とある世界の物質破壊≪ディストラクション≫
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Past
火竜から語られる1日
後ろから聞こえてきたのは湊では無く、湊と戦闘しているはずの火竜。
「そうだ、御坂湊は人殺しだ。」
「お兄様…は…?」
「御坂湊は、人殺しはもうこの世にいない。俺が殺したんだからなぁ。」
「うそ……湊…さんが…。」
黒子と佐天さんは信じれないと口に手を当てて座ってしまった。
──目の前のコイツは何て言った?
まだ、湊がその事件を起こしたとは決まっていない。
何故なら6年前は湊は私とずっといたから。
そして湊の両親が死んだ?私の両親は生きてる。
矛盾してるじゃない。
ということは、前の火竜と呼ばれる奴は……
私の兄を殺した、ただの人殺し。
バチバチ…バチバチ…
「あ?」
「まだ、湊がその事件を起こしたとは決まってない……そして6年前は私とずっと一緒にいた、私の両親は生きてる…こんなにも矛盾してる中で…アンタが湊を殺したなら……」
バチバチ…バチバチ…
「私にとって、アンタは兄を殺したただの人殺しよ。」
私は耐えきれず電撃をぶつけた。
バチン!!!
「っ!?」
「火竜?裏のlevel5?復讐?……そんな知らないわよ、お兄ちゃんをアンタは殺した……それだけで十分。」
「テメェ何もんだ……御坂湊がお兄ちゃんだぁ?」
「私の名前は御坂美琴……御坂湊の妹でlevel5第3位『超電磁砲』よ。」
「御坂…!?おい、待てよ…?」
「なに?アンタの話を聞く覚えはな……」
私は火竜の次の言葉に驚愕した。
「御坂湊には義理妹の…はずだが…?」
「は……?」
「まず、俺の復讐相手である御坂湊は本名は違った。御坂という名字は義理の名前だって聞いてるぜ…?」
──湊が……義理の兄……?
私はあまりの驚きで後ずさりした。
「貴方…今度は何を言ってるんですの!?」
黒子が反論するが、私には聞こえなかった。
──湊と私は……義理……血が繋がってない……?
「俺の両親が死んだ研究所爆破事件は、城崎湊が標的であり城崎湊の父親、城崎聖が責任者だ。俺の両親、小林龍と小林凛は城崎湊が父親を殺すために研究所ごと能力で爆発させ殺したんだぞ?」
「た、龍くん…待って話の内容が私も……」
女子生徒も訳が分からないらしく、戸惑っていた。
「城崎湊は原石で父親から化け物扱いされ、唯一自分を人として認めてくれた人も父親に殺されかけたから、自分が消される日に逆に自分を消そうとした奴を殺した、その中に俺の両親も巻き込まれた。だがな、爆破は最後だ、俺も気持ちは分かるけどよ、アイツは……!」
地面を蹴り、炎をいくつも作り地面に放ちながら火竜は話し続けた。
「アイツは、城崎湊はその場にいた研究員を跡形もなくするために力でぶっ潰していった。血だらけで直視出来ないまでにな!俺が最後に見た両親は目の前で八つ裂きにされ、悲鳴をあげ存在自体消されたのが最後だ!」
「それから俺は城崎湊を調べた、そしたら御坂家に匿われてるじゃねぇか。城崎湊は御坂湊だってことがわかったんだよ、だから俺は殺すために強くなった!兄の事をろくに知らねぇ、お前にどうこう言われたくねぇよ!」
──湊の本名は城崎湊で……人殺しで……何よりも、
兄じゃなかった……。
「お姉様…お兄様がそんなこと…!」
黒子は私を落ち着かせようとしているようだが、今の私には聞こえない。
「あぁ……違う違う……!!」
私は頭を抑えて叫んだ。
「湊は…お兄ちゃんは昔から私と…一緒に…いて…お兄ちゃんの両親はママとパパで…6年前は…一緒にずっといて……お兄ちゃんは化け物じゃない…人殺しじゃない…」
「御坂湊は城崎湊で、オメェとは他人なんだよ!」
「違うって言ってるでしょうがー!!」
私は電撃を散らした。
「お兄ちゃんは、お兄ちゃんは私の家族だって言ってるのよ……!」
「そんなに信じれねぇなら、本人に向こうで聞くんだな!」
「うるさいうるさい……アンタは私が……殺す……!」
その時だった、私の頭に手がポンっと置かれ抱きしめられた。
「え……。」
「俺まだ死んでないよ、美琴。」
そう、私の電撃を打ち消して落ち着かせようとしてくれているのは死んだと思われていた湊だった。
「な、なんでお前生きてんだ!?」
「俺を誰だと思ってるんだ、level5第4位が簡単に死ぬわけないだろ。それに、お前は炎だ俺の能力で打ち消せる。」
「それなら……お前をここで殺すまでだ……!」
「黒子、涙子、美琴を頼むよ。」
「お兄ちゃん……私……」
湊は笑って私の頭を撫でた。
「俺の名前は御坂湊、美琴の兄だよ。大丈夫、2人と待っててくれ。」
「うん……」
私は黒子と佐天さんのもとに歩いた。
「ずいぶんと妹が世話になったみたいだな。」
「城崎湊……お前だけはここで殺す!」
「空でやろうか、ここだと迷惑だ。」
そう言った瞬間に火竜は炎で、湊は空気を蹴って空に行った。
「お兄様は大丈夫ですわ。」
「そうですよ、御坂さん!」
「うん……。」
戦闘が終わるのは早かった。
理由は単純で、湊があまりにも強かった。
先程までの火竜の勢いが、空に行った瞬間に変わった。
何故なら、火竜の炎は全て湊の物質破壊で破壊され一方的な戦闘だった。
湊side
「くそがぁぁぁ!」
「俺を舐め過ぎなんだよ、それと。」
俺はまるで弓道でもするかのように、左手で空気で作った弓を持ち、右手で雷の矢を作り出した。
「城崎湊はもう死んだ、俺の名前は御坂湊だ。」
そう言った瞬間、矢を放った。
矢は真っ直ぐに火竜へ一直線に向かった。
俺の物質破壊で能力を使えない火竜にとっては、避けれない攻撃。
「や、やめろ……!」
「残念、やめるつもりなんてねぇーんだ。」
ヒュン!!
矢が当たった瞬間、火竜は落下していった。
「城崎湊……懐かしい名前だな。」
誰かに聞こえるわけでもなく、俺は1人呟いた。
そして、俺も美琴たちのいる場所に戻った。
「お兄ちゃん……。」
「ごめん、心配かけたね。」
「あの…お兄様……。」
「ちょっと待って、飾利聞こえる?」
俺は耳に付いている通信機に向かって話しかけた。
『聞こえてますよ。』
「飾利、こっちに来てくれる?」
『分かりました、今すぐ向かいますね。』
目の前で何をするんだろ…?と言いたげな、美琴と黒子、涙子に微笑みながら携帯を操作する。
そして、ある人物の名前をタップしメールを打つ。
「皆。」
「お兄ちゃん……?」
俺は間をおいてからゆっくりと口を開いた。
「話そうか、城崎湊の事も全てを。」
後書き
遂に過去編だ〜!
普通に考えて湊が火竜に負けるわけない!と思いたい(笑)
城崎湊と御坂湊、過去が遂に話されますね。
今日書けるかな……あ、Twitter始めました!
@Toa4679 又は 叶愛@小説でお願いします!
詳しくはつぶやきで!
では、次回予告!
(前書きの2人は忙しいのでお休みです)
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遂に湊から語られる過去。
城崎湊……ただ普通に大切な人と過ごすことが夢だった。
御坂湊……義理である自分に本物の兄だと言ってくれた妹を守り続けて幸せになってくれることが夢の少年。
地獄だった日々から抜け出し、罪を犯した悲しい少年の過去が明かされた時、まだ終わらないと言うかのように次々と事件も起き始める。
全ての始まりは─────────
あの日からだった。
次回『全ての始まりは。』
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