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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第三章 X《クロス》
  条件



第9無人世界「グリューエン」軌道拘置所第1監房。

ここに収監される者は、世界から隔離されるほどに凶悪な犯罪者。


彼も、それに漏れることなく入っていた――――――




------------------------------------------------------------





「交換条件?」

「はい。どうやらドクタースカリエッティは我々に協力するにあたって、いくつかの条件を出してきました」

「内容は?」

「それが・・・私たち本人に直接言いたいとのことでしたので、いまだ言ってはないそうです」




その拘置所内の廊下。
そこで、数人の人物が手続きを済ませて目的地に向かって歩いていた。



ティアナ・ランスター
直枝理樹
ギンガ・ナカジマ
ルネッサ・マグナス


そして、彼の生み出した戦闘機人の中で、更生したメンバーで一番年上のチンク・ナカジマだ。





「ふーん・・・スカリエッティが、ねぇ」

「どう思う?チンク」

「私にもわかりかねる。ドクターはこう・・・いろいろとすっ飛んでいる方だったので」

「あはは、まぁね」




と、そんなこんなで話している内に、スカリエッティとの面会部屋につく。


ガチャリ、と扉を開くと、ガラスの壁の向こうには、二人の看守に挟まれて座る天才科学者、ジェイル・スカリエッティが足を組んで座っていた。



「やぁやぁ久しぶりだね!!タイプゼロ・ファーストにチンク!!それに面識はないがそちらも元機動六課のメンバーだった・・・」

「ティアナ・ランスター執務官よ」

「おお、合格したんだね。祝福を述べておこう。ただまぁ、犯罪者(私たち)にとっては喜ばしいことではないかもしれないが」

「そのとおりね」



看守二人が部屋から出ると、そんなことを言って旧来の友人に会ったかのような顔をして話しかけてくるスカリエッティ。

と、そこで視線が初体面に二人に向かった。


「ん?君らは?そっちの方は階級章からして執務官補佐のようだが」

「ルネッサ・マグナス執務官補です」


「僕は直枝理樹。「EARTH」で・・・」

「「EARTH」!!!」


ガタンッ!!


理樹がそこまで言って、スカリエッティが興奮したように立ち上がり、その勢いに椅子が倒れた。

そして、理樹のことをまじまじと見つめて、笑顔でガラスに両手を張りつけた。



「世界が一つになったときはすでに私はここにいたからね。あれから世界がどうなったのかが知りたくて知りたくてたまらなかったんだ!!「EARTH」所属の君ならば知っているだろう?ああ・・・久々の知的好奇心がうずくよ・・・・!!」



「え・・・と・・・そ、それで、「EARTH」所属「薄緑の翼人」直枝理樹です」

「翼人!!いやはやさらには翼人だなんて君らはなんて気前がいいんだい!!私はモニター越しばかりで、ついぞ「彼」には直接会えなかったからね。今すぐにでも君を調べ上げたいよ!!・・・・っと、今日はそんな話ではなかったかな?」



理樹が翼人であることを知り、さらに興奮するスカリエッティだが、一呼吸してから何とか落ち着きを取り戻しす。
椅子を戻し、そこに座って、最初と同じように足を組む。



「取り乱してすまない。それで?君らの話とはなんだい?」

「ええ。でもその前に、あなたが私たちに出す「条件」を教えてくれるかしら?」



今すぐにでも話は聞きたいのだが、それでも油断できないのがこの男だ。
一体何が望みなのかを聞いてからでないとこの男、話が違うと言って何をするかわからないのだ。


「ん?なぁに、大したことではないよ。とりあえず翼人の諸君を調べ上げたいだけさ」


この男としてはまあ普通の欲求だ。
翼人のことを知りたいという知的好奇心はわかる。

しかし


「それはできないね。なんか改造されてしまうだろうし」


理樹がそれを却下した。
自分だけならまだ決定権もあるが、翼人みんなのことを彼一人で決めるだけのことはできない。

まあ無論、自分だけだと言っても断るのだが。


「だろうね。そう返答すると思って、私もこの考えは断念したよ。その代わり・・・」

「代わり?」



「私を外に出してくれ。いや、自由にしてくれというわけではないよ。ただ、一変した世界という物を見てみたいのさ」




「出来るわけないでしょう!!」

「そうかい?私をほんの少し事件に同行させるだけでいいのだよ?もちろん、私の自由を奪ってくれても構わない手錠にバインド、なんでもするがいい。私はただ見たいだけだからね」

「あなたは自分がどれだけの犯罪者だと・・・「ギンガさん、待って」え?」


が、その言葉を理樹が制した。

そして、スカリエッティに近づいて、目と目を合わせた。



「目的はそれだけ?」

「ああ」

「ほかに何かしてやろうと思うことは?」

「ないね。いまのところは」

「本当に外に出てどんなものか見たいだけ?」

「そうさ。翼人である君なら、私の言葉が嘘かどうかはこれで証明されたかな?」


「・・・・・そうだね」



そういって、理樹がティアナの方を向いた。



「よし、彼を出そう」

「理樹!?」

「彼は嘘をついていないよ。それだけは確実だ。僕らに嘘は通じないから」



そう、翼人によこしまな嘘は通じない。
感情を基にする彼らは、それを感じ取ることができる。


まあ、欺く方法もないわけではないが、この状況でそれはないだろう。




「だから彼は本当に外出したいだけだと思うよ?」

「でも・・・彼は犯罪者。罪を償うためにここに入っているのに、出してしまっては意味がないじゃないですか!!!」

「うん、ギンガさんの言うとおり、確かにそう。でも、今起こってる事件を解決するために必要で、そして彼もそれに協力してくれるなら、それは立派な償いじゃない?」

「そう・・ですけど・・・・」

「それに、ぼくらがいるからね。さすがに彼も翼人とこれだけの人数相手に何かやらかそうとするわけもないし。どうする?ティアナさん」

「ん?」


「僕としては、彼を出してもいいと思う。後はティアナさんの承諾さえあれば、僕らの権限で一時的に動向してもらうことはできる」

「・・・・・」



それを聞いて、ティアナが顎に手を当てて考える。

しかし、まあ答えなど最初からこうするしかないのだが・・・・



「わかったわ、条件をのみましょう。スカリエッティ」

「感謝するよ。その代り、約束通りにすべてを話そう」



そうして、条件は満たされ、取引は成立した。



そして、ティアナたちが今回の事件に関して話を始めた。





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「イリヤが襲われた・・・?」

「うん。それで、しっかり狙ってた」

「じゃあ、彼女も標的になるのか・・・・」



「EARTH」本部。



出迎えた一刀にそう言った報告をしながら、連れてきたイリヤを部屋に案内する恋。




これで狙われたのは計八人。



御坂美琴
インデックス
古手梨花
古手羽入
アルルゥ
高町ヴィヴィオ
ルーテシア・アルピーノ
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン



もはや、気づくなという方が難しい。



「全員、高校生に満たない者ばかりだな」

「ああ・・・・年の低い少女ばかり狙っている・・・・」



そういって、狙われたメンバーの書類を見てそう推測をする一刀にクラウド。

もっと力のあるものはいくらでもいる。


陰陽師の血を引く、草壁美鈴
驚異的な再生の能力を持つ、広原雪子
翼人である、神尾観鈴
エースオブエース、高町なのは
最後の夜天の主、八神はやて
神にも等しい力を持つ、涼宮ハルヒ



魂の特異性というならば


ネイティブワームと人間の中間的少女、日下部ひより
英霊であるセイバーは力も望める
偽・聖杯の器たる、間桐桜
「うたわれるもの」との契約をした少女、エルルゥ
太古の魂を宿した巫女、カミュ
太転依の中でも上位に立つ、泉戸ましろに鵺



というラインナップもある。



しかし、それらのモノではなく、彼らが選んだのはいまだ年端もいかない少女たちのみ。




一体どういうことなのか。




「・・・・でも、理由はともかくとして狙われる条件は分かった」

「ああ。この年で力を持つ者はそうそういない。自然と限られてくる」

「あと誰だ・・・?誰が・・・・・・」




そう話しながら、リストを見ていくクラウドと一刀。

保護している少女たちは観鈴が近くにいるので大丈夫だ。
彼女とて翼人。相手が上級アンデットでも、足止めすることは可能だ。



そうしてバサバサと書類をめくっていき、誰かを探す二人。


と、そこでふとクラウドの手が止まった。



「まて・・・・・確か古手梨花は幾度もの輪廻ですでに百年の時を過ごしていたんだったよな?」

「そうだけど・・・それなら羽入ちゃんは千年だぜ?それにそうはいってもまだそこらへんの子と変わらないよ」

「そうだよな・・・だったらこの彼女は・・・・!!!」



ヴィーーーーー!!!プァンプァンプァンプァンプァンプァン!!!!





「な、なんだ!?」

「警報・・・しかもこの音は!!」




そこで、部屋中、否、「EARTH」本部を、警報の音がけたたましく響き渡って行っていた。




「EARTH」の警報には種類がある。



出動
緊急出動
戦艦出動
重体者などの搬送時


そして、この警報は・・・・



「ここの襲撃警報!?」

「一体誰が・・・・いや、というよりこれはまさか(ザザッ)!?」

「観鈴さん!!」


と、そこで観鈴がらの連絡が入る。


現在、ビル内部の保護した少女たちの部屋をアンデットが襲撃し、撃退。
しかし、なおもやってくるアンデットに身動きが取れないそうだ。



「誰かやられたか!?」

『ううん!!大丈夫!!みんな無事だよ!!剣崎さんと左さんはアンデットに向かって行っちゃったけど』

「・・・そうか、なら任した・・・・あの二人なら大丈夫だ!!津上さんとか城戸さんもそっちに行ったらしいから!!」


観鈴と話をしていたクラウドに、朱里から現状を聞いていた一刀が彼らのほうは大丈夫だろうと教える。
しかし、まだ脅威がなくなったわけではない。


『ご主人様!!二つの巨大な反応が観鈴さんのもとに!!』

『照合します・・・・・出ました!!反応、上級。生体反応、ワニに桜です!!』


「!!」

「アイツらの力は危険だぜ?」

「俺たちであっちの足止めをするしかない・・・か」




メキッ・・・ドゴッォ!!




「邪魔だ!!」

「どけぇ!!」


クラウドと一刀が話しているとその瞬間、二体のアンデットが壁を突き破ってこの部屋に突っ込んできた。
ちょうど、向き合っているクラウドと一刀のそれぞれの背後から。


が、クラウドが一刀の、一刀がクラウドの背後から迫ったそいつらを一刀に切り伏せ、消滅させながらその場を出た。



「オレがクロコダイルをやる」

「だったら俺はブロッサム・・・か。行こう!!」




そして、加速。
その場に一筋の蒼青と漆黒の光の跡を残し、二人の翼人は戦場へと向かった。



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「みすずちん・・・・」

「ん?大丈夫だよ。大丈夫。私だって、翼人だもん!」



そういっているのは、部屋の一角に衝撃波のドームでバリアを張る観鈴。
その中にはアルルゥ、インデックス、梨花、羽入が入っており、この状況に少なからず怯えていた。



イリヤは恋と共にこちらに向かう途中だったし、ヴィヴィオはなのはが一緒だ。



おいそれとやられることはないと思うが・・・・・




ドォン!!




「!!!」

「フゥ――――・・・・見つけたぞ。こうも固まってくれているとやりやすくて助かるな」

「・・・・ワニ!!」

「そうストレートに呼ばれると少しへこむのだがな。やるべきことはやらせてもらおう」



観鈴たちのいる部屋の壁を突き破り、クロコダイルアンデットが入室してきたのだ。
それを見て、観鈴がバリアから出て彼女たちを守ろうと立ち上がった。



「観鈴さん!?」

「大丈夫・・・倒せなくても、邪魔することはできるから!!」



そういって、開翼する観鈴。

一点の濁りのない純白が開かれ、神々しさすら感じられるほどに美しい翼人がそこに現れた。



「知っているぞ。貴様は戦闘に向かない翼人であるということはな」

「そうですね」

「ならばこの結果がどうなるかわかっているだろう!!!」




ドウッ!!



そう叫び、クロコダイルアンデットが疾走し、顎をガチガチと鳴らして観鈴に突っ込んでいった。


が、それでも観鈴はその場から動くことなく、翼を大きく開いてそこから衝撃波を噴出、クロコダイルアンデットに命中させた。



「む?ゴッ!?」



その衝撃波は果てしなく、上がっている煙や瓦礫、部屋の壁ごとクロコダイルアンデットを吹き飛ばして「掃除」してしまった。

が、無論倒せるほどの威力はない。
ガラリ、と吹き飛んだ先の瓦礫の中からクロコダイルアンデットが立ち上がり、頭をブンブンと振って観鈴を睨み付けた。



「なるほど・・・戦闘向きでないと言ってもやはり翼人。侮ることはできないということか。やはり聖王教会では逃げて正解だったな!!」



そういって、再度突っ込んでくるクロコダイルアンデット。
それに対し、観鈴は翼の内にいくつもの衝撃波の球をため込んでいき、それをライフルのように打ち放って行った。


その威力、先ほどの衝撃波ほど派手ではないものの侮るなかれ。


一発目ではクロコダイルアンデットの膝は砕け、二発目のは腹を貫通して風穴を開ける威力。



が、それでもまたベルトは砕けることがない。
そこで直接ベルトを狙おうとする観鈴だが、そうはさせまいと、クロコダイルアンデットは走りながらうつぶせに倒れこんでしまったのだ。


そして、その腹が床につく一瞬前に床を踏みしめ、滑空するロケットのように速度を上げてきた。

しかも、顎を開け、無数の牙をむけながら回転までしてくる。



観鈴はとっさにバリアを張ろうとするが、間に合わない。
たとえ張れても、それでは簡単に破られる・・・・!!



「もらっ・・・!!!」

ガキッッ!!

「させん!!!」



しかし、その牙は観鈴に届かない。


観鈴とその無数の牙の間には、巨大な大剣。
クラウドがそれを挟ませることで噛みつかせ、そのままぶん回してクロコダイルアンデットを投げ飛ばしたのだ。



「お・・・っと。ふむ・・・二人目の翼人、か」

「貴様が・・・・」



そういって、向き合う二人。


「クラウドさん、気を付けてください」

「ああ、報告は聞いている。理樹のバリアを破るそうだな・・・・」


そう、こいつの力は理樹のバリアを破るほどのもの。
無論、容易くというわけではないが、脅威であることは変わりない。

実際、先ほど大剣でこいつの攻撃を防いだクラウドの腕も、ビリビリとしびれて軽くさすっているほどなのだから。



「観鈴はそこで彼女らを守っててくれ・・・下手に動かない方がいい」

「うん、そのつもりだよ・・・・」



そうして、クラウドがクロコダイルアンデットに剣を握りしめて切っ先を向けた。



「かかって・・・来い!!!」




------------------------------------------------------------




「邪魔だ!!どけッッ!!」



一方、一刀。




廊下を疾走し、途中で愛紗と星と合流してブロッサムアンデットの元へと向かって行っていた。



「ご主人様!!」

「どうやら相手はなのは殿・・・というよりも、ヴィヴィオのもとに向かっているようだぞ!!」

「ああ・・・・絶対にやらせない!!」



「そうはいかん!!!」



「!?」

「ッォ!?ぐあ!!!」

「ご主人様!!」




が、その途中で黒光りする残像に行く手を阻まれ、一刀が地面を転がった。

それを見て、瞬時に彼を守るように挟み立つ星と愛紗。


そこに現れたのは、人類が生理的に受け付けられない最悪の昆虫の始祖だ。



「こんの・・ゴキブリ野郎・・・・」

「んん~?恐竜時代から生きている大先輩に何言ってんだこの猿のなれの果てがよォ~」



コックローチアンデット。
その速さにおいて最高のものを誇るそいつが、今この場で三人を阻んでいた。



「そんな、朱里の報告には・・・・」

「こいつはコソコソ隠れんのは得意だからな・・・・」

「レーダーをかいくぐって来たのか・・・!!」



「こっから先は桜の大将の持ち場・・・オレはオレでやりたいことがあるんだが、いかんせん早い者勝ちでな。足止めさせてもらうぞ」



どうやら彼らはまず下級アンデットで襲撃をかけてから、上級が侵入して対象である少女に出会ったものがどんどんそのまま狙っていくという計画だったようだ。

つまり彼ははずれだったのだ。



「・・・・愛紗、星。こいつは俺が止める。二人はなのはさんのところに!!」

「しかし・・・」

「大丈夫。こいつの速さは脅威だけど、俺にだって対抗策はいくらでもある。なのはさんのところに向かっているのも上級なんだ・・・・もしかしたらということもある」

「・・・わかりました。行くぞ、星!!」

「応!!」




そうして、愛紗と星が走り出してコックローチアンデットを抜き行こうと走って向かう。


もちろん、そうはさせないと姿がブレほどの高速で二人に襲い掛かるコックローチアンデット。



ガキィ!!


「そうはさせねぇっての!!」


しかし、それは一刀の出した無数の剣で阻まれ、二人は無事にその場を脱した。



「行っちまったか・・・・ま、翼人一人足止めできりゃそれでいいか・・・・」

「足止めで済むと思うなよ?」

「お前がついてこれんならな」

「なめるな」



そういって、一刀の腰が一瞬白く光り、そこにベルトが現れた。
それは、赤いカブトムシ型の機械が取り付けられた、太陽の戦士のベルトだった。




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「冥王イクスヴェリア?」

「そう。それこそこの事件の中核を担う存在さ」



そういって、一通りの情報を聞かされたスカリエッティは言葉を紡いだ。



マリアージュは兵器である。
言われた命令を遂行していくモノ。


その材料は、死体。
戦場において、これほど素晴らしい兵器はない。

死体などそこにはいくらでも転がっており、その数だけ兵隊が出来上がるのだから。


しかも、敗れて破壊されれば身体を燃焼液に変え周囲一帯を炎の海に変える。



あまりに効率的で、人道に(もと)った兵器。



そして、それを作り出し、制御するのが彼の言う、冥王と呼ばれる太古の王だったそうだ。



「古代ベルカの歴代には実に多くの王がいてね。君らも知っている「聖王」や、ほかの有名どころだと「覇王」なんてものいたらしいが」

「じゃあ・・・そのイクスヴェリアが犯人?」

「いや。それは違うだろう。君らの話通りならば、そのための機能はその端末に移されてしまっているようだからね。彼女は生み出しているだけに過ぎない」

「でも・・・なんのためにそいつは・・・・」



「そこで出てくるのが、トレヴィア・グラーゼさ」

「え?」

「彼は私の「祭り」・・・ああ、今では光栄なことにJ・S事件と呼ばれているんだったね。それに参加する予定だったのだよ」




そう、彼はスカリエッティのテロに参加するつもりだった一人だ。
マリアージュの制御装置を持っていたのだから、それは大きな戦力になったに違いない。

古代の遺跡からイクスヴェリアを見つけ出し、そこからマリアージュを知り、制御に成功したのだ。


しかし、その前に彼は死んだ。
殺されてしまったのだ。マリアージュによって。


だがその死に際にマリアージュを全凍結し、冥王も封印していたらしいのだが・・・・



「いやはや、私もマリアージュを使えれば、と思っていろいろと探したのだがね。ついぞ見つからなかったんだよ。この様子だと誰かが見つけたようだが」



とのことらしい。


しかし、マリアージュは戦闘能力こそあるくせに、命令遂行能力は昆虫並みの使えるのか使えないのかわからないような兵器なのだ。
だから古代ベルカでも封印されたのだろうが・・・・


ともかく、何かが原因であろうとも、とにかく冥王が復活して、今回の事件を巻き起こしているらしい。
しかし・・・・


「でも、マリアージュはそのイクスヴェリアって奴のことを知らなかったわ。探している、って言っていたし・・・・」

「ほう。つまりはそれを作り出すのは彼女の意志ではない、という可能性も出てきたね」


「そうね・・・・って、彼女?」



と、そこでティアナが首をかしげてスカリエッティに聞き直した。


ちなみに今ギンガとルネッサ、チンクはスカリエッティを出すための手続きをしに行っていていない。



「おや、知らなかったのい?冥王イクスヴェリアはね、まだ年端もいかない少女の姿をしていると私はトレヴィアから聞いていたがね?まあ、兵器を生み出す彼女が大人だと困るものもいたのだろう」



そう考察するスカリエッティだったが、そんなことよりも理樹とティアナは別の可能性を考えていた。
それはこの事件とは別件だが、決して無視はできないことだ。


「じゃあ・・・・・まさかアンデットは・・・・・!!」

「イクスヴェリアを狙って!?」


「? 何の話だい?私にも詳しく・・・・」



ピーピーピー!!



と、そこにクロスミラージュに連絡が入る、
どうやらスバルからのようだが・・・・





『マリンガーデンで大規模火災発生!!!ティア、私行ってくるね!!』

「スバル!?わかったわ・・・それと・・・」

『ごめんティア!もう行くから!!マッハキャリバー!!』

「ちょっとスバル!!話をちゃんと・・・あぁもうっ!!!」



どうやら大規模火災が発生し、スバルたちはそちらの方へと向かったようだ。

そこでティアナが大事なことを伝えようとしたのだが、あちらはどうも切迫した状況のようで通信はすぐに切れてしまった。



「火災?」

「ええ・・・でもスカリエッティが・・・・」

「私のことはいい。あとからあの三人と一緒に行くさ」


そう言ってくれるのならば、別に遠慮する相手ではない。
ティアナがバリアジャケットを纏い、理樹が彼女を抱えて拘留所から飛び出していく。



向かうは現場。
マリアージュ事件は、これで終わるのだろうか・・・?







to be continued

 
 

 
後書き

さまざまな条件が明らかになりました!!

蒔風
「オリジナルだとドゥーエが死んでるけど、こっちだと生きてるからな。まあいつだったらこういうのを望むだろう」

そう思ってスカリエッティの条件はこうしました。
無論、まったく自由にする気はないですけどねwww


蒔風
「んでもって「EARTH」の襲撃か。あそこよくやられるな」

ってか過去一回しかないだろ。
しかもそれやったのお前だし。


蒔風
「・・・・・記憶にないな」

クラァ



一刀がベルトを出したのは翼人の力!!
こういうこともできるんですよ!!

蒔風
「あれ?それって第二章の最後で俺がやったようなこともできるってこと?」

できるね。
でもあの時、一刀をはじめとしたメンバーはみんな抑え込まれてしまったからどっちにしろお前しかいなかったよ。


蒔風
「そして最後に・・・・・・アンデットはロリコンだったという件」

ハッ!そういえば相川始・ジョーカーも確か・・・・!!!


蒔風
「そういうことか!!」




蒔風
「次回、スバルの熱い救命活動」

人の命は地球の未来!!燃えるレスキュー魂!!
ではまた次回!!!

蒔風
「スバルたちが見てた懐かしいビデオって・・・・」

 
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