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レーヴァティン

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第七話 炎の剣と氷の刃その三

「あの刀剣がだよな」
「そうだ」
 神官は久志に重奏な声で答えた。
「あの剣はレーヴァティンという」
「レーヴァティンか」
「知っているな」
「確かあれだよな」 
 一呼吸置いてだ、久志は神官に答えた。
「世界を焼き尽くすっていう炎の剣だよな」
「世界を焼き尽くすのではなく救う、だ」
 神官は久志の言葉の前半を訂正して答えた。
「下の海を支配する魔神を倒してな」
「ああ、こっちの世界じゃそうか」
「こっちの。ではそなたは」
「ああ、俺もこいつもな」
 久志は右手の人差し指で英雄を指し示して神官に話した。
「別の世界から来たんだよ」
「そうか、またか」
「他にも大勢来てるんだな」
「これまでな、そしてだな」
「ああ、俺もこいつもな」
 久志は英雄を指差したまま再び神官に話した。
「刀剣を抜きに来た」
「そうか、やはりな」
「それで俺があの剣を抜くんだよ」
 久志はそのレーヴァティンを見つつ笑って言った。
「これからな」
「そう言うがだ」
「今までだよな」
「誰も抜けていない」  
 神官は久志に淡々とした口調で述べた。
「これまでな」
「それが今までのことでな」
「今終わるか」
「俺が抜いてな」
「随分と自信があるな」
「ははは、抜けなかったらそれまでってことでな」
 久志は笑ってこうも言った。
「この世界で冒険者か傭兵かにでもなって暮らすさ」
「そうか」
「ああ、それでだけれどな」
「うむ、これからレーヴァティンを抜くな」
「世界を滅ぼすにしても救うにしてもな」 
 見れば相当に大きな剣だ、久志の背丈位はあるだろうか。柄も長く鍔の部分も合わせると十字の形だ。剣身は銀色に輝いている。
「その力、使わせてもらうぜ」
「俺は刀を抜かせてもらう」
 英雄は神官のところに来て告げた。
「あの刀、日本刀だな」
「東の島から伝わったものだ」
 神官は英雄にも答えた、問いには素直に答えている姿には誠実さがあった。
「東の島では剣よりもあの刀をよく使う国がありだ」
「それでか」
「この島にも伝わったのだ」
「そしてこの神殿に置かれているのか」
「誰もこれまで鞘から抜けなかったな」
「そうした刀か」
 英雄はその刀を見ていた、鞘に収められそのうえで台で飾られている。 
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