世界をめぐる、銀白の翼
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第三章 X《クロス》
邪神
「オォオオオオオ!!」
一刀が流星剣で切り掛かる。
しかし、その動きは最初からわかっていたかのように回避される。
「えい!!」
観鈴の衝撃波が襲い掛かる。
しかし、額部分から魔法陣が出現してそれを防いでしまう。
「行かせるか!!」
理樹がバリアを張る。
しかし、尾が振るわれて七色の魔力がほとばしり破壊されてしまう。
フォーティーンにあらゆる攻撃を加えていくものの、そのすべてが躱され、弾かれ、破壊される。
カケラによる先読みの力は絶大で
魔術書の知識から来る防衛策は完璧で
七色の魔力による攻撃は強力すぎる
これだけやって、まだ力を蓄えているのだから、まさに邪神だ。
フォーティーンが棍棒を振るうと、地面や宙に魔法陣が出現し、その中心から化け物が現れてきた。
さらに剣をタクトのように振るうことで、その化け物たちが「EARTH」のメンバーに襲い掛かって行った。
召喚、使役
「電王!!過去に戻ってあれを消せないのか!!」
『無理です。ハナさんを取り込んでるから、過去や未来からの介入はできないです!!』
特異点
「これだけの力を使ってるんだ・・・暴走しないわけが・・・」
「イリヤを取り込んでる以上、力が器を超えることはないと思います、よ!!」
聖杯の器
ドドドドドン!!バッチィ!!
「ホントに雷かよ・・・自然現象の域を超えてるぞ!?」
「液体に触れるな!!爆発するぞ!!くっそ・・・「あいつ」の獄炎の方がかわいく思える!!」
電撃、爆炎
「クロックアップ以上・・・!?」
「違います・・・瞬間移動・・・それ以上の力だ!!」
「時を・・・止めるだと!?」
時間操作
それぞれの力は威力の上下こそあれど、そのどれもが強力だった。
いかなる対軍兵器も、巨大砲撃も、技も、能力も、この邪神を前にしては遊びに近い。
飛び掛かって切り掛かることも可能だが、近づいて一回斬りかかるだけで内部から衝撃波が吹き出し、叩き落とされてしまうのだ。
《ABSORB QUEEN―――FUSION JACK》
《ABSORB QUEEN―――EVOLUTION KING》
「行くぞ剣崎!!」
「はい!!」
空を飛べるメンバーは残らず飛び立ち、四方八方から攻撃を仕掛けていく。
しかしだからと言って効いているわけではない。
だが意識をこちらに向けることは出来る。
彼らは待っていた。
現在を以って「世界最強」と言える、彼を。
《SPADE 10 JACK QUEEN KING ACE―――ROYAL STRAIGHT FRASH》
「アアアアアアアああああああアアアアアアア!!!」
ドゴッ、ギャギギギギギギギギギギギギギギギィィ!!!
ブレイドキングフォーム渾身のロイヤルストレートフラッシュも、フォーティーンの鎧の隙間を狙うが回避され、その鉄板のような場所にぶち当たって縦に真っ直ぐ火花を散らしながら少しだけ窪ませていくだけだ。
落ちていくブレイド。
それを剣で切り裂こうとするフォーティーン。
ブレイドは巨大なそれを、自身の剣を二刀握って受け止めた。
しかし、受け切れるはずもない衝撃に、地面に激しく叩きつけられて変身を解除されてしまった。
刻一刻とメンバーが減らされていく。
と、そこに
「フッ、ハァッ!!」
ドッゴォウ!!!
メンバーに向かって振り降ろされたフォーティーンの剣を、クラウドが全てを組ませた合体剣で真っ向から斬りかかって互いに弾かれていった。
フォーティーンの上体はよろめき、クラウドが地面に真っ直ぐ落下して着地する。
「クラウドさん!!」
「アンデットはすべて倒した・・・・それにしてもデカいな」
そうさらっと言って空を見上げるクラウド。
それに対しフォーティーンは、自分の剣を弾いた相手を見つけ最大限の威嚇を以って咆哮してくる。
「開翼!!!」
ドバッ!!とクラウドの背から漆黒の翼が広がり、咆哮の衝撃を掻き消していく。
「アイツのもとにたどり着ければ勝機があるかもしれない。三人とも、援護を頼めるか?」
「よっし!!」
「オッケイ!」
「任せて!」
「よし・・・行くぞ!!」
ドンッッ!!!
そう叫んで一気に地上を飛び立っていく四人の翼人。
それに対しフォーティーンが剣と棍棒を振るって襲い掛かってきた。
クラウドが魔法と剣技でそれを弾き、さらに前へと進んでいく。
その途中を、召喚された無数のアンデットが阻んでくるが、クラウドの前に現れた観鈴が衝撃波ですべて薙ぎ払って地面に落とした。
更にクラウドを落とそうと、七色の魔力光と共にエネルギーが尾とともに振るわれる。
今度は理樹の番だ。
クラウドを追い抜いて飛び出し、その尾を防ごうと最高のバリアを繰り出した。
「さっきは壊されたけどね、今度はそうはいかないよ!!」
ヴォンヴォンヴォンヴォン!!
「五重に張って、さらに流動!!壊せるものなら、壊してみなよ!!」
理樹がバリアを張って、それを防ぐ。
しかし、恐ろしいことにその五重のバリアは三層目まで何の障害もなく破壊され、四層目もヒビが入って少し耐えた後に破壊されてしまった。
だが最後の五層目に尾がふれた瞬間、フォーティーンの尾が流動によって、引っ張られるかのようにがくんと突っ張り、フォーティーン自身の巨体が大きくブレた。
「いまだ!!」
理樹が叫び、作り出されたバリアの足場を力強く蹴ってクラウドがさらに飛び出した。
フォーティーンは眼前。
しかし
「FUSHUUUUUUUUUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
咆哮と共に、背の二つの封印プレートが光った。
カケラによる先読み、そして時止め。
おそらくここまで来るのはフォーティーンにとっても予想外だったのだろうが、最終的にはこの力がある。
それを以って回避、さらにもう来れないように反撃して叩き潰すつもりだ。
「一刀!!」
「ああ、右後方から来るぞ!!」
ゴォ!!
「また動いたな。次は真左だ!!正面に誘導する!!」
一刀の片目が光り、それによる能力で先読みを行っていた。
その借りた力の目の名は「劫の目」
皐月駆の持つ、数ある未来の可能性を幻視する目だ。
だがその膨大な情報の処理は一刀にはまだ扱いきれていないのか、ツツー、と鼻血が垂れてきていて、頭が痛むかのように押さえていた。
しかし、それのおかげで相手の動きは見えるし、予測していくことも可能になっている。
そして
「行けるぞクラウド、真正面だ!!」
「(コクン・・・!!!!)」
フォーティーンが一刀の力によって誘導され、その眼前に突如として出現した。
時間停止による移動だったのだが、それを一刀によってこの位置にずらされてきたのだ。
「「「ブッち」」」『『『かま』』』《せェえええええええええええええ!!!!》
全員の咆哮に、フォーティーンの体がビリビリと振動する。
クラウドが剣を分離させ自分の周囲に出すと、それを次々とフォーティーンの体、ちょうど右脇腹に向かって連続で投げ放って行った。
「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!一点集中!!」
ガゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ、ビシッ、ドスッっ!
そして、最後の剣が見事にフォーティーンの脇腹に突き刺さり、鎧にひびが入る。
「集え!!」
クラウドの叫びとともに、それまで投げつけ、鎧に弾かれて行っていた剣から魔力の糸のようなものが伸び、ピィンと張った。
その行先は、フォーティーンの体に突き刺さった一本。
その柄の尾に二本目が突撃、ぶつかって一本目を体内に押し込んだ。
二本目が一本目と同じくらい突き刺さり、さらにそこに三本目、四本目と突き刺さり・・・・・
「GYIAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
「「あいつ」なら、お前程度の邪神・・・・」
「GOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!?」
「こう簡単に、斬り伏せてくれる。だから俺も・・・・・やらせてもらうぞ」
フォーティーンの体内で縦連結したクラウドの剣の先端が、ついにフォーティーンの体を貫いた。
そこからクラウドが最後に突っ込んだ剣、つまり飛び出した柄の方を握り、渾身の力を持って振り上げた。
となれば当然、右わきから左肩に斬り裂かれるのはわかりきったこと。
ザギュッッ!!
「まだァ!!」
ギャオッっ!!
さらに右肩から左脇に、Xの字を描くようにしてフォーティーンを斬り裂くクラウド。
その斬り口から炎が上がり、フォーティーンの体を包んでいく。
その体から明らかに生気(と呼べるものがあるのならば、だが)が抜けて行っている。
しかし、いまだフォーティーンに倒れる気配はない。
「こいつ・・・まだかよ!!」
「インデックスの知識と羽入の神通力をフルに使って再生しようとしてやがる・・・・」
「それだけじゃない。「少女」の魂が力になる、というのが本当なら、そもそもの治癒能力、基本スペックもでかいはずだから・・・」
そう、なんということか今やフォーティーンの体は、すでに斬り口吹き出る炎のエネルギーすらも取り込んで、再生へと向かっていた。
しかし、体を傷つけられたというのがよほど頭に来たのだろうか。
再生を待つことなくフォーティーンはクラウドへと襲いかかっていった。
「ZIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
「グッ、お!!」
バガン、ゴォン、バゴォッッッ!!!
その剣と棍棒を剣で受け、流すクラウドだが、真横から振り下ろされた盾をもろに食らい、吹き飛んでいく。
身体が横に「く」の字に曲がり、肺から空気が吐き出される声にならない呼吸音と、右半身の骨がミシメキと軋む嫌な音が聞こえてきた。
グググッッ、と振られた盾に張り付くように押しのかれていくクラウドは、それが降り抜かれると同時に目にもとまらないスピードで地面に向かって一直線に激突した。
が、その体はとっさに動いたカブトや翠といったメンバーによって、直撃は避けた。
しかし地面はくぼみ、皆がクッションとなってくれたにもかかわらずクラウドはすぐに起き上がれないし、カブトと翠は完全に気絶してしまった。
そのクラウドにフォーティーンが襲いかかる。
それを止めようと一刀が地面を走り、フォーティーンの真下へと向かっていった。
それに気付いたのか、フォーティーンが一刀を見ることもなく盾から流した爆液で吹き飛ばそうとこちらに向けてきた。
走りながら一刀はそれを回避し、爆発によって跳ね上がった地面を駆け、真下に到達すると一気にしゃがみこんで跳躍、開翼して突っ込んて行った。
垂直に飛び上がった一刀の目の前には、フォーティーンの尾があり、そこからヴィヴィオを模したようなプレートが見えた。
直後、そこから七色の魔力が吹き出、幕でも張るかのようにして一刀に落ちてきた。
「ッ!? フンッっ!!!」
それを見て、一刀が空中で足を踏ん張った。
「オォオオア!!つ ら ぬ けェ!!!」
一回転し、反動をつけて足を踏み込み、左掌の甲に右拳を当て、全身の力を込めて、それを打ち込んだ。
拳から放たれ、掌底から打ち出された衝撃が、フォーティーンの体を下から一気に脳天まで走り、貫く。
ゴプン、とフォーティーンの目や鎧の隙間から何やらよくわからない液体がこぼれ、その体がビクンと揺れた。
「っしゃぁ!!」
一刀がガッツポーズを取り、フォーティーンの体が止まった事に手ごたえを感じていた。
しかし、直後フォーティーンの目だけがギョロリと周り、一刀を捉えた。
その尾が鞭のように奮われ、それを一刀は紙一重で回避。
しかしそれと同時に放たれた七色の光線が一刀を追い始め、七つの追尾から一刀が開翼して回避を始めた。
一つ、二つと弾き、回避し、消滅させていく一刀だが、一発が掠り、二発三発目と命中してしまい、動きが止まったところに電撃をくらって地面に落ちていく。
それを愛紗とセイバーが抱えあげるがあまりの電量に身体が痺れてしまい、まともにしゃべることすらもままならない。
そうしている間にクラウドが何とか立ち上がり、フォーティーンに向かって再び斬りかかっていった。
クラウドの力はすさまじく、フォーティーンとまともに数回斬り合っては地面に落ちていくことの繰り返しをしている。
無論、他のメンバーも見ているだけではない。
当然地上や空中からの攻撃は行っているのだが、まったくフォーティーンは気にもせず、ただ翼人組との戦闘しか行わないのだ。
まるで、相手にするのも馬鹿らしいといわんばかりに。
「グオァッっ!!?」
そして、何回目だろうか。
クラウドがまた地面に叩きつけられ、それを頭から血を流した理樹が抱えあげ、観鈴が一刀を起こそうと腕を引っ張っていた。
しかし支えている方も支えられている方も、すでに限界に近い。
足はガクガクで、視界もぼんやりしてきた。
そうまでなって必死に闘う姿を見て、メンバーは徐々に思い始めてしまっていた。
――勝てないのでは、ないか――
しかし、そうなってはならない。
そうはなってはいけないのだ。
「世界は、幾度も消滅の危機にさらされてきた」
理樹が言う。
「いつだって、大丈夫だと思っていた「世界」っていうのは、簡単に砕け散ってしまうものだったんだ」
くじけそうな魂に、言葉を向ける。
「でも、でもだよ?あきらめず、立ち上がる。たったそれだけを繰り返してきて、僕はこうして生きて、この世界にいる」
終わりなんてない。
「そして、それは誰だって知ってるはずだ。だって・・・・」
だって今ここにいるみんなは、そういう男の背中を見、憧れ、集まったみんなじゃないか―――――
「友の為に!!!」
「繋がる・・・絆を守るために!!」
「愛する想いを」
「立ち向かう勇気を、ここに」
ゴォッッ!!!
四人の翼人それぞれに、皆の思いが流れてくる。
翼が輝き、粒子が舞う。
その光にフォーティーンの目がくらみ、そして晴れた頃に四人はそこにいなかった。
驚愕するフォーティーン
直後、彼の左右の腕がへし折られた。
右を一刀に、左を観鈴に。
その再生はすぐだ。
しかしそれよりも早く理樹が懐に入り、バリアで作った超巨大なナックルでフォーティーンの体をアッパーで打ち上げる。
フォーティーンの顎が砕け、衝撃にそこからの咆哮も漏れなくなった。
そして
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
クラウドの気合とともに合体剣が振り下ろされて、フォーティーンの体を脳天からまっすぐに斬り伏せた―――――――――!!!
「ゴ・・・・・ガ・・・・・・」
ズッ・・・グラァ・・・・・・
フォーティーンの体が揺らぎ、そして・・・・・
ズゥン・・・・
落ちた。
その光景に、すべてのものが歓喜した。
諸手を挙げ、喜んだ。
しかし
「GAAAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!」
地面に倒れたフォーティーンの目がガッ!と光り、上体を起こしてメンバーに向かって最後の一撃を放とうとしてきた。
突然の動きに、全員が固まり無防備になる。
そして
ガッ、ドォウ!!!
フォーティーンの背後から、長い長い日本刀が斬り裂いて、その体の核を破壊した。
それによって体が爆発し、フォーティーンの体が消える。
「素晴らしい出来だ」
その人物が淡々と言った。
それを見て、ほとんどのメンバーは新たな味方かと思った。
そう、始めてみる人物だ。
しかし、何人かは「どこかで見たような気がする」と感じていた。
「私の為にここまで力をそろえ、さらにお前たちを弱体化させた」
そのメンバーの中、たった一人だけが剣を握りしめ、その男を睨みつけた。
「膨大な力の奔流の中、ようやくまた戻ってきた。多くの絶望に惹かれてな・・・・」
クラウド・ストライフが、男の名を叫んだ。
見間違えるはずもない。
決して見間違えるものか。
長い銀髪
漆黒のコート
魔晄に浸った蒼い眼
男の伸長を優に超えて長い、異様な長刀
すべてを見下したような、冷たい視線。
「セフィロス・・・・・・!!!」
「・・・・クラウド・・・お前の大切なものを・・・・・奪いに来てやったぞ」
事件は、邪神に終わらなかった。
それらすべてを利用する、最悪の英雄が現れた。
to be continued
後書き
邪神さん退場!!
でも翼人四人がかりなのにをここまで痛めつけるって相当だと思うんだ。
だから弱いわけじゃないよ。ほんとだよ!!
と、いうわけでクラウド愛好会の会長、セフィロスさんに来てもらいました。
もう静かな口調で語尾に「クラウド」ってつければ何でもセフィロスになる気がしてきた
さあ、みんなもやってみよう!!
では、また次回をお楽しみに!!
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