ!?」

 あの...怖いです士郎さん。公共の場でそんな殺気を出さないでください。
 あーあ、ナンパしてた奴ら、絶対後悔してるぞこれ。

「まぁ、一言だけ...これで懲りる事だ。」

「はいぃいいい!すんませんでしたぁあああ!!」

 一瞬とはいえ、恭也さんが殺気を開放する。
 瞬間、踵を返すようにナンパしてた奴らは一気に走り去っていった。
 ....うん、さすがに可哀想に見えるな。自業自得だが。

「あれ?結構マイルド...。」

「おい待てアリシア。前回はマジでどんなんだったんだよ...。」

 おそらく、やりすぎだという事で自重したんだろうけど...。

「何はともあれ、これで全員揃ったな。」

「それじゃあ、荷物を置いて準備体操してから各自遊んでいいぞー。ただ、目の付かない所には行かないようにな!」

 士郎さん、父さんがそういって、各自自由行動を始めた。
 魅了が解けてない子供勢は織崎を連れてさっさと泳ぎに行った。
 大人勢はそれを眺めながらゆっくりと海へと歩いて行った。一部の人達は荷物などを見張るために残るようだ。

「...最近、グループが確定してきた気がするのは気のせいか?」

「見事に子供では二つに分かれたねー。」

「優輝さんか、神夜を中心にして別れてるわ。」

 葵と奏の言葉に、やはりそうなのかと思う。
 ちなみに、僕の所には先に着替え終わっていた皆が残っていた。

「リニスは行かないの?」

「はい。私はしばらく待機しています。司は優輝さんと楽しんでください。」

「にゃ、なんで名指しなのかな!?」

 リニスさんはどうやら荷物を見張っているらしい。
 ちなみに聞いた司はリニスさんの言葉で顔を赤くしてた。ついでに噛んでた。

「ザフィーラは行かないのですかー?」

「うむ。守護獣たるもの、主たちの荷物も守らねばな。」

 残っていたリインがザフィーラさんに行かないのか尋ねていた。
 うん、まぁ...ザフィーラさんなら誰も盗ろうとはしないだろう。

「一応交代制にするつもりですけど...ザフィーラさん、もしかしてずっと見張り番をしているつもりで?せっかくの海なのに。」

「守護とはそういうものだ。別にどうという事はない。」

 まぁ、ザフィーラさんがいいのなら、いいのだろう。
 心配なのはガタイの良さから逆ナンパされそうな所だが...。
 リニスさんがいるし、大丈夫か。

「...以前から気にしていたが、守護獣である私に“さん”付けはいらんぞ。」

「あ...っと、つい癖で。そういう事なら、呼び捨てで呼ばせてもらいます。」

 守護獣...意識していないから懐かしいワードでもある。
 まぁ、彼にとって自身に対する敬称は要らないのだろう。

「優輝ー!何してるの、行くよー!」

「急がなくても海は逃げないっての...まったく。」

 アリシアの声に呆れながらも、僕も海へと向かった。

「あ、待ってくださーい!」

「あれ?リインははやての所に行かないのか?」

 何故か今度も僕についてくるリインに、そう尋ねる。

「はいです。あの...神夜さんと一緒にいる時のはやてちゃんは、少し一緒に居づらくて...。だから、邪魔しないようにこっちに来たのです。」

「おおう...末っ子に空気を読まれる一家の長ェ...。」

 しかもリイン、生まれて一か月も経ってないのに空気を読んでるぞ。
 御守りの効果もあるかもしれんけど、織崎と一緒にいるはやて達に違和感と疎外感を感じてこっちに来たのだろう。...まぁ、一緒に遊ぶ程度ならいいか。

「じゃあ、リインも一緒に行くか。」

「はいですー!」

 うん。元気なのは良い事だ。
 皆も別に構わなさそうにしているし、早速泳ぎに行ってみるか。
 あ、ちなみに準備体操は既に済ませておいたから大丈夫だ。

「所で優輝さん、似合ってますか?はやてちゃんが選んだ水着なんですけど...。」

「ん?そうだなー。」

 リインの水着はスカイブルーのワンピース型で、縁が青色になっている。
 また、腰回り帯なようなものがあり、青いリボンがついている。
 その下は三層のフリルがスカートのようになっていた。

「うん。清楚で涼しい感じがして似合ってるよ。それに可愛いし。」

「ほ、ホントですか!?えへへ...嬉しいですぅ~。」

 “へにゃ”と表情を崩し嬉しそうに笑うリイン。
 ...うん、この子天使だ。凄い癒しになってくれてる。

「わぁああ!この子すっごく可愛いよ!あたし達の所に来てくれないかなー!」

「ひゃぁああっ!?」

「葵!いきなり後ろから抱き着くのをやめなさい!」

 リインの純粋さに中てられた葵は、リインに後ろから抱き着く。
 リインは突然の事に驚き、椿はそんな葵を窘める。

「とりあえず、人目にも付くから行くぞー。アリシア達が待ってるし。」

「あ、そうだったね。」

 司や奏も先に行っている。僕らも早く行かないとな。

「じゃあ、今日は存分に遊ぼうか。」

「はいです!」

 偶には箍を外して楽しむのもいいだろう。

 そう考え、僕らはアリシア達の下へと走って行った。







 
 

 
後書き
椿と葵は水着仕様の絵から、司と奏は容姿のモデル(クドリャフカ、かなで)の水着姿を画像検索したのから、リリなの勢はinnocentから参考にしています。
水着の種類が分かり辛い...。“これは違う”と思ったらご指摘お願いします。

描き切れないため前後編に分けました。
予想以上に長くなった...。 
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