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艦隊これくしょん~男艦娘 木曾~

作者:V・B
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第七話

 
前書き
どうも、久びさに韓国土産の「のりチョコ」なるものを食べて腹壊しました。それでも僕は生きてる。 

 
部屋全体がざわついた。
 
当たり前だ。彼女らの目の前に居る奴の言ってることが本当なら、それこそ今までの常識が全て崩れる訳だからな。しかし、その目の前の奴が俺である以上、言った内容は残念ながら本当だ。
 
「そいつの言ってることは本当だぜ。」
 
そう言ったのは、後ろの方に座っている木曾だった。
 
「昨日俺達の艦隊が逃した一体をコイツが仕留めたんだ。それからここに連れてきた。」
 
ざわつきが更に大きくなる。彼女らはそれぞれ様々な表情をしていた。驚きに染まった顔。面白がる様に見る顔。全く動じてなさそうな顔。
 
「うるせぇよ。」
 
そんな中、木曾はそんな言葉を発した。回りの女の人達はそれにも驚いてた。
 
「なんだと?」
 
最年長であろう人が木曾の方を見た。こちらからは顔は見えないが、恐らく相当な鬼の形相なのだろう。しかし、木曾は全く動じずに続ける。
 
「今更それがどうしたってんだ。この二十年で深海棲艦が現れて、艦娘が現れて、常識何かとっくに壊れてるっつーの。なのに今更男が来たくらいでギャーギャー喚くなっての。むしろ男だぜ?俺らじゃ出来なかった事ができるかもしんねーじゃん。なんでそんな見せ物を見るような目で見るかねぇ。」
 
確かに、木曾は、俺が男だと知ったときには、驚きはしたものの、そのあとは敬遠するでもなく、普通に話をしたり、案内してくれた。
 
ただ、それは木曾が凄かっただけで、普通にできる人なんてそう居ない。
 
「かははっ!ちげぇねえ!」
 
そう笑ったのは、その木曾の隣りに座っている、これまた眼帯をしている人だった。しかし、着ている服が違うから、恐らく別の型の艦娘なのだろう。
 
「遠征とか、もしかしたら俺達の倍位運べるかも知れねぇしな!そう考えたらむしろウェルカムだな!」
 
こちらも木曾に負けず劣らずな男っぽさだった。
 
しかし、
 
「まぁ、その分しっかり頑張って貰わねぇとなぁ?」
 
がっつりこちらに凄んできた。なかなか迫力があるな。感覚的には木曾と同じくらい怖い。しかし、それに怯む俺でもない。
 
「何を今更。」
 
俺は笑いながらそう言った。さぁ、これで逃げ道は無くなったな。全力でやらねぇといけなくなった。…おおこわ。
 
「それじゃ、暫く木曾…二号は第二船隊所属ってことで。」
 
提督がそう言った。この木曾二号と言うのは、さっき提督が決めた俺を呼ぶときの名前だ。
 
しかし、第二船隊と言うと確か、木曾が所属してるんじゃなかったっけ?わざわざそうしてくれたのなら有り難い。他の艦娘と話もしやすくなるしな。
 
「あと、こっちの木曾の呼び方は基本何でもいい。元から居た木曾と区別できたらいい。それじゃ、二号の紹介は終わりだ。後ろの空いてる所に座ってくれ。」
 
俺は言われるがまま、部屋の後ろの方に移動する。さて空いてる席は……。
 
「(おーい、こっちこいよ!)」
 
みたいな感じで見てくる奴が二人。木曾ともう一人の眼帯の人だった。俺はその二人の後ろに座る。
 
「さてそれでは今週の活動だが、少し全体的に資源が少くなっている。ただ、遠征しようにも近くの製作所がストックが無いとのこと。一週間後になら来ても大丈夫らしいので、この一週間は基本訓練、指示があった時には演習ということだ、以上。何か質問は。」
 
俺がこの話を聞いていて思ったことは、提督って本当にここのリーダーだったんだったことだ。いや、凄くどうでもいいけどさ。
 
「はーい。」
 
と、一人手を挙げた人が。
 
「提督ー、夜戦はー?」
 
うん、こっから姿見えないけど、コイツバカだな。確信した。
 
「お前な……出撃しないのに夜戦何か有るわけねーだろ。演習の時もなしだ。」
 
他に質問は、と提督は言ったが、他に手は上がらなかった。
 
「それでは解散。各々で行動すること。」
 
そう言って、提督と大淀さんは部屋から出ていった。
 
「さて。」
 
と、さっき木曾を睨んでた人が前に立った。凛としたその立ち姿は圧倒的な自信に裏付けされた物なのだろう。そして、他の艦娘はその人が前に立ったら、さっきと同じようにそちらを見た。
 
「それでは、木曾二号の着任祝いの場を設置する。場所は遊技場。時間は二〇〇〇より。以上。」
 
はい?
 
呆気に取られる俺を他所に、艦娘達は立ち上がって各々で集まり始めた。
 
「いやー、なかなか堂々としてたじゃねーか。」
 
と、話しかけてきたのは木曾だった。いや、俺からすれば木曾の度胸の方が圧倒的に凄いと思う。恐らく年上もそれなりに居るなかで、よくもまぁあんな台詞を言えたもんだ。
 
「おう、これから宜しくな。」
 
と言ってきたのは、もう一人の眼帯の人だった。
 
「俺は軽巡 天龍だ。」
 
 自己紹介をする天龍。いや、名前、格好良すぎやしませんか?天の竜って。……このとき既に俺の頭の中から着任祝いとやらを忘れていた。
 
そんなことを考えていたら、天龍が手を出してきた。
 
「おう、宜しく。」
 
俺はその手を握った。すると、途端に天龍が手に力を入れた。
 
「お!?」
 
なかなか握力強い。俺も負けじと握り返す。バスケ部で鍛えて良かった。お互いの膠着状態は暫く続いた。コイツ……持続力もなかなか有るわけか……。つーか女子にしては強すぎないか?
 
「へぇ、なかなかやるじゃん。握力なんぼくらいよ?」
 
天龍は余裕そうに聞いてきた。
 
「たしか……前に測ったときは六十キロ位だったな?」
 
流石に女子に負けるのはあれなので、そう言いつつ踏ん張る俺。しかし、次の天龍の発言で、今の俺の握力がそんなもんじゃないって事が分かった。
 
「へぇ、んじゃ今は百二十って所か?俺が百三十位だし。いい勝負にもなるか。」
 
「へ、」
 
と、思わず力が抜けた。嘘だろ?百三じ「って痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
 
俺の力が抜けた所で、天龍は残しておいた力を出してきた様だ。ものごっついてぇ。つーか手に百なんキロの力が掛かってるんだよな……。普通ならヤバい事になってるな。
 
現に、めちゃくちゃ痛い。
 
「ギブギブギブギブムリムリムリ!」
 
「いやー、なかなか強かったぜ?」
 
そう言って、手を離してくれた。手を振って、痛みを和らげようとする俺。
 
「これが訓練の賜物なんだけどなぁ………。艦娘……でいいのかな……になったばかり奴にいい勝負たぁ情けねぇな。」
 
天龍はかなりテキトーにそう呟いた。そして、机の下で隠れて手を振る。あ、そっちもなかなか痛かったんすか。少し一安心。
 
「ま、これから毎日訓練して、お互いに強くなってこうか!」
 
そう言って、ニカッと笑う天龍。やべ、イケメンだ。女を惚れさす女だコイツ。
 
そんなしょーもない事を考えていたら、
 
「そいじゃ、第二船隊の奴ら!今から小会議室に集合!今日の予定を話す。」
 
と、木曾が言った。小会議室っつーと………ここの二つ隣にそんな部屋があったな。
 
「うーい。」「はーい。」「了解。」「クマー。」
 
様々な返事が帰ってきた。何か一個変なのあったけど気にしないでおこう。
 
「んじゃ、移動するか。」
 
と、立ち上がる木曾と天龍。俺もそれに次いで立ち上がって、部屋から出た。

 ―――――――――――――――――
 
そして今、小会議室にて。
 
「ういじゃ、まず自己紹介を簡単にしていってくれ。」
 
小会議室でも前に立たされた俺は、その前に居る同い年位の艦娘達と対面していた。
 
ここから十なん人の自己紹介があったんだが…………。文字にすると長いから割愛させて貰う。
 
「そいじゃ、第二船隊仲間として仲良くやっていこう。そいじゃ木曾、どっか座れ。」
 
「うーい。」
 
俺は再び後ろの方に移動し、座った。今回隣に居るは、俺と同じ型の、北上という奴らしい。こちらを見て悪そーな笑顔を向けてくる……殴りてぇ。
 
「そんで、今日のことだが、午後二時から練習スペース使えるから、そこでは実践訓練。それまでは各々訓練するなり自由だ。いつもどうり、最低でも二時間はすること、以上。」
 
木曾はそう言うと、前にある立ち机から移動した。来たのは俺の方。後の艦娘は皆どこかに行った。
 
「どうだ?なかなかユニークな奴らだろ?」
 
「ユニークすぎゃしませんかねぇ?」
 
俺はかなりグダッとして答えた。なんだが直射日光を浴び続けた感じの疲労感だ。
 
「まー、俺も最初はそうだった。その内慣れる。」
 
んで、と木曾は話を変える。
 
「これから俺は訓練しに行くが………お前はどうする?」
 
さて、どうしようか。ぶっちゃけ、一人ではまだこの鎮守府を回れないし……。まぁ、一択しかねぇか。
 
「んじゃ、俺も付いてくわ。何か迷子になりそうだし。」
 
 
 
こうして俺、七宮 千尋改め、軽巡洋艦 木曾は鎮守府に着任した。
 
 
  
 

 
後書き
読んでくれてありがとうございます。これから木曾二号の鎮守府暮らしが始まります。いや、話数掛けすぎた。テンポ良くと思っても、この駄文使いは駄文を長々と書くので、無理でしょうね。
では、また次回。 
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