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『2つの南天』

作者:零那
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『南天』



アナタは、父親の愛人だけじゃなく、父親も憎いと言い出した。
愛人が事故に遭ってから、2人の絆が強くなったと。
父親からも暴力を受けはじめたと...。

もう寒い時期になった。
難を転じる...そう言ってるのを聞いたことがあった。
縁起物だと。

次は南天を666粒集めることにした。
アナタは日に日に傷が増えてく。
痛々しくて泣けてくる。

私は...卑怯なアイツが見えないところだけ傷つける。
だからアナタは私の傷の無い手指を見て羨んだ。

私は、意を決して下着以外の服を脱いだ。
背中一面から内太股、二の腕には、みっちりミミズ腫れが在る。

アナタは私の背中から強く抱きしめてくれた。
アナタの涙が零れたのを背中でシッカリ感じた...。

苦しいよね...でも、私も同じだよって、アナタだけじゃないよって伝えたかった。
共に闘おうって言いたかった。
理不尽で汚い腐った奴に負けたくなかったから。

でも、正直、もう疲れ切ってるよね...。
毎日が限界で、本当はもう既に限界なんてのは通り越してしまってるよね。
解ってるよ、解ってる...。
もう嫌だよね、こんな人生。
こんな世の中、生きてたって何の意味も価値も無いよね。
こっちから見限っても罰は当たらないよね...。


 
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