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レーヴァティン

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第四話 村で聞くことその五

「あの時の欧州はな」
「ああ、何かととんでもなかったよな」
「食糧事情も衛生事情も悪かった」
「当時の日本よりもだな」
「そうだった、江戸時代でも日本の凶作の時より欧州の豊作の時の方が餓死者が多かったという」
「江戸時代でもか」
「そうだったという」
 こうした話もある、ジャガイモが普及するまでの欧州の食糧事情はそこまで悪かったのだ。
 だが村の畑を見てだ、英雄は久志に話した。
「しかしここにはジャガイモがある」
「それがあるからか」
「食糧事情は遥かにいい」
「中世の欧州よりもか」
「そうだ、あとトマトや唐辛子もあるな」
「そこまであるとか」
「かなり違う」
 これは断言だった。
「特にジャガイモだ」
「これがあるからか」
「食糧事情はいい、そして食糧事情がいいとだ」
「人口も多いしな」
「産業もその分栄え技術もだ」
 こちらもというのだ。
「社会が栄えている分だ」
「いいか」
「魔法もある様だしそういったものや錬金術に偏見がないのなら」
「余計にか」
「いい筈だ」
「成程な」
「では何かと買って行こう、道具屋にでも行ってな」
 こうしてだ、二人は道具屋に行きテントや水を入れて沸騰させるものや非常食等を買った。そして全て買うとだった。
 久志は荷物を背負う為にやはり買ったロバを見つつだ、英雄に言った。
「もうなくなったな、金」
「ぎりぎりで全部買えたな」
「お茶もな」
「お茶が安くて何よりだった」
「コーヒー豆もあったけれどな」
「豆から淹れられないからな」
 このことは英雄だけでなく久志もだ、二人にそうしたスキルはない。
「茶にしたが」
「コーヒーはそうした店で飲むしかないか」
「そうなるな、しかしコーヒーもあるとはな」
「いい世界だな」
「やはりコーヒーを飲まないとだ」
 どうしてもというのだ、英雄はここで。
「何かな」
「ああ、調子が出ない時があるな」
「じゃあ飲みたい時はか」
「そうした場所で飲むとしよう」
「そうだな、じゃあな」
「コーヒーはそうした店で飲んでだ」
 そしてというのだった。
「基本は茶だ」
「栄養補給でか」
「ビタミンのな」
「お茶が一番ってことか」
「柑橘類もいいがな」
 こちらもとだ、英雄は久志に話した。 
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