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第三章

「いいな」
「じゃあ俺もそうするな」
 耕太のその言葉に感じ入った、だから俺もそうすると耕太に言った。
「御前がそうした場合もな」
「ツレか」
「そんなことで縁は切らない」 
 こう約束した。
「そんなことで縁切るとか確かにクズだしな」
「本当のツレが出来る奴じゃないだろ」
「ごっこだな」
 そんな奴が出来るツレなんてものはだ。
「人間嫌いな奴まで堕したら駄目だしな」
「そういうことだな」
「ああ、じゃあな」
 こうしたことを話してだ、そしてだった。
 俺はその娘に告白することにした、けれど耕太はその俺にさらに聞いてきた。
「それでその娘どういう娘だよ」
「ああ、名前とかか」
「どの学部で何回生だよ」
「そういうのもう調べたぜ」 
 俺自身でだ、仮にもコクろうか真剣に考えた相手だした。
「文学部の二回生でな」
「二回だと俺達と同じだな」
「ああ、そうだな」
「学部は違うけれどな」
 俺達は社会学部だからだ、学部は違った。
「それでもな」
「同じ二回か、じゃあ年齢も近いな」
「そうだよな」
 俺達は現役入学だ、それなら相手は同じ歳か浪人なら一年上だ。
「じゃあ歳もそんな感じで」
「丁度いいな」
「それもいいな」
「ああ、それで外見どんなのだ?」 
 今度はそちらの話だった。
「一体な」
「髪の毛は黒のロングヘアで背は一六〇位、目は大きくてはっきりしてて睫毛は長くて童顔で胸は大きい。服はロリータだよ」
 そうしたファッションだ。
「可愛いな、それで名前は金本すみれっていうんだ」
「金本すみれちゃんか」
「知ってるか?」
「いや、何か目立つ外見みたいだけれどな」
 それでもというのだ。
「知らないな」
「そうか」
「ああ、それでその娘にか」
「コクるぜ」 
 俺は耕太に意を決した顔で答えた、月見そばの蕎麦、卵の白身をつゆと一緒にからめたそれをだ。黄身は後でまるごとすするつもりだ。
「そしてな」
「そのうえでだよな」
「受けてくれたらよしでな」
「振らたらか」
「飲むぜ」
 俺は笑って言った。 
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