魔法少女リリカルなのは ~黒衣の魔導剣士~
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Vivid 02 「私の親友」
前書き
この話からVividからの登場人物が出てきますが、まだ掴みきれてないところがあるので原作と違う部分があるかもしれません。
前回も説明したとは思うけど、私――高町ヴィヴィオは今日からSt.ヒルデ魔法学院の初等科4年生になる。
私たちがこの学校で学ぶのは普通の学校でも行われている勉強と魔法の扱い方だ。
まあここは第1世界と呼ばれているミッドチルダだし、ここも魔法学院なんて名前が付いてる学校なんだから魔法の勉強があるのは当然といえば当然なんだろうけど。
ただ魔法の勉強……魔導学と呼ばれているものは正直言って難しい。
魔法という力は使い方次第で危ないことも出来ちゃうから正しく理解しなくちゃいけないってのもあるけど、人によって向き不向きがある。
私は物覚えは良い方だと思うけど、それでもできないものがあるだけにある意味厳しい世界かな。
あれこれと自分なりの考えとかを言っちゃったけど、学校のことは今日はここまで。今日は始業式だけだからこれ以上説明することがないんだよね。
「ねぇ、今日はこれから練習行くんでしょ?」
そう聞いてきたのは私の仲良しな友達。名前はリオ・ウェズリー。
リオは私の同級生で青髪の短髪にカチューシャを付けてる女の子。性格は明るくて活発って言えば分かりやすいかな。
ちなみに私の隣にはもうひとり居る。その子の名前はコロナ・ティミル。
コロナは初等科1年からの付き合いで全教科満点を取ったりするほど頭の良い子。私達に比べると内気に見える人もいるかもしれないけど、喋らないってわけじゃなく落ち着きがあるって表現が正しいと思う。
あとコロナの見た目の特徴を上げておくなら、長めのプラチナブロンドの髪を水玉模様のキャンディみたいな髪飾りでツインテールにしてることかな。
「うん。ノーヴェも来てくれるんだって」
「あぁ、ストライクアーツの先生だっけ?」
「うん、リオに会うの楽しみだって言ってたよ」
今話題に出たノーヴェって言う人は、知ってる人は知ってると思うけどあの事件でママ達と戦った戦闘機人。
こういう言い方をすると誤解するかもしれないけど、別に悪い人じゃないからね。
昔は悪いことをしちゃったかもしれないけど、今は私を含めコロナにストライクアーツを教えてくれてるわけだし。それにスバルさん達と家族になってからは人当たりも良くなったんだから。
それとストライクアーツって言うのはミッドチルダで最も競技人口の多い格闘技のこと。広い意味では、打撃による徒手格闘技の総称になるかな。
「あ~何だかドキドキだよ!」
「大丈夫、格闘技には厳しい人だけど優しい私たちの先生だよ。ねぇコロナ?」
「うん」
その後。
私たちは中央第4区にある公民館に向かう。ここがストライクアーツの練習場になっているからだ。
だけど……リオはノーヴェと今日が初対面であるからか、公民館に近づくにつれてそわそわし始める。まあ知らない人と会うのは緊張するものだし、それが年上だってなればなおさらだよね。
「リオ、少し落ち着いたら?」
「それは分かってるけどさ……でもさ」
「まあ今日が初めてだから緊張しちゃうよね。でも今から緊張してても疲れるだろうし、何か別のことでも考えたらいいんじゃないかな?」
「例えば?」
「うーん……ヴィヴィオのお父さんのこととか」
ちょっとコロナさん、何でそこで私のパパが出てくるのかな。話題なら他にもたくさんあると思うんだけど。今後の授業のことだとか、今度どこかに遊びに行こうとか……
「あ、それいい。ねぇヴィヴィオ、パパさんとは今どんな感じ?」
「どんなって別にこれといって変わりないよ。最近はあんまり会ってないし」
「そう言う割にはヴィヴィオ落ち込んでないね。もしかして近々会う予定があるとか?」
私の多分表情とか声色から予想したんだろうけど、コロナは将来探偵とかになれるんじゃないかな。
「まあ……今日夜にママが進級のお祝いしてくれるんだ。それに呼んでくれることになってる」
「お、やったじゃん!」
「やったって言えるかどうかはまだ分からないんだけどね。パパにもお仕事があるから来れるかどうかは分かってないから」
「そうなんだ。でも来てもらえるといいね」
うん……正直に言って来てほしい。
パパが本当のパパじゃないってことは分かってるし、法律とかそういう観点から言えばパパとは呼べないのも理解してる。
でも……私にとってはあの人がパパ。
なのはママやフェイトママと同じくらい大切な人で大好きな人。ちょっと素っ気なかったりするけど、優しくてカッコいい私のパパ。今はパパって呼ぶと否定されるけど、絶対にママ達とくっつけて私のパパにしてみせるんだから!
「よし、私頑張る!」
「コロナ……何か急にヴィヴィオが燃え出したんだけど」
「多分あれじゃないかな。お父さんとお母さんを仲良くさせようみたいな」
「あぁーなるほど。ヴィヴィオのパパさんとママってまだ結婚してないしね」
おふたりさん、何をコソコソと話してるのかな。
まあ距離が距離だけに聞こえてるわけだけど。ふたりも別に本気で隠すつもりないみたいだからそこまで声小さくしてないし。
「ねぇヴィヴィオ、パパさん達っていつ結婚するの?」
「っ……」
「……ヴィヴィオ?」
「そんなの私が聞きたいよ! 明らかにママ達はパパのこと大好きなのに自分からアプローチする気がないっていうか、世間話するくらいで満足しちゃうところあるし。好きならもっとグイグイ行ってもいいんじゃないかな。別に女の人から行っちゃダメなんてことないんだから!」
「ヴィヴィオ、少し落ち着いたら?」
「コロナ、お願いだからもう少しだけ黙ってて!」
私はママ達に助けてもらって凄く感謝してるし、本当の娘にしてもらえて嬉しく思ってる。でもだからこそママ達には幸せになってほしいと思うわけで……。
まだ私は子供だけど、年を重ねる度に色々と学ぶわけで。何年の前からママ達がパパのこと大好きなのに何もしようとしないところを見ていると思うところもあるの。
「ママ達は危機感が足りないんだよ。パパの周りに居るのがママ達だけなら私もあれこれ言うつもりないけどさ。実際のところママ達以外にもはやてさんだとかシュテルさんだとかママ達に負けない美人さんがたくさん居るんだから!」
「あー……ちゃんと話したことないけど、ふたりとも有名人だから顔は分かる」
「はやてさんは時空管理局の海上司令だし、シュテルさんはデバイス関連で名前や顔をテレビで見かけるしね」
「そういえば……あたし、この前ヴィヴィオのパパさんとはやてさんが一緒に歩いてるの見たよ」
…………。
………………リーオ! 何でそういう重要なことを教えてくれないのかな。それってつまりパパとはやてさんがデートしてたってことだよね!
フェイトママは執務官だからお仕事ってなったら長い間別の世界に行ったりするから仕方がないところもあるけど、なのはママは昔よりもお休みは取ってるし自由な時間は多少なりともあるよね。
私だって別にひとりで出歩いてもそこまで心配されない年齢になってるし、なのはママはパパをデートに誘ったりするべきだよ。別に私へのプレゼントだとか誘う理由なんて作ろうと思えば作れるわけだし。というか、私のことダシに使っていいから誘ってお願いだから。
立場的なことを考えるとはやてさんの方がお休みとかは少ないだろうし……でもそれでしっかりとパパとはデートするってことは、パパの予定とか聞いたりしてお休みを合わせてる可能性が高いよね。まずい、まずいよ。このままじゃはやてさんにパパが取られる……
「リオ……ヴィヴィオが大変なことになっちゃってる」
「え……うわぁ~すっごい百面相。いったい何を考えたらこんなにコロコロと表情変わるんだろう」
「そこに感心してる場合じゃないよ。ノーヴェだって待ってるわけだし」
「そ、そっか。……あのねヴィヴィオ、見たって言ったけど正直遠くからだったから見間違いかもしれない」
「……本当? ……ううん、正直その真偽はどっちでもいいかな。ママ達がいかにも後手に回ってるか再認識させられたし。……というか、パパもパパだよ。どこからどう見てもママ達パパ大好きだよね。それが何で分からないのかな!」
ママ達の接し方が悪いといえば悪いけど、子供の私たちが見ても分かるくらい矢印出てるんだから普通分かりそうなものだけど。
あぁもう……ママ達もママ達だけどパパもパパだよね。誰ともくっついてないからまだいいけど、もう少し自分から踏み込んでくれてもいいのに。
「ママ達のいったいどこがダメなの……まあ抜けてるところがあると言えばあるし、料理とかの腕前はパパの方が上手い気もするし、掃除とかもパパは問題ない人だけど」
「ヴィヴィオのパパさんって聞いてる限り働く女性にとっては理想的な人だよね」
「うん……あっでも、家事全般が出来ちゃうと女の人はプレッシャーを感じちゃうかもね。男女平等だって言われるけど、やっぱり女の人は好きな人には色々としてあげたいと思うだろうから」
「そういう意味ではパパさんってダメだね」
「こらそこ! パパのことダメだとか言わない。私のパパは世界一カッコいいんだから!」
普段は冷たいというかぞんざいな対応したりする人だけど、肝心な時は絶対に助けてくれるし、傍に居てくれるんだから。
「ママに怒られたりして落ち込んでたら慰めてくれるし。美味しいお菓子付きで!」
「あっ、それいい! ヴィヴィオのパパさんのお菓子ホント美味しいんだよねぇ」
「それはそうだけど……ヴィヴィオが凄く子ども扱いされてるように思うのはわたしだけなのかな」
コロナ、そこには触れないで。
自分でも単純というか子供だなって思うけど、パパに慰めてもらってお菓子もらったら元気出ちゃうんだから。
子供の私が子供扱いされるのは普通だとか思った人。確かにそうだけどそこには触れないで。自覚はしてても背伸びしたい年頃だってあるの。
「それと……前から思ってたけど、ヴィヴィオって重度なファザコンだよね。パパさんのこと大好きだし、ママのためって言いながらも自分もパパさんと触れ合いたい的な想いを感じるから」
「リオ、それは言わなくてもいいんじゃないかな。確かにヴィヴィオはファザコンだと思うけど……まだお母さんと結婚したわけじゃないからファザコンって言っていいのかな?」
「別にいいんじゃない。だってヴィヴィオはパパさんのことパパだと思ってるわけだし。ちなみにコロナはあたしの知らないヴィヴィオのファザコン話知ってたりする?」
「それでいいのかな……うーん、前はお父さんのお嫁さんになるとか言ってたよ。最近は言わなくなったけど」
「やめて! もうそれ以上私を精神的に攻撃しないで。恥ずかし過ぎて逃げたくなるから!」
それと私は別にファザコンじゃないもん。
確かにパパのことは大好きだよ。これは否定しようがない事実。コロナが言ってたみたいに前はお嫁さんになるとか言ってた。でも今はママをくっつけようと努力してるわけだし……というか
「こんな悠長に話してる場合じゃないよ。ノーヴェだって待ってるわけだし、早く行かないと練習する時間なくなっちゃう!」
「面白いから続けたくはあるけど、ノーヴェさんに迷惑掛けるわけにもいかないしね。よし、公民館まで競争しよう!」
「え……別に走るほど急がなくてもいい気が………あっ待ってよ、ふたりとも~!?」
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