ゲート 英雄来たれり
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第二話
前書き
注意:作者は文章能力、Fateの知識が乏しいです。
ゼロside
ッ・・・眩しい。これは、太陽か?
手で影を作り目を開けると、青空が広がっていた。風が頬を撫で意識が覚醒する。身体を起こし周囲を見渡す。何もない草原だった。
「草原ということは、無事に俺は転生・・・ん?」
俺は自分の声に違和感を覚えた。
俺の声おかしくないか? 前世では六十過ぎまでエージェントを続けていたジジィのはずだが、十代後半の男の声だ。
喉を触れた瞬間、冷たい感触があった。手を見てみれば手甲をつけていた。
・・・俺はこんなものつけていたか?
どこかに池か湖はないか探していると、数メートル先に小さな池を見つけた。池まで駆け寄りのぞいてみる。
池に映っていたのは金髪に青い瞳。白と青を基調とした服装に手甲と鎧を身に着けていた。
「FATEのセイバーの格好じゃねぇかッ!?」
誰もいない草原で一人叫ぶ俺! 当然だ! いきなり転生させられて勝手に特典を決められて、それがFATEのセイバーかよ!?
「勝手に転生させるわ人の話を聞かない・・・ったく。一体どういうつもりだあのクソジジイ」
腕を組み毒づく俺。どうしたもんだと考えていると、目の前に何かが落ちた。
? 何だこれ。
拾い上げてみるとそれは封筒だった。差人は・・・転生させた神、クソジジイからだった。これでふざけた内容だったら、マジで殺す。封を切り中身を取り出し広げ内容に目を通す。
そこにはこう書かれていた。
『アホのゼロへ。勝手に転移されて驚いた? ビックリした? ザマーミロー!! ってなわけで特典を説明するわ。お主に付けた特典はFATE/EXTELLAのサーヴァントの能力、セイバーと無銘の能力じゃ。 セイバーの格好にしといたわ。他にもDDFF&FF13の召喚獣もつけといたわ。ど忘れはしたが色々と良さそうな能力を付けといたわ。ほなばいちゃ♪』
・・・特典の内容しか書かれていないしザツ過ぎる。FateとFFは嫌いじゃないが、この世界の事は教えてくれないのかまったく。
『注意1 召喚獣は一日一回しか召喚できんぞ。強力じゃから制限をかけさせてもらったわ。
注意2 この手紙は読み終えた直後自爆する』
「え?」
直後。ボオォォォォンと手紙が爆発した。
ゴホ、ゴホ! ・・・あのジジイ、いつか殺す。そう誓い、俺は草原を歩き出す。
しかし。
「迷った」
草原を出て街道を歩き続けて一時間。人っ子一人出くわさない・・・どういうことだ。ここに人はいるのか? 鳥や動物、魔物? は出てくるが人間には会えていない。
グウゥゥ~。途中で腹の虫が鳴く。そういやメシまだ食ってなかったな。このままじゃ飢え死にだ・・・転生直後に餓死とか笑えんな。
苦笑いを浮かべどこかいいところはないかと探していると、離れた所で土煙が舞っていた。よく見ると馬に乗った30人程の男が女性を追いかけていた。男たちは薄汚れた皮の鎧を身に着け弓に剣を持っていた。
盗賊が集団強姦か?・・・まったく度し難い奴らだ。そう思っていると、盗賊の一人が放った矢が足に突き刺さり倒れこむ。マズい。
その場から駈け出し向かう。
足に弓が刺さり倒れこんだ女性は、激痛に表情をゆがませる。
彼女の名前はペルシア。この世界でキャットピープルという亜人種に分類させる種族だ。でるところは出て引っ込むところは引っ込んでいるスタイル抜群の持ち主である。
彼女は実家から一人で町に向かうところでこの盗賊に出会ってしまった。何人かは父親仕込みの体術で倒せたが多勢無勢。スキを見て逃げ出すことが出来たが奴らは馬に乗っている。
何とか立ち上がろうとした所で、追いかけてきた盗賊に追いつかれた。
「ようやく追いついたぞ女」
薄汚れた格好をした男が馬から降りてきて近づく。下がろうとしたが、盗賊の一人が放った矢が腕に突き刺さる。
「ウッ!!」
再び倒れこむ。血が流れる腕を抑える。それを見た男が弓を放った男に話しかける。
「おい、あんまり傷つけるんじゃねぇよ。亜人とはいえ結構良い体してんだからよ」
「分ってますって親方。楽しんだら俺らにも変わってくださいよ?」
下品な笑みを浮かべる盗賊。情欲まみれの目で見てくる盗賊に嫌悪を表す。帝国に住む貴族は亜人を奴隷にしたりするのが当たり前なのだ。そのため盗賊に捕まればどうなるかは予想できた。
「まぁ、これからたっぷりと可愛がってやるからな!」
ビリっと服を剣で切り裂かれ胸元が露わになる。とっさに腕で隠すが、盗賊どもは興奮した様子で見てくる。
「服の上からでもわかっていたが、結構でかいのな。さて、味見といきますかな」
頭は鼻の下を伸ばし、手を伸ばしてくる。
触れようとしたその時、ペルシアの横を何かが通りぬけて行った。
「グゲェッ!?」
同時に盗賊の男が変な声を上げ吹き飛んでいき盗賊仲間にぶち当たった。ペルシアの前に立ったのは輝く金色の髪に青い服装に騎士と同じ鎧や手甲を付けていた男だ。
男は振り返りペルシアに近づくと「痛いかもしれないが我慢いてくれ」と言い、弓に手をかけ引き抜く。
「ッ!!」
肉が抉れる感触が走り顔をしかめる。直後、痛みが柔らで行く。見れば男の手のひらから光を発し傷口を照らしていた。瞬く間に弓が貫通した傷が治った。
「もう大丈夫だ」
男が着ていた青いマントを自分にかけ、柔らかな笑みを浮かべる男にペルシアは頬が赤くなり胸が熱くなるのを感じた。
「ツゥ・・・! テメェ、何しやがる!!」」
立ち上がった盗賊が鼻を押さえ剣先を向け殺気を放ってくる。それに気づいたゼロが立ち上がり振り返る。
「何かな?」
その声にはペルシアに向けていた優しい声ではなく、無機質な声だった。
「見たことのない服をしているが・・・帝国の者か? それとも正義の味方気取りか?」
「帝国? そんなもん俺は知らんし正義の味方じゃない。ただ、お前らみたいな外道が嫌いなだけだ」
彼女を庇うように立つと、ニヤっと笑みを浮かべる。
「まさか貴様、自分一人だけで俺たちと戦うってのか?」
「そうだが、何か問題あるかな?」
俺がそう答えると、心底可笑しいといった感じで盗賊どもが笑い出す。何を笑っているんだか・・・。
「ハハハハハ! ふざけたことをぬかす男だな。これだけの大人数をたった一人で相手をすると本気で言っているのか? 悪ふざけも体外にしろッ!」
「俺はマジなんだぜ? お前らザコは俺一人で十分だ。早くかかってこいよ」
挑発し手招きすると、憤怒の表情になり襲いかかってきた。
「なら、貴様が死ねーーッ!!」」
そう叫ぶなり槍と剣を持った二人が斬りかかってくる。袈裟斬りから横なぎ、突きと連続で攻撃をしてくる剣戟を躱し顎を蹴り上げる。頭部から落ちた男は、顎が砕けちり死んでいた。
横から突いてきた槍を掴み叩き折り先の方を喉めがけて投げつける。槍は喉を貫き穴を開ける。
「死ねぇーーーッ! グフッ!?」
不意打ちのつもりで背後から襲いかかってきたが、声を出すバカがいるか? 俺は半歩横にずれ腕を掴み地面に投げつけ、緩んだ手から剣を奪い取り喉に突き刺し、隠れて弓を放とうとしている奴めがけて剣を投げつける。剣は高速で回転し、弓矢を持った男の眉間に突き刺さり倒れこむ。
「さぁ。死にたい奴はかかってこいよ」
何だこれは?
盗賊集団のリーダーは、突然と現れた一人の男に次々と倒されていく仲間を見て唖然としていた。
失敗を犯し全てを失った男は、盗賊になった。一人ではあったが徐々に仲間を集め、その人数は五十を超えた盗賊団を作り上げた。
略奪から殺人。今まで多くの悪行を働いてきた。そして今日も良いカモを見つけた。何時も通りに上手くいくはずだった。
なのに・・・たった一人の男に仲間が倒されていく光景を受け入れがたかった。こちらは武器を持ち、尚且つ元騎士団の奴もいる。それなりの戦い方ができる。だが相手は武器を持たず素手で盗賊団をなぎ倒していく。疲労は見られず笑みを浮かべ余裕を見せつけるほどだ。
「お、お頭ぁ!? アイツは強すぎるッ!! まったく歯がたたねぇよ!」
盗賊仲間が泣き声を上げる。今までカモってきた連中は商人または多少腕がある連中だった。ゆえに強い奴らは卑怯な手を使ってでも殺してきた。だがこの男は違う。不意打ちも通用せず、魔法も弓も当たらない。勝てないと悟った盗賊どもは武器を捨て我先にと一目散に逃げ出す。
「おい! 逃げてんじゃねぇ!! 殺されてえ・・・・」
途中、盗賊の頭部がグラリと傾き地面に落ちる。意識が薄れる中で見たのは、迫りくる剣先だった。それが男の最後の光景だった。
ゼロside
二十を超えた当たりからクモの子を散らすように逃げ出す盗賊・・・他愛ない、所詮この程度のか。荷物を捨てていったようだし、必要なものを頂いていくか。
「あ、あの」
俺が荷物をあさっていると、助けた猫女が声をかけてきた。
「何かな?」
「危ないところを助けていただいてありがとうございます」
「ああ、礼はいらない。俺は当たり前のことをしたまでだ」
そう言い再び荷物を漁る・・・っていうか、こいつらマシな物を持ち合わせていないな。良くて剥ぎ取り用ナイフに干し肉と乾燥した固いパン。金はないのか? しょうがない、今はこれで何とかするしかないな。
適当な袋に入れて歩き出したが・・・途中で止め、女性に近づき。
「すまない。どこに町を知らないか?」
道を聞くことにした。情けない。
「この街道をまっすぐでいいんだよな?」
「にゃ。このままいけば夕にはイタルカに到着できるわ」
俺は猫女性、ペルシア助けた後かなり端折った事情を説明したところ。
『じゃぁ私と一緒にイタリカへ行きませんか? ちょうど私も向かっているので』
っと言った感じになり今じゃイタリカを目指している。移動には盗賊が捨てていった馬に乗り向かっている。前世で俺は様々な任務をこなしたおかげで馬の扱いには慣れている。ペルシアは俺の腹部に手を回し乗っている。道中、商人から必要なものを買いイタリカとはどういうものか話を聞いた。代金はペルシアが払ってくれた・・・情けない。
イタリカとは二百年前に領主が商人を集め城壁で町を覆った城塞都市だ。テッサリア街道とアッピア街道の交通の要衝となっていた。しかし帝国と呼ばれる国が覇権を拡大させたため、現在では地方都市といった感じらしい。
他にもこの世界では人種と亜人種の他に、ドラゴンといったファンタジーに出てきそうな種族が多くいるということ。
ペルシアはそこを目指してる途中で運悪く盗賊に出会ってしまったらしい。
・・・しかし、俺が馬に乗るときに手を手を取って乗せると頬を赤く染めていたな。どうしたというのだろうか? よくわからん。それにしてもペルシアは中々いいものを持っているな。
途中、「兄ちゃんいい格好しているのに何にも知らないんだな。どこから来たんだい?」と尋ねられたこともあった。
あのジジィ。まさかこんな世界に転生させるなんて、どういうつもりだ?・・・まったく。
「ところでペルシア」
「はい?」
振り返り改めて彼女を見る。肉食獣みたいな鋭い目に綺麗な顔・・・人間とは違う綺麗さがある。
「・・・やっぱり美人だよな」
「!!」
俺がそう伝えると一瞬で顔を真っ赤に染め背に顔を押し付けてしまった。尻尾が凄い勢いで振られていた。発電できそうだな。そこで会話は途切れ無言のままイタリカを目指す。
イタリカを目指して二日が経過した。
「・・・! あれがイタリカよ」
ペルシアが指差す先には城壁に囲まれた町イタルカが見えた・・・のだが。
「また盗賊か」
門らしきところで盗賊と商人が争っていた。荷馬車から荷物を奪った盗賊が馬に乗りこっちに逃げ出してくる・・・盗賊は二十人余り。逃がすわけにはいかないな。
「投影、開始」
左腕に黒い洋弓、右手に弓を投影し更に周囲に剣を多重投影する。弓を弦につがえ、引き絞り・・・放つ。
矢と剣が凄まじい速度で盗賊集団に向かって飛んでいく。一人の頭部に矢が、剣が体を貫通し他の仲間に突き刺さる。逃げる間もなく盗賊は壊滅した。
弓を消しイタリカに向かう途中でペルシアに尋ねられた。
「あの,ゼロ。今のは魔法?」
魔法ね。Fateの世界じゃ魔術と呼んでいたけど、ここじゃ魔法と言うのか。
「まあな。このことは秘密にしといてくれよ? 面倒事は避けたいからな」
俺がそう答えるとコクっと頷いた。
盗賊の遺体に近づくと血の匂いが鼻を突いた。生臭い。ペルシアも顔をしかめマントで鼻を隠す。動物って人より嗅覚が敏感だからキツイだろうな。
遺体を通りすぎると、門から商人らしき男が数人、槍を持った衛兵が二人近づいてきた。近づくと「少し良いだろうか」と衛兵に声をかけられた。
「あの盗賊はアンタがやってくれたのか?」
「だったら何だ?」
「おお! そうであったか。いや~ありがとう。盗賊の被害が相次いでね、この荷物は盗まれるわけにはいかなかったのだよ。何せ最近は荷物を・・・」
途中、四十過ぎの老人が間に入ってきて俺の手を強く握ってきていきなり話し始めた。誰だこの人・・・。
「この人は被害にあった商人のリーダーさ。この人の商隊はいつも盗賊の被害にあっていてね。今回も運悪く盗賊にあってしまったわけだ」
・・・何か可哀そうな人だな、この人。
「それで前の月の日も教われてな・・・」
しかしずっと喋っているなこの老人、早くイタリカに向かいたいんだが。
「じいさん。悪いがそこまでにしてもらえないか? 今は少しでも被害の後処理を進めたいのだが」
見かねた衛兵が声をかける。老人は「おお、これは失礼した」と言い荷物を取りに行った。やっと終わったか。
「すまないな旅の者。イタリカに来たのか?」
「ああ。宿はどこかにないか」
「宿は入った通りを少し進んだ先に大きな宿がある。そこは旅人に人気がある宿だ」
「情報感謝する。俺はゼロだ」
「礼を言うのはこっちの方だ。盗賊を退治してくれて感謝する。ようこそイタリカへゼロ殿」
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