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消えるもの

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第三章

「昨日のムスカの潜水艦作ったんだがな」
「おお、そうか」
「格好いいな、あれ」
「そうじゃろ、敵が格好良くないとな」
「漫画も何でも映えないな」
「そうじゃ、御前さんセンスがいいな」
「あれはこっち側でもいいな」
 ムスカの潜水艦のセンスはというのだ。
「そう思って他にもいいのあるんじゃないかって思ってな」
「プラモでか」
「来たんだけれどな」
「そうじゃな、店の奥にそんなのは幾らでもあるぞ」
「幾らでもか」
「売れ残りがな、ガンダムも最初のからあるしマクロスもな」
「バルキリーかよ」
「あるぞ、他にも幾らでもあるぞ」
 古いプラモデルがというのだ。
「御前さんが昨日勝ったムスカだけでなくな」
「ガンダムは今でも出てるからな」
 ファーストのもとだ、こちらは時々出る。
「別にいいな」
「そうか」
「ああ、特にな。しかしな」
「古いのが幾らでもあるからか」
「そういうのは見たいな」
 こう言うのだった。
「俺も」
「それで買うか」
「ああ、ちょっと見ていいか?」
「わしも行こう」
 その古いものが多くある店の奥にというのだ。
「是非な」
「興津さんもか」
「せがれに店番を任せてな」
 そうしてというのだ、見れば店の奥というか倉庫はかなりの広さだ、地下にも続いている感じである。
「一緒に行くか」
「ひょっとして俺が盗むと思ってるとか?」
「いやいや、それはないじゃろ」
「ああ、俺は盗みとか嫌いだよ」
「それは昨日お金をちゃんと払ってわかった」
 その時にというのだ。
「だからいい、しかしな」
「それでもか」
「うむ、下手に出して積んであるのを崩されたらかなわん」
 だからだというのだ。
「一緒に行こう、そもそもプラモはな」
「古いっていうんだな」
「そうじゃ、奥が深い。戦車や船だけでなくアニメのでじゃ」
「昨日の青の六号でもか」
「あれはあのプラモが出た時はアニメにはなっておらぬ」
 その頃はそもそもテレビ自体が稀少だった、そうそう簡単にアニメ化が実現する時代ではなかったのだ。
「しかし人気があった」
「へえ、そうだったんだな」
「では今からな」
「ああ、店の奥に入ってか」
「色々見ようぞ」
「またムスカの潜水艦みたいなのあるか」
「まああるじゃろ」
 そこは今一つわからないという返事だった。 
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