オズのアン王女
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第十一幕その十三
「乗馬は下手かしら」
「脚が短いっていうのかしら」
「そう思ったけれど」
「そうかしら」
ナターシャは恵梨香のその自信なさげな言葉に目を瞬かせました。
「別にそうは思わないけれど」
「だといいけれど」
「恵梨香は別にね」
神宝も恵梨香に言います。
「脚短くないよ」
「そうだよね、皆背とバランスいいよ」
カルロスは皆の背と脚の長さを比較して見て言いました。
「恵梨香もそんなに短くないよ」
「皆脚はすらりとしてるしね」
ジョージも皆の脚を見て言います。
「短くもないし」
「気にし過ぎかしら」
「ひょっとして日本人は脚が短くて曲がってるとか?」
所謂O脚です。
「その言葉気にしてるの?」
「ちょっとね」
「今そうした日本人かなり少なくなったんじゃないから」
「そうかしら」
「少なくとも恵梨香は普通だよ」
脚の長さも形もというのです。
「そんなに気にすることはないよ」
「そうだといいけれど」
「私もそう思います」
大尉も言います、見れば大尉の脚が一番長い感じです。
「皆さん適度ですよ」
「そうですよね」
「はい、決して短くはないです。むしろ恵梨香さんもです」
気にしている彼女もというのです。
「長い方かと」
「そうですか」
「はい、本当に」
「気にしなくていい位よ」
グリンダも恵梨香に言いました、穏やかな声で。
「皆、恵梨香もね」
「それじゃあ」
「ええ、乗馬の時もそのままね」
「普通に乗れますね」
「そう出来るわ」
「それなら」
恵梨香もようやくほっとしました、脚のことを言ってもらって。そうしたお話をしつつ皆で王宮に戻るのでした。
そしてお昼御飯を待ちますがカリフ王はここでアンに言いました。
「そういえば王女は馬は」
「乗馬ね」
「されているか」
「ええ、牧場でよくね」
「そうなのか」
「身体を動かすことは好きだしこの国もお馬さんが増えたから」
だからだというのです。
「乗馬も楽しめる様になったからね」
「それでか」
「最近は乗馬もしているわ」
「そうなのだな」
「これが楽しいのよ」
「そうか、我々にはないことだな」
ノーム族にはというのです。
「乗馬は」
「ああ、そういえばそうね」
「馬には縁がない」
とんと、というのです。
「我々はな」
「そうね」
「うむ、しかし機会があればな」
「ノーム族の人達もなのね」
「嗜んでみるか」
「何でもチャレンジね」
「その精神でな」
そうしようかというのです。
「そう思った」
「いいことね」
「脚は短いがな」
このことも笑って言うカリフ王でした、そうしたことをお話しながら今はお昼御飯を待つのでした。運命のその時を。
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