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おぢばにおかえり

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第三十九話 おぢばがえりその十九

「どっちにしてもおぢばにいたいわ」
「そうですか」
「ええ、女子青年としてのひのきしんもあるし」
「あっ、大教会で」
「そちらもあるしね」
「じゃあ最悪大教会に行けば先輩にお会い出来ますね」
「そうなるわね、けれど何で最悪なの?」
「いえ、奥華の大教会に行くこと少ないですから」
 阿波野君としてはというのです。
「ですから」
「奈良県から大阪府に行こうって思うと」
「はい、しかも奥華の最寄駅って準急停まらないですから」
 近鉄線のお話みたいです、こう言われると何かぴんと来ないです。奥華にはいつも車で行き来しているので。
「僕の家から行くの大変なんです」
「そうした事情があるのね」
「せめて準急が停まらないと」
 それこそとです、阿波野君は私に彼の事情を説明します。
「大変です」
「そのことは知らなかったわ」
「やっぱり車で行くからですか」
「ええ、教会にいると」 
 このことは本当にです。
「車での行き来が多いわ」
「信者さんのお家にはですね」
「大抵車でお邪魔するから」
「だから大教会にもですか」
「いつも車よ」
 神戸から行ってます、高速道路を使って。
「それで行ってるから」
「やっぱり車ですか」
「そう、だからそのことは知らなかったわ」
「うち今のところ誰も車運転出来ないんですよね」
「じゃあ阿波野君が免許取るの?」
「そのつもりです」
 これまたはっきりとした返事でした。
「さもないと不便ですからね」
「教会にいなくてもね」
「はい、やっぱり車は必要ですね」
 阿波野君は私にかなり真剣に言いました。
「正直オートバイはいいんです」
「それよりも自動車ね」
「ものも積めますから」
「そうそう、何人も乗れるしね」
 こうした要素があるからです。 
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