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フルメタ妄想最終回

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03女達の決戦?


 テッサはレディチャペルを起動し、艦の操艦、発進口の開閉、索敵、通信を掌握し、デ・ダナンと一体化し、自分の肉体とした。
「アイハブ・コントロール」
 ブリッジのモニターにはテッサが映り、「工事中止ご迷惑をお掛けします」みたいな二頭身テッサと、現在レディチャペルよりコントロール中と表示された。
 ソースケたちを発進させたテッサは、安全海域に下がらず、島に接近して比較的安全な岩礁の中に入った。
 姉妹艦ができれば、進入路、入港口として計画されていた場所である。デ・ダナンなら岩礁とほぼ同化し、攻撃を受けない場所でもある。
 そこで海上に浮上させていた有線ブイを展開し、通信を試みた。

『カナメさん、聞こえますか? カナメさん?』
 既に「本当の歴史」を目指して始動していた機器に入り、瞑想状態にあったカナメ。
 その状態と接触するにはレディチャペルで艦と一体になって、ウィスパード同士の接触をするしか無かった。
 そこで可能なら説得するか、カナメが薬物支配など受けていれば妨害して、無理なら同化して支配権を奪ったり、人道に反する行為を行おうとしているなら殺害、自殺によって停止させる計画が行われた。
 これが最終決戦で、アマルガムには何度かやり直しが効くが、ミスリル側では歴史を改変されてしまえば終わりである。
 それはレナードしか知らないのか、カリーニンが決めるのかは分からなかったが、以前のアマルガム支配層は殺害され、最高幹部の中でこの二人だけが生き残っていると旧情報網からの通達があった。
『ああ、テッサ? どうしたの? こんなとこまで割り込んでくるなんて』
 やたらリラックスして、胡座などかいて少女らしくない、いつものオッサンで素のカナメを見せられ、薬物投与でイカれてはおらず、会話までできる状態なのを見て安心した。
『カナメさん、大丈夫なんですか? その様子だと薬とかは投与されてませんね?』
『ああ、薬でチョット敏感になって、あちら側に繋がりやすくなって、未来予知でもないけど、凄い繋がってる感じはするわね』
 現状を教えられ、これなら説得が効くか、人道に反するような行為はしないと確信した時、違う言葉を掛けられた。
『ねえテッサ聞いて聞いて、あたしね、人類を滅ぼすことにしたのよ、今の共産圏の内戦とか難民も無い、今までの腐りきった歴史とかも無い、特にイギリス人とか全員地獄に落ちろって思える歴史を無くすことにしたの』
『え?』
 自分の理解の範疇を超える答えを聞いて固まるテッサ。カナメは薬物汚染も洗脳もされていなかったが、なんと自分の意思で人類滅亡を望み、大きく人道に反する結論に達していた。
『この計画を話したやったらね、あのお高く止まってたレナードが大爆笑したのよ。あいつが笑うとことか見たことある? まあ子供時代は別として、デッカクなってからよ?』
 その状況まで喜々として語るカナメ。もう人類ではない悪魔の思考で、神の領域にまで達していた。
『まず獰猛な魚類が上陸して、爬虫類とか哺乳類に進化したのが間違いなのよ、分かる? やっぱりね、虫とかがイイんじゃないかと思うわけよ、ねえ聞いてる? 個人とかは無くて感情も苦痛とかも無し、群体として始めて機能して、子孫を残して生産して建築して、イジメとか差別も無いの、縄張り争いとかはあっても殺し合いなんてさせない、どう? いいでしょ?』
 その言葉や理論としては理解したが、人間としては有り得ない言葉が、知人から、同じウィスパードから聞かされたのにダメージを受けた。
 オムニスフィアに接触し続けたレナードも早い内に似たような結論に達し、人類自体を嫌って、特に子孫を残すような行為には嫌悪し、狂っていた。
 美男子や美女が異性を嫌う程度では済まず、自分たちの母がこの結論を導かせ、レナードにも自分にもここまでの苦痛を植え付けて残した人物が人類に存在し、その遺伝子や血が半分つながっているのにも嫌悪した。
『カナメ、貴方は狂ってるわ』
 率直な意見を応えたが、カナメは驚きもせず平然として痒い所でもボリボリ掻き、テッサをバカでも見るような目で見下した。
『あのねえ、狂ってるのは人類と歴史の方でしょう? アレがまともだと思うほうが狂ってて腐ったサディストでマゾで構ってちゃんでメンヘラリスカ女で頭おかしいのよっ!』
 呆れられ、いつもの調子で畳み掛けられ、テッサの人類的な思考の方が狂っていると指摘された。
 もうカナメは神の領域に旅立ってしまっているので、説得だとか「釈迦に説法」などと言うおこがましい手段は通じないのも理解した。
 欠陥品をゴミ箱に捨て、新しい作品を制作して、今度こそ悲劇も喜劇も産まない傑作を作ろうと思慮している。
 もうこれ以上の会話は不要で、即座に人道に反するテロリストを始末して無力化する時だと判断したが、そこで別の人物が割り込んだ。
『まあまあ、そうカリカリしないで』
『アンタ、どうやってここ入ったの?』
 最近死んだウィスパード、ナミが出現して、二人の会話、同化や殺害を阻んだ。
『カナメは人類自体が汚い穢らわしいものだと結論を出して始末することにした。テッサはまだ人類に望みがあるとか子供の駄々みたいな寝言を言って理屈を捏ねてる。それでオーケー?』
 人類を守るという、ミスリル設立や存続に関わる理念、思想を子供が捏ねている駄々と評され、初対面の人物にタメ口をきかれてカチンと来たが、ウィスパードの条件は同月同日同時間の誕生日なので、出生日時までタメである。
『オーケー、レナードはここにいないけどアタシの結論に賛成よ。今はソースケと殺し合ってる頃だから参加できないけど、他のも呼んだら?』
『あー、そうしようか、じゃあ、第一回ウィスパード会議~っ! ドンドンパフパフッ!』
 ナミが呼び出したので、久壇未良や確認されていなかったウィスパードまで招聘され、結構な人数が集まった。
『えっ? 私、研究室にいたはずなのに? チドリ・カナメ、テレサ・テスタロッサ? ああっ、また薬の後遺症でっ!』
 ロシアでソースケに救出されたミラは、この現象も薬物の後遺症だと思って頭を抱えた。
『ああ、幻覚じゃないよ、ここはオムニスフィアに近い場所。ウィスパードって呼ばれた子なら全員参加できるのよ。何かレナードはソースケと殺し合いしてるそうだから、呼び出すと悪いから今は不参加』
『え?』
 初対面の少女に気安く話しかけられ、困惑したミラだが「相良宗介」の名前を出され、一気に顔を赤らめた。
『あれ? アンタ、ソースケ好きなんだ?』
『は、はい……』
 本心を隠せない空間なので、赤い頬を押さえながら話す。ミラにとってソースケは、まさに白馬に乗った王子様だった。
 死んでしまった工作員は、逃げる道中揉め事を起こして「爪を噛むな!」と禁止されたり、命を救うためとは言え、怒鳴られる、殴られる、引きずられる等の暴力行為が多々あったので恋心が芽生えなかった。
 しかし同国人で日本語で話せて、ハインドを受け止めて戦ってくれた白いロボ、アームスレイブの搭乗者は、王子様以外の何物でもなく、ハートのど真ん中100点満点を旧NATO弾7.62ミリで貫通されてしまい、今も銃槍からドクドクと血を流していて恋心を押さえられないが、自分は薬物汚染ヤンデレリスカ爪噛みボーダーウィスパード、と言う最悪の物件なので告白もできず、秘めた恋心を募らせ、というか拗らせていた。
『あらゴメンナサイ、あたし、シャワー浴びてるソースケと一緒に、ウフフフフフ』
 勝ち誇ったようなナミの薄ら笑いに反応する女が三名もいた。
『『『何をしたのっ?』』』
 さっき、世界の終末を話していた時より真剣な表情で食って掛かるテッサ。
 何か「うはははは」とか笑っているカナメ。これが陣代高校ソフト部なら「この会話は終了」になったが終了せず、ミラは顔面蒼白になった。
『まあまあ、ちょっとした「過ち」って奴よ、ナムサクでASの対戦やってて、連戦連勝のソースケにボーナス出したかったんだけど現金が無くてね、体で払おうとしたんだ』
『ヒイイッ!』
 ミラが引きつけを起こして倒れ、カナメは実力行使に入ってグーで殴ろうとしたが、お互い実体がないのでスカッと通過して、相手も死人なので手出しする方法もなかった。
『偶然装ってシャワー室に入ってね~、見つめ合う裸の男と女、後は分かるでしょ~~?』
 ナミは自分の体を抱いてキスでもするようなポーズを取ったが、嘘が通じない空間なので、そんな嘘は長続きしなかった。
『分かりません、サガラさんはそんな事シません、できませんっ』
 ナミに侵入して、それが未遂に終わって、どっかのセイバーさんみたいに「すまない、時間節約の為に一緒に入るのも良いが、俺は汗を流し終わったのでもう出る」と石部金吉さんの表情で言い渡され、食べ頃抱き頃、全裸で真っ裸で準備オッケーの女を置いて、平然とシャワー室を交代されたのを知って、笑い出すテッサとカナメ。
『『ひゃっひゃっひゃっひゃっ、裸で抱き付いたのに無視されて、放置されてやんの、ハズカシーー、アタシ(私)ならその場で死ぬわ、あっはっはっ』』
 そう聞いて病んだミラも復活したが、ブーメランがグッサリ刺さる女も居た。
『ああ、通路でパイプに躓いたふりして、ソースケの胸に飛び込んでもキスしてくれないから「上官命令」で目を瞑らせてキスして、レディチャペルでも目の前でストリップ実演したのに、抱いてもらえるどころか縛られて逃げられた女もいたわねえ? ギャハッハッ!』
 ナミに接続してほんの少し溶けてしまったテッサは、自分の過去も見られてしまい、わざとらしい爆笑をされた。
『キーーーッ! くあせふじこfisrjiohjsogfhalihwfhga;wjawfawawfrgh』
 謎の呪文を唱えて悔しがるテッサだが、ナミとの違いを発見して反論する。
『私の裸を見たら、サガラさんは鼻血出して目隠しして困ってました、もう出撃時間だったし~、サガラさんは変なビデオとか雑誌も見ないから、そんな耐性も無いんですっ、それに2回もキスして今も私のブラ持ってったから、それをお守りに戦ってるんです~~っ!』
 そこでカナメは異変に気付いた、ソースケの思いは自分に向いているはずなのだが、この女達の方が関係が進んでいる。
 テッサはキス2回にレディチャペルで裸まで見せて心臓マッサージとか拘束放置プレイ。
 ナミもボロサベージで試合に勝ったのに感激して抱き付いてキス、シャワー室に裸で乱入して無視の上放置。
 ミラはお姫様抱っこの上「家に帰らせてやる」と言われて胸の奥とかがベキボキになるまで締め上げられて、身も心も捧げるぐらいのキッツイ恋心。
 それに比べるとカナメは、せいぜいバスタオル姿を覗かれて、信ニと一緒に金属バットで殴った程度。抱き合っても着衣、キスなんかしてない、淡い恋ぐらいでミラの気持ちには到底叶わず、テッサとナミにも敵わない。
 ハリセンでしばくこと数百回、足で踏んづける、殴る蹴る、マニアックなプロレス技を各種、両手を極めた状態で受け身も取れないバックドロップ、ジャイアントスイング、それでソースケが懐いたので、一つの可能性を考えた。
『ソースケって、マゾ?』
 あれだけ乱暴に扱い、初日はパイプ椅子に手錠で拘束。暴言、暴力、それで愛されたとしたら、ソースケは自分の暴力に惚れ込んで、女王様として見られているのではないかと思い始めた。
『違います~~、サガラさんはストレートでゲイじゃないし、マゾでもありません~~』
『ええ、私の相良さんファイルにも、マゾとかホモのデータは有りません。監視映像でもマオさんの下着姿を見たり、カナメさんやテレサさんの写真でヌイたりしますが、マオさんの下着を盗んだり、オカズに使用したりはしませんでした。盗めば発覚してウェーバー軍曹のように殴られて踏んでもらえるにも関わらず、です』
 全員「それ、ストーカーじゃねえか?」と思ったが、ミラに繋がると、オムニスフィアに接続している間はソースケの部屋に現れ、寝ているソースケの寝顔を真横から一晩中目を見開いて瞬きもせず見続ける。見えないのを良いことに全裸で一緒に入浴。床に落ちていたり排水口にある男の黒髪を持ち帰って食べる。下着シャツ靴下などを盗む、臭う、食べる。パソコンの壁紙もソースケ様、自分の部屋の壁、天井一杯にソースケの写真をビッシリ貼る。監視カメラを仕掛けて音声も盗聴、ミスリルの資金でネット契約してソースケの部屋から監視映像を圧縮して送る。休日は霊体のままソースケの背中に乗り「あたし、相良さんの背中に裸で乗って街中歩いてる、もう頭が沸騰しそうだよ」とか、マジキチの背後霊ストーカー行為を知らされ、全員ドン引きした。
『『『アンタ怖いよ……』』』
 ちなみにレーバテイン制作に大幅に関わったミラは、民生以外の各種部品に自分の髪の毛を刻み込み血を混ぜ、赤の塗装の下にはミラの血で描いたホワイトマジック?の文様が書いてあり、どう見ても血まみれの機体は黒魔術の呪いなので技術者が逃げてミラ自身で塗り、塗装だけ剥がせるような状態とか塗装前の装甲板を見れば「相良さん好き」とか「愛してる、久壇未良」と言った血文字が見えて、怖すぎて乗れなかったはずだが、皮肉にもアーバレストには装備されていなかった「呪い」がレナードからソースケを守った。
 
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