マイ「艦これ」(みほちん)
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第60話<深海棲艦>
前書き
敵の奇襲攻撃直後、艦娘たちが埠頭に駆けつける。そして比叡は、やはり軽かった。
「それが艦娘や深海棲艦の特長ですね」
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マイ「艦これ」「みほちん」
:第60話<深海棲艦>(改)
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埠頭への攻撃直後、ばらばらと比叡以外の艦娘たちも集まりつつあった。まずい状況だが、もはや仕方がない。
ダッシュで来た割に比叡は全然、息が切れてない。その分、頭が回らないのだろう。
私は他の艦娘が海面を照らしているのを見て彼女に聞いた。
「探照灯はあるか?」
「お任せくださいっ!」
直ぐに、どこかからとも無く探照灯を取り出した比叡はホコリが舞い散る埠頭から港湾内を照らした。
光線は一瞬、海上でうずくまる北上を照らした後、右の方へゆっくりと照射範囲を移動させていく。
「あっ! あれは?」
「!」
その場にいた全員が、目を疑った。
鎮守府港湾部のかなり前の方に腕を組んだ、あの深海棲艦……美保湾で日向や利根と戦った奴が港湾内の海上に居たのだ。
「あわわ……」
いつの間にか側にいた電が私の袖口を掴んで叫んでいた。あまり引っ張るなよ!
「負けないんだから!」
口先だけは達者な暁もいる。
「……」
雷もいるが……やや放心状態だ。
「そいつの周り、敵だよ」
やはり落ち着いているのは響だが。彼女が言う通り照らされていない周りの暗闇には何隻もの敵が、ひしめき合って不気味な赤や青の光が点在している。
大淀さんが近寄ってきて駆逐艦娘たちに言う。
「あなたたち! 全員、会場で待機ですよ!」
「海上で待機……」
響が聞き違えたフリをしている。なるほど、そういう抜け道があったか。
祥高さんたちは、きちんと待機命令は出してくれたようだ。ちょっと安心した。でも軒並み艦娘たちは命令無視して来たようだな。
駆逐艦娘を注意しつつも海上を見てハッとする大淀さん。何となく顔面蒼白だ。
「海中には潜水艦も居るようです!」
やはり艦娘としては地上で敵を迎え撃つのは不安なのだろうか?
「そっかぁ、闇夜に紛れりゃ小っさい鎮守府の港湾内じゃ、あっさりと侵入出来るんやな」
いきなりの呉の発言に別の意味でギョッとした。おいおい呉オジサンちょっと、のん気に構えすぎだよ?
「それが艦娘や深海棲艦の特長ですね」
神戸まで涼しい顔をしている。さすが作戦参謀たちは肝が据わっているな。
(敵に特長というのもかなり気が引けるが)
「まったく当番の哨戒班は何をやっていたんだ?」
私は思わず言った。弱小鎮守府とはいえ敵の侵入を、こうも安々と許したのは問題だ。
「奴らは侵入しただけではない。われわれに発見されることを想定していたのだ」
これは舞鶴だ。
「そうか……そうだな」
そう思うと、無下に艦娘を責められまい。敵が上手なのだ。
彼は続けて言った。
「魚雷は一発のみで、その後、攻撃を敢えて中断して待ち構えて居たのだ」
「どこまでも、ふてぶてしいわね!」
これは暁か。
しかし、あの深海棲艦……その余裕ある態度には我々が、まるで弄ばれたような嫌な気分になる。
その腕を組んだ深海棲艦は黙ったままジッとこちらを見ている。探照灯に照らされた白い肌が、よけいに美しく……もとい不気味に見えた。そうか、これが利根の言っていた『戦うほうがマシ』という睨みあいか。
第六駆逐隊のメンバーは縮み上がって固まっている。
しかし日向たちが戦っている姿を遠目に見たときには私も恐怖心しか感じなかった。
ところがこうして至近距離で『彼女』の妙に透き通った目を見ていると……何だろうか不思議とあまり恐怖心を感じないのだ。
それは他の軽巡や重巡の艦娘たちも同様らしい。そこはやはり駆逐艦よりは上位クラスの艦娘自身が持つ『精神的余裕』というものだろうか?
少し眩しそうな顔をしながらその深海棲艦は私をじっと見詰めた。
さすがに私も恐怖心はあるのだが現場指揮官として目を逸らすわけにはいかない。
(彼女らは本当に我々が敵対すべき相手なのだろうか?)
そんな不可解な想いが湧く。
恐怖すべき、そして憎むべき相手なのに、どこかに共通するものを感じるのはなぜだ?
時間にして僅かだと思うが、まるで数時間その場で互いに睨み合っていた感覚だ。
「勝手はさせません!」
……らしからぬ台詞を叫んだ比叡が沈黙を破った。やっぱりお前か。この軽い突っ込み力は、さすがだ。
白い肌の深海棲艦は私から目を逸らすと比叡を睨んだ。そして笑ったのだろう、口元が少し弛んだ。
「ひええ!」
さすがの比叡も敵に直視されて怯んだらしい。彼女は危うく探照灯を落としかけた。
「お、おいっ!」
比叡よ! 主軸戦艦のくせに敵を目の前にして変な声を出すなって!
皆の士気が下がるじゃないか!
後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
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PS:「みほちん」とは「美保鎮守府」の略称です。
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