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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第三章 X《クロス》
  翌日



「EARTH」襲撃、および少女誘拐から、翌日




「つまりそっちの放火事件の・・・・」

「イクスヴェリア・・・イクスのあんな不完全な復活も、アンデットが絡んでいたみたいね」

「というか、あいつの言ってる風だとそのためにわざわざ解き放ったらしい」



廊下を歩きながら、一刀、ティアナ、理樹が二つの事件の関連性に関して話あっていた。


今回の襲撃で、「EARTH」本部のビルはかなりの損害を受け、現在修復中だ。

今三人が話している廊下は、巨大空中戦艦「瞬風」のである。



「彼女らがさらわれて・・・でもまだ動きがないんだ。どういうことだろう?」

「向こうにも事情があるということ?」

「わからない・・・そういう意味では、彼を連れてきたのは・・・・」


プシュ


「良かったかもしれないね」




「おぉお!!これが今の世界の形!!それにこの戦艦も素晴らしい・・・・む!?これはマテリアというのかね!?ほうほう、これもまた別の世界の魔法の形。我々のは魔法科学と言ったところだから、こっちの方が本当の意味で魔法と言えるかもしれない・・・・こっちは伝染病のデータかい!?ふむふむ、雛見沢症候群・・・・その土地特有の・・・・おお、時を超える電車だって!?こちらは古代の戦士のベルトに、鏡の世界!?待て待てこの聖杯戦争とはなんだ?サーヴァント・・・・・ぜひともお目にかかりたい!!ま、まさかこっちは・・・」




そう言いながら三人が入った部屋では、連れてきたジェイル・スカリエッティがここの端末を使って様々なデータを見漁っていた。
無論、変なアクセスや下手な情報を見られないようにはしているが。

それでも十分らしく、ウヒョー、と興奮気味にドンドンデータを漁っている。
お目付け役の朱里と愛紗が椅子に座ってげっそりしている。


愛紗なんかは気力や気合いという物を見せてくれとせがまれ、朱里に至ってはものすごい量の質問攻めにあっていたのだ。
しかもこのテンションである。疲れるのは当然だ。


「ジェイルさん」

「!?おぉぉおおおおお!!翼人のお二人!!ぜひともこれを・・・・」



「そんなことよりも今回の事件でちょっと・・・」

「見てくれ!!がんばったよ・・・・ティアナ・ランスターのスリーサイズをブフォア!?」

「なんでそんなもん手に入れてんのよあんたはッッ!?そこッ!!理樹も一刀もデータを見るなぁぁああああああ!!!!」



ここからどうやってハッキングしたのだろうか。
とりあえずスカリエッティの顔面にクロスミラージュでぶっ放してめり込ませ、それをさりげなく手元に持ってきてまじまじと見ている二人の首元にダガーを押し当てるティアナ。


「はっはっは、スカさんGJ」

「GJ!!」

「ご主人様!?理樹殿も鈴殿に言いつけますよ!?」

「やばっ」

「と、思ってすでに事情を知った鈴さんをこちらにご用意しています」


「理樹のバカ!死ねぇーーーーーーーーー!!!」


「ガンッ!?(ドキャッ!!)」




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「・・・と、漫才はそれくらいにして」

「顔をそんなにボコボコにされて漫才と言えるのかい?」



そんなこんなで本題に入る三人。

少女らの力など、事件に関する内容を聞いたうえで、スカリエッティが邪神に関しての推論を話し出した。


「あくまでも推論だがね?彼女らの力は邪神を強化するためのものだ」

「ああ・・・・それはもうわかっている」

「時間や存在に関するもの。単純に力と知識、さらにはそれだけのものを受け入れるだけの器・・・・」

「そう、そのために彼女たちはさらわれたと考えるね。全く、十分に世界を破壊しうるじゃないか」




「なんであの年なのか、とかは分かったの?」

「わからない・・とまでは言わないが、まだ予測の域を出ないよ。推論にもならない」

「そうか・・・」

「それに、いまさらそれを知ってもしょうがない。それよりも・・・」

「なんで全員揃ったのにいまだ動きがないのか、ということね?」



そう、そこが不安なのだ。
なぜせっかく全員がそろったというのに、その邪神というのが出てこないのか。

もし既に活動しており、人知れず動いているのならば厄介だ。



「ふむ・・・これも推論だがね」

「それでも十分です」

「なにぶん十人という人数だ。対象も少女・・・つまりは比較的不安定な年齢。取り込むということは一つにすること。そのために、全員がある一定値以下にまで落ち着かないとダメなんじゃないかな?」

「つまり、今は復活させるために調整中・・・ってこと?」

「私はそう考えるね。もちろん、もう復活しているという考えもなくはないが」





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「橘さんが石板を見つけた場所は?」

「いいや、もうすでにもぬけの殻だった。おそらくあいつらがほかの場所に移したのだろう」



戦艦「瞬風」の食堂



そこで剣崎と橘が、アンデットたちの行方に関して話しあっていた。
邪神の復活にはあの石板が必要だ。



だが、橘が見つけた洞窟の中に向かっても、そこにはすでに石版はなかったらしい。



「復活するにはあの場所でなくてもいいらしいな」

「石版はゲート・・・ってことですか」

「ああ。だからどこで復活してもおかしくない」

「ほかの時限世界等に逃げ込まれたらお手上げだな」

「あ、シグナムさん、ヴィータちゃん」

「おいこら。なんであたしだけ「ちゃん」なんだ」

「一緒にいいか?」

「どうぞどうぞ」

「おい、なんであたしにだけわざわざ椅子に台を乗っけるんだ」

「それで・・・」

「おい、なんであたしの頭を勝手に撫でてんだぁぁあぁぁあアアアアアアア!!!」



「ちっこいし」
「ちっこいからだろう」
「ちっこいからだウェイ」


「ウがぁぁぁアアアアアアアああああ!!!」





閑話休題





「で、次元世界に逃げるかもって?」

「ああ、そうなれば範囲は一気に広がってしまう。探し出すのは至難の業だぞ」

「あ・・・うーーーむ・・・」


シグナムの言葉に、剣崎が唸る。
確かに、石版があくまでゲートであるならば、どこであっても邪神は出てくる。

どの次元世界でも別にかまわないのだ。


だが、橘がそれを否定した。


「いや、それはないな。アンデットの中にも時を止めるような奴はいたが、次元を操るようなものはいなかった」

「つまり、あくまでもこの世界の中?」

「ああ」

「でもよ、もし今回復活した奴らの中にそういう力を持った奴がいたらどうするんだよ」

「そんなことを言ってはこの話し合い自体無駄だな」

「うぐ・・・」


ヴィータの言葉に、にべもなく返す橘。
ストレートな返しにヴィータが詰まってしまうと、剣崎が慰めるように何かを差し出してきた。


「ほらよ、ヴィータ。プリンだ。元気出せって」

「お、おう・・・って!プリンであたしを釣れると「じゃあいらない?」・・・・もらいます」






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「EARTH」本部の治療室


比較的無事だったこちらの設備で、ある者が治療を受けている。
なにぶん瞬風の治療室では荷が重い患者なのだ。


と、言っても死にはしないのだが。



「大丈夫でしょうか」

「この子はアンデットだから死にはしないわ。もう少しすれば治るわよ。大丈夫」



そこのベッドに倒れているのは、ブロッサムアンデットに勇敢にも立ち向かって負傷した凩であった。

傍らには長岡が付き添っており、もう大丈夫だとシャマルが容体を見たうえで判断していたのだ。
部屋の隅にはザフィーラも伏せている。


「さすがね。治しているうちから細胞が再生していっていたもの。毛並だってもう全部生えそろってるし・・・・・」

「怪人・・・・と言ってはなんだが、そう言った姿にもならないところを見ると、力がないゆえにバトルファイトから降ろされた種族なのだろう」

「それなのに上級に向かって行けるなんてすごい子ね」

「守護する者として敬意に値するな」


「クゥーン・・・ワン!!」


「あら、お礼言ってるのかしら?」

「・・・・俺に犬の言葉は解らん」



ザフィーラの言葉に反応したのか、凩が元気よく、とはいかずとも返事をするように吠えた。

ザフィーラはオオカミなのでわからないことはないと思うのだが・・・・
本人がわからないのならわからないのだろう。



「それにしても、結局長岡さんの役目って何なのかしら」


と、そこでシャマルが気になっていたことを話題にした。
本当に、長岡の役目とは何だったのだろうか?


「・・・・わかりません。伝承も口伝のみでしたし、書物があったと言っても祖母の作った絵本くらいですし」

「邪神を抑え込む・・・つまりは復活した際の生贄としての役割だったのだろう?」


「ええ・・・しかしそれはあくまでもできるというだけで、本来の役割とは違うと、あのアンデットは言ってたわ」

「本来の役割ねぇ・・・・・」

「それに、どうして復活に関して私じゃなくてもよくなったのかも気になります」

「じゃあ・・・・」

「私もついていきますよ、最後まで。それが私の依頼だったもの」








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「おーい、どうだい調子は」

「あと三日、といったところかな。いやはや全員が年頃とあっては調節も大変だ」

「ウナギのおっさんも大変だな。ここにつきっきりだろ?」

「俺が離れては美琴嬢に対抗できんだろうが」




どこかの洞窟


近くに海があり、陸と海との境界線は海岸でではなく、断崖絶壁の崖で分けられていた。

崖の上は森が広がっているが、この洞窟があるのは崖の方だ。
そこに開いた穴の中に石版が立たされており、その前に少女たちはクリスタルのようなものの中で眠らされている。


少女たちは円形に並べられており、その一つ内側にホログラムのような光の輪が浮かび上がっていた。
それはそれぞれの前で窪んでいたり突き出していたりで、きれいな丸にはなっていない。


「イクスヴェリアは比較的落ち着いているな」

「美琴嬢がなかなか落ち着いてくれなくてな。みろ、輪が尖ってる」

「森の母(アルルゥ)は落ち込んでんなぁ・・・・」



と、この会話からわかるようにこの輪は彼女らの精神状態を表している。
それがきれいな円形になったその時、彼女らの魂を邪神に捧げる準備が完了するのだ。



「しかし落ち着いてきているな」

「ああ、少しずつだが」


「いいかー?抜け駆けすんじゃないですよ?」

「ふん。邪神の復活、そしてその力を自分のモノに、か」

「復活したのちに五人で戦い、勝ったものが文句なしで邪神に飛びつく。それでいいな?」

「異議なーし」


「そいつが逆に邪神に取り込まれたらどうする?」

「その時はその時だ。次の奴が飛び込めばいい。少なくとも、必ず俺らの内、一人が手に入れる」




その力を以って地上を制し、己が種族の繁栄と栄光を





計画は、着々と進んでいる。






to be continued
 
 

 
後書き

と、いうわけで襲撃から翌日の話ですよ!!


蒔風
「なあ、途中で次元世界って言葉が出てきたが」


ああ、あれですか。
この世界に統合されてしまったのは・・・・

なのはの世界からは地球とミッドです。
一期、二期そして三期の舞台すね。


だからこの世界では地球とミッドは同じ世界にあるんですよ~


蒔風
「他の世界は普通に次元世界か」


そそ。
ディケイドの回った世界もそんな感じで漂ってます。



蒔風
「アンデット曰く、後三日・・・か。長岡さんのあれこれもわからないし、凩もあれだしな」


まだ少しだけ謎が残る第三章!!
次回、焦り始める「EARTH」


蒔風
「ではまた次回で!!」

 
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