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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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193部分:第十七話 孔明、推理をするのことその二


第十七話 孔明、推理をするのことその二

「あの娘って何かね」
「何か?」
「子犬みたいだから。飼って可愛がりたいわね」
「またその様なことを仰って」
 言いながら実際に小屋につないで犬の様になっている彼女を想像しながら話す。
「御冗談が過ぎます」
「そうかもね。それと」
「はい、それで」
「藍里と飛翔はどうなのかしら」
「今報告が届きました」
 周瑜はこう主に答えた。
「塞を築いたそうです」
「そう、それじゃあ後は」
「そこに入り山越を本格的に討つことができます」
 周瑜は主に説明する。
「ですからこれから」
「そうね。それで今回はだけれど」
「今回は?」
「蓮華に小蓮も連れて行きたいわね」
「御二人もですか」
「ええ。蓮華は今一つ固いところがあるから」
 孫策も孫権のそうした性格は把握していたのだ。
「だからね。それをどうかする為にもね」
「雪蓮様がおおらか過ぎます」
「そうかしら。私は別にそうは思わないけれど」
「自覚がないだけです」
 きつい言葉で返す周瑜だった。
「雪蓮様は」
「やれやれ、相変わらず厳しいわね」
「厳しいも何も雪蓮様は。まあ」
 ここでだ。言葉を代えたのだった。
「それでいいのですが」
「うふふ、そうでしょ。とにかく揚州はまとまってるし」
「はい」
「母様の遺産だけれどね」
 彼女の母孫堅のことも話に出すのだった。
「これはね」
「しかし雪蓮様もこれまで多くの戦いを経て賊を下してこられました」
「それで小覇王になったっていうのね」
「あの西楚の項王にも例えられる程の」
「嬉しいけれどね。項王に例えられるのは」
 それはだというのである。
「ただね」
「ただ?」
「項王になれるのはまだこれからよ」
 こう言うのであった。
「天下を統一してからよ」
「この乱れた天下を」
「ええ、天下をまとめるわよ」
 孫策のその目がだ。強いものになった。
「絶対にね。それで私はね」
「天下の覇者に」
「曹操も袁紹も前に立ちはだかるのなら」
「その時は」
「下すわ」
 悠然とした笑みと共の言葉であった。
「それだけよ」
「そうですね。それでは」
 こんな話をしていたのだった。しかしであった。
 関羽達は門に戻ってきていた。それぞれ狩った獲物を背負っている。張飛はあの巨大な猪を背負っている。そのうえで言うのだった。
「今日はこれで牡丹鍋なのだ」
「猪料理か」
「そうなのだ、そうするのだ」
 こう話していた。しかしその彼女達の前にだ。
 孫権が来た。兵士達も一緒だ。甘寧は主の姿を見て言った。
「蓮華様、どうされたのですか?」
「詳しい話は後よ」
 孫権は厳しい顔で彼女に応える。そうしてであった。
 王の座の前にだ。関羽が手に鉄の索をかけられてだ。そのうえで連行されてきた。
 王の座の前には揚州の主だった臣下と関羽の一行、それにダックやあかり達がいた。その関羽を見てまずは馬岱が言った。
「ちょっと、これってどういうこと!?」
「どういうことも何も」
 陸遜もおろおろするばかりである。
「あの、何故ですか?どうして関羽さんが」
「姉様が暗殺されかけたのだ」
 玉座の左手に立つ孫権がだ。厳しい顔と声で返してきた。
「それでなのだ」
「まさかと思うけれど」
「関羽さんがその犯人だっていうんですか?」
「そうだ」
 孫権は馬岱と孔明の言葉にも同じ声で応えた。
「矢が後ろの山から射られたのだ」
「丁度その時にそこには私がいた」
 甘寧もここで話す。
「そしてだ。私が張飛殿と共に猪を捕まえに行っていた時関羽殿は一人だった」
「それで愛紗が疑われているのだ」
 張飛も俯いて言う。
「誰もそこにいなかったから。それで」
「話は聞いたが」
「それでもよ」
 趙雲と馬超がここで反論する。
「だが。愛紗はだ」
「暗殺なんてしないぜ、絶対にな」
「証拠はあるのか」
 孫権は二人を見下ろすようにして言ってきた。玉座は階段の上にありどうしてもそうした形になってしまうのである。その目は厳しいままだ。
 
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