殺人
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第一章
殺人
嫌な夢だった。
池田珠莉は同居人の池山円を殺した、しかもその殺し方が半端なものではなかった。
二人が住んでいる部屋の中でショットガンを撃って胸から派手に血を流させて殺してだった。白目になり口を開けて死んだ顔になっている円をだ。
浴槽に運んでいって鉈や斧、鋸でバラバラにしていった。何故か切断した頭に斧の一撃まで浴びせて脳漿まで出させてだ。
身体を八つ裂きどころか百程に分けそのうえで街のあちこちに捨てていく。部屋にあった血は全て拭いてだ。
後は何気なくを装って日常の生活に戻る、だが。
何時警察にばれるのかわからず戦々恐々とした日々だった、そして警察官が自分の目の前に来たところでだ。
目が覚めた、そして同じベッドで寝ている円を見ると。
円はぐっすりと寝ていた。長い黒髪を下ろしてアーモンド型の一重の目は今は閉じられている。
豊かな頬はそのままでピンクの唇はうっすらと開き高めの丸い鼻と共に呼吸をしている。背は一五〇程の珠莉より十センチ高いがベッドの中なのでそれはわからない。
その円はすやすやと寝ている、それで珠莉は先程のことは夢だとわかってあらためて寝た。だが翌朝だった。珠莉は円と共に朝食を摂りつつ彼女に言った。
「昨日嫌な夢を見たわ」
「どんな夢?」
「あんたを殺す夢よ」
単刀直入に言った。
「そんな夢見たのよ」
「それは縁起でもないわね」
「そうよね」
「ええ、本当にね」
円も言う、そのうえで珠莉のその顔を見て言った。自分の向かい側の席に座ってトーストを食べている彼女を。
白い面長の顔で鼻の形はすっきりとしていて面長の顔によく似合っている、優しい目の形をしていて茶色にしている髪で首を完全に覆っている。小柄だが胸は結構ある。一緒に暮らしていて同じベッドで寝ているがそうした間柄ではない。部屋のスペースの関係で同じベッドで寝ているだけだ。
「嫌な夢ね」
「何でそんな夢見たのよ」
珠莉は自分自身に言った。
「一体」
「どうしてかしらね」
「それがわからなくて」
「というかあんた私を殺したいの?」
「そんな筈ないでしょ」
すぐにだ、珠莉は円に答えた。
「間違っても」
「そうよね、私にしてもね」
「私を殺す理由はないわね」
「別にお金のことや彼氏のことで揉めてないし」
「お部屋のことでもね」
一緒に住んでいるがだ。
「別にトラブルないし」
「それで何で殺したのか」
「夢の中でも」
「全くわからないのね」
「そうよ」
こう円に答えた。
「しかもショットガンで撃って鉈や斧でバラバラにするのよ」
「うわ、私凄い殺され方されたのね」
「それでお風呂場で死体を処理したのよ」
「証拠隠滅ね」
「そうしたのよ、けれど私ショットガン持ってないし」
そもそも銃も使えない、銃の詳しい入手方法も知らない。
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