フリージング 新訳
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第38話 NOVA form 3
前書き
一年以上も放置してしまい、大変申し訳ありませんでした。
最新話、投稿となります。
今回のお話から、少々雲行きが怪しくなっていきます。
それご好みでないという方もきっと多いでしょうが、どうか、作者の趣味にお付き合いください。
第38話 NOVA form 3
地上。そこには、閃光が駆け抜けていた。
数多の聖痕に飲み込まれたパンドラ達が、その閃光によって焼き切られていく。
正しく言えば、彼女達の胸部にあるダイヤ型のナニカが焼き切られていっている。
それを破壊していっているのは、ブロンドの髪をなびかせた美女。彼女が操っているのは、ひし形の半分を切り分けた謎の物体。そこから放たれるレーザーは、彼女の意のままに操られている。
操るのはこの学園の最強の一角を担う1人。
エリザベス・メイブリー。
その実力は、最強クラス。
おそらくカズトも敵わない相手である。
「これで、粗方片付きましたかね」
優雅に髪をかきあげ周囲を見渡すと、そこにいたのは先程まで敵対していた女性達が転がっている。
その姿は、普通のパンドラへと戻っている。エリザベスのSSSによって、ノヴァになっていた彼女らの核を破壊したのである。
「それにしても、いったい誰がこんな真似を」
「なんだなんだ、ダラシねぇなぁ。それでも俺様の物かよ」
後方から聞こえてくる男性の声。それは、今まで感じたことが無いほどの悪寒を感じさせるものだった。
ユックリ振り向くと、そこに居たのは汚い金髪の青年。
チャラチャラとしたチェーンがいかにも男の軽薄さを物語っている。
「で?あんたが俺のオモチャに手ェ出した女か?」
男が口を開いた瞬間に、エリザベスの体に悪寒が走った。この男と向き合うだけで、気分が悪い。
アクセルで距離を開け、SSSの切っ先を向けた。その瞬間、
「遅えよクソ女」
男の周辺に現れた金色の穴から閃光が走ってり、エリザベスのSSSを破壊した。
本当に一瞬の出来事で、エリザベスでも理解が追いつくのに時間がかかった。
「い、まのは……」
そろりと、背後へと目を向けた。そこには、黄金色に輝く槍と剣が突き刺さっていた。
「たっくよぉ〜、ただのモブは俺様の肥やしになるのが一番いいってことにどいつもこいつもわからないかねえ?」
恐怖が身体を汚染していくのが分かった。男の所有する未確認の武具達は、明らかにボルトウェポンの範疇に収まりきるものではない。
「てなわけで、俺のものになれ」
再び開かれる金色の門。そこから顔を出してくるのは、殺意の塊だ。
「ッ、アクセル‼︎‼︎」
恐怖から逃れるように体を加速させ、一気に拳を叩き込もうと突撃した。
その時だった。
「それは悪手だよ」
その体を横に引っ張る力がエリザベスを捉え、弾き飛ばした。
あまりの衝撃に、意識を飛ばしそうになったが、歯を食いしばって何とか耐える。
「一体、何が………」
目を細め、自分がいた場所へと目を向けた。そこには、地面を深々と抉っている刀剣の数々と、そこに1人佇む黒いボロ切れを纏った人影があった。
「手荒な真似をしてすまない。ただ、君を助けるためだったということは、わかってほしい」
優しい声音で囁かれたエリザベスは、ほんの少し警戒心を解いた。
「誰だてめえ?」
金髪の男が、再び背後に武器を展開しながら威圧する。
それを真正面から受け止めているのは、恐らく男性。先ほどの声色からして、年齢もエリザベスとそう変わらないものである。
「なんと言えばいいんだろうなぁ……」
男性は、困ったような声を出しながら腰に携えてあった日本刀を引き抜き、気怠げに構えた。
そして探り探りの口調で答える。
「通りすがりの化け物……とかかな?」
**************
一方その頃、地下広場では剣戟が響き渡っていた。
イーストの神速に相応しいアクセルが唸り、カズト達を襲う。
目で追い切れる速度ではない。アクセルを使えるカズトやサテラは別だが、ガネッサは別だ。
鎖を展開して網を張っているが、そんなものはいともたやすく打ち抜かれてしまう。
次元が違うとはこのことだ。
だが戦う。
それがカズト達に残された道に他ならないからだ。
だが、カズトの頭の中では、おかしな声が響き続けていた。
今までの鬼の童女のような、戯けたものではない。
機械的な、命令のような声。
繰り返されるその言葉は、まるでノヴァへとかけるフリージングのような強制力があった。
パンドラを、殲滅せよ。
後書き
お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。
受験そのものは比較的早い段階で終了し、無事に大学生へとなれたのですが、いかんせん様々な課題や、大賞などに応募する作品の執筆などで遅れてしまいました。
私は生きています。
途中で投げ出したりはしたくありませんので、どうぞ、これからもよろしくお願いします
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