| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

歌集「春雪花」

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

319




 春の野に

  出でて想わば

   朝靄に

 浮かぶは侘し

    有明けの月



 空が白み、山の端より朝日が差し始める。

 若草の緑を眺め、彼を想い…一人溜め息をつく…。

 見上げれば朝靄の中、うっすらと月影が浮かび…その消え行かんとする光に侘しさを覚えた…。


 私の想いもまた、彼にとっては些末なものであり…霞み消え行くものなのかも知れない…。



 夜に暮れ

  朝に暮れし

    恋ならば

 わが身の朽ちて

   忘るるものかな



 夜になれば彼が恋しく息をつき…朝になれば彼を想い虚しくなって…。

 昼も夕もまた…こうして彼を想い続けては淋しく、悲しく、愛おしく思い続けるのならば…


 きっと…私は死ぬまで忘れることなぞ出来はしないのだろう…。

 彼への恋心を…。



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧