| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

殺人

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四章

「けれど殺す夢を時々見るとか」
「何かない方がおかしい」
「そうとしか思えないから」
「だからっていうのね」
「そうよ、というかあんた最近身体動かしたりとかは」
「ああ、スポーツね」
「お仕事と家の往復よね」
 最近の珠莉はというのだ。
「お部屋の中じゃレンタルしたDVD観るかゲームばかりで」
「家事はしててもね」
 円と交代でだ、料理も掃除もしっかりとしている。
「それでもね」
「そうした生活だとね」
「ストレスもなの」
「溜まってるんじゃないの?」
「若しかしたらね」
「ううん、じゃあ」
「スポーツでもしてみたら?あんた学生時代テニス部だったんでしょ」
 円は珠莉とは仕事場で出会いそこから親しくなった、お互い大学までは別の場所に住んでいて生きていたのだ。
「だったらね」
「テニスでも」
「やってみたら?」
「そうしたらなの」
「ストレスがあっても」
 本人が気付かないうちにだ。
「それで発散出来るんじゃないかしら」
「そういうものなの」
「そう、やってみたら?」
「それで何とかなるかしら」
「そうかも、というかあんたの夢での殺し方尋常じゃないわね」
「殺す相手もね」
 どちらもとだ、珠莉も言う。ジャムを塗ったトーストを食べつつ。
「あんたとかお父さんお母さんとか」
「明らかに普通じゃないわね」
「相当根が深いのかしら」
「スポーツで解消出来ないかも」
「じゃあどうしようかしら」
「そこが問題ね」
 どうにもとだ、円は野菜ジュースを飲みつつ応えた。
「やっぱり」
「そうよね、お医者さんに診てもらおうかしら」
「そうする?」
 こんなことを話した、そして実際にだった。
 珠莉はテニスをはじめた、その分だけ部屋ではDVDやゲームをする時間は減った。珠莉は他にもだった。
 習いごともテニスをやるならと思いはじめた、その習いごとは。
「書道もなの」
「子供の時に教室に通ってたから」 
 だからだというのだ。
「もう一度ね」
「やってみるの」
「何かテニス再開したらね」
 それでというのだ。
「習いごともしたくなって」
「身体を動かしたら」
「それでね」
「そうなの、それで再開してるの」
「成程ね」
「あんたはジムに通ってるわね」
「泳いでるわ」
 円は健康の為にそうしているのだ、実はスタイルにも自信がある。
「ほぼ毎日ね」
「そうよね」
「それであんたは習いごともなの」
「やっていくわ」
「そうなのね」
「まあ身体も頭も動かして」
「ストレス解消ね」
「それに励むわ」
 こう話してだ、実際にだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧