レーヴァティン
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第五話 神殿でその十一
「起きたか?」
「今な」
英雄もこう答えた。
「起きた」
「そうか、じゃあ今日はどうするんだ?」
「情報収集と分析は終わった」
「なら、だな」
「神殿に向かうだけだ」
「よし、馬も飼ったしな」
「その馬に乗ってだ」
そのうえでというのだ。
「行くぞ」
「馬に乗ったら進むのも速くなるな」
「全く違う」
「だよな、バイクに乗ってる様なものだな」
「それよりは遅いがな」
「けれどそんな感じだな」
オートバイに乗っている、とだ。久志は彼等の世界のことから話した。
「大体」
「やや強引に言うとそうか」
「やっぱりそうじゃねえか」
「強引に言うとだ、とにかく馬に乗るぞ」
「今日からはだな」
「そのうえで行く」
神殿、そこまでというのだ。
「いいな」
「パンシャも連れてだな」
「勿論だ、そしてそのパンシャだが」
ロバのこともだ、英雄は話した。
「御前のものだ」
「俺のか」
「そうだ、御前はこの島に残るな」
「そのつもりだけれどな」
「ならロバもだ」
そちらもというのだ。
「御前のものにしておけ」
「随分と気前がいいな」
「俺はあちらで買う」
東の島でというのだ。
「着いたらな」
「その時にか」
「そうするからだ」
「だからか」
「パンシャは御前のものだ」
「何か悪いな」
「悪くはない、俺が乗っている馬もだ」
それもというのだ。
「御前にやる」
「馬二頭、ロバ一頭か」
「ここでは中々の財産だな」
「ああ、どっちも結構高かったな」
幾度も戦いを経たからこそ買えた、だがその値段はこの時代の物価からしても決して安いものではなかった。
「特に馬はな」
「だからあるとだ」
「一財産でもあってか」
「困らない筈だ」
「それはそうだな」
「餞別とでも思えば思えばいい」
英雄は久志にこうも告げた。
「俺からのな」
「そこは相変わらずだな」
「そうした態度か」
「本当にな、ただそれが御前らしいな」
「そうか」
「ああ、まあとにかく色々なことも聞いてわかって決めたし」
ロバや馬のことまでだ。
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