Blue Rose
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第五十話 入試テストその十
「それ飲むわ」
「じゃあ飲んでね」
「今日は気持ちよく寝るわ」
「じっくり休んで」
「また明日行くわ」
こう言うのだった。
「そうするわね」
「ええ、そうしなさい」
「後は合格発表ね」
「合格していたらいいわね」
「吉報を待ちなさい」
これが優子の妹への今の言葉だった。
「落ち着いてね」
「ここまで来たら」
「そうしなさい、いいわね」
「それしかないから」
「ゆっくりと飲んで食べて」
「寝なさい、お風呂も入るわね」
「今から入るわ」
食事前にというのだ。
「そうするわ」
「それから御飯ね」
「ゆっくりと入るから」
「それで疲れを癒して」
「御飯食べて寝るわ」
「そういうことね、じゃあね」
「ええ、通知が来たらね」
受験のそれがというのだ。
「また連絡するわ」
「そうしてね」
「絶対にするから」
「待ってるわ」
「それで神戸に戻られたら」
「お部屋は空けてあるからね」
優花が長崎にいる間もだ、優子は彼女の部屋はずっとそのままにしている。帰って来るのを待っているからだ。
「すぐに入ってね」
「そうさせてもらうわね」
「そういうことでね、じゃあね」
「発表の日まではもうじたばたしないわ」
「そうしていてね」
「ええ、じゃあお風呂入って来るから」
今からとだ、優花はまたこう姉に言った。
「またね」
「ええ、またね」
言葉で別れてだ、優花は携帯を切ってだった。実際に風呂に入りうどんと焼酎を楽しんでからだった。そのうえで休んだ。
翌日から学校に行って日常生活に戻ってだ、ゆっくりと過ごしているとすぐに合格発表の日になった。その日の午後にだった。優花は担任の先生に呼ばれて告げられた。
「発表来たぞ」
「八条大学の」
「ああ、よかったな」
先生は優花ににこりと笑ってこう言った。
「合格しているぞ」
「そうですか」
「見ろ」
その通知をだ、優花に差し出した。見れば通知は大きなものだった。
「合格だとこうだ」
「大きいんですね」
「不合格だと少しだ」
その通知もというのだ。
「しかしな、合格だとな」
「この通りですね」
「大きい、よかったな」
「はい、じゃあ私は」
「卒業したら神戸に行くな」
「そうします」
笑顔でだ、優花は先生に答えた。
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