| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

119部分:第十一話 孔明、世に出るのことその五


第十一話 孔明、世に出るのことその五

「それで怪我人がいるのだ」
「怪我人がいるのですか」
「はい、それでなのですが」
 今度はナコルルが話した。
「よかったらお薬を」
「少し待って下さい」
 少女は一同にまずはこう告げた。
「先生を御呼びしますので」
「先生?」
「まさか仙人の?」
「あっ、仙人ではないです」
 少女はそれは否定したのだった。
「仙術も学んでますけれど」
「仙術を学んでいるのに仙人じゃないんですか」
「うん、そうだよ」
 馬岱が香澄に話した。
「こっちの世界じゃね。皆普通に勉強してるよ」
「そうなのね」
「そうよ。だから気にしないで」
 また香澄に話す馬岱だった。
「そういうものだから」
「わかったわ。それならね」
「それじゃあ」
 こうして話をしていってだ。一同はその先生の場所に案内されることになった。すぐに豊かな濃褐色の髪の妙齢の美女の前に案内された。落ち着いた佇まいの知的な美女である。
「そうですか。お連れの方が怪我を」
「申し訳ない」
 その関羽が申し訳ない声で美女に応えた。今は椅子に座らせられている。
「こんなことになってしまって」
「いえ、怪我は付き物です」
 だが美女はこう関羽に対して話した。
「ですからそれは」
「そう言ってくれるのか」
「それよりもです」
 美女はさらに言ってきた。
「その怪我を早く治療しなければなりませんね」
「うむ、それだが」
「暫くこの屋敷に留まって下さい」
 美女は一行にこう申し出てきた。
「薬草を用意しますので」
「いいのか、それは」
「そちらにも迷惑が」
「いえ、これも縁です」
 微笑んでの言葉であった。
「それで私の名前ですが」
「はい」
「そういえば貴女の御名前ですが」
「何というのだ?」
 一同はここではじめて美女の名前を問うた。
 そして美女はだ。その問いに答えたのだった。
「私の名前は水鏡といいます」
「水鏡ですか」
「それが御名前ですか」
「司馬徽というのですがこう号しています」
 こう一同に対して話す。
「水鏡と呼んで下さい」
「わかった、それでは」
「その様に」
「そしてです」 
 その水鏡の言葉である。
「あの娘の名前は諸葛亮といいます」
「諸葛亮」
「それがあの娘の名前なのか」
「字は孔明です」
 水鏡は少女、諸葛亮の字まで話した。
「よければ孔明と呼んであげて下さい」
「わかりました」
「それでは」
「ではまずは夕食を」
 水鏡は次に夕食を誘ってきた。
「御一緒しましょう」
「はい、それじゃあ」
「今から」
 こうしてであった。全員でその夕食となった。円卓に出されたその料理は見事なものだった。量だけでなくその種類や調理具合もである。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧