マイ「艦これ」(みほちん)
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第31話(改1.3)<開戦と狂気>
前書き
突然、美保湾に戦端が開かれた。陸攻が特攻を開始し私は戦争の異常さを痛感した。
「正気の沙汰ではないな」
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マイ「艦これ」「みほちん」
:31話(改1.3)<開戦と狂気>
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陸攻の飛行音に続けて突然、美保湾にドンと言う大きな砲撃音が響いた。この低い音は?
「山城さんか!」
私と祥高さんは執務室を出ると向かいの作戦指令室へ入った。
「駆逐艦『時雨』より入電、敵駆逐艦隊と遭遇、全艦応戦中!」
大淀さんが叫ぶ。
電探を確認した祥高さんが報告する。
「陸攻は、やや飛行ルートをずらしながら現在、美保空軍飛行場への着陸態勢を継続中」
「本気か?」
私は呆れた。
美保湾上空には無数の弾幕が張られている。いや艦娘だけじゃない。境港のお台場や移動式高射砲からも砲撃されていた。海上には水柱と砲声で、かなり白煙が立ち込めている。
「陸攻2機は美保湾上空で右に大きく旋回中、島根半島北側からの着陸を試みる模様。まだ一機が高度を下げながら直線で当初の飛行ルートを維持」
大淀さんが報告する。海上は白煙に覆われ双眼鏡では目視不可能だ。
「陸攻、まだ飛んでるよ」
寛代が呟く。電探の目で見えるのだ。
『痛ァいっ!』
山城さんが無線の向こうで叫んだ。被弾したか。
彼女の部隊は、かなり旗色が悪そうだ。随走する軽巡や駆逐艦からも悲鳴や叫び声が聞こえる。ただ戦闘中は詳細な情報が入らず戦況がつかめない。
「陸攻が落ちた」
「は?」
寛代が呟くと同時にドドンと低い爆音が響く。慌てて窓から海上を見る。美保湾に大きな火柱が立っているのがボンヤリ確認された。窓ガラスがビリビリと震えた。
『陸攻が敵……旗艦に突っ込み爆破。双方……大破、海に沈没』
『パイロットは脱出!』
前線の艦娘たちからの無線連絡が相次ぐ。
だが指令室では誰も沈黙していた。
「私は以前、陸攻が墜落した瞬間を見たことがある」
何気なく呟いた。
「もともと空っぽに近い機体だ。爆装でもしていない限り、あそこまで火柱が立つはずが」
そこまで言って私は、ハッと気付いた。
「まさか自分から突っ込んだのか?」
それに呼応するように艦娘たちから次々と入電する。
『陸攻って、あんなに爆発するもンなの?』
『あれは攻撃用の爆薬を積んでたみたいだな』
『へえ』
やはり最初から、あの陸攻は自爆攻撃をするつもりだった。
「敵旗艦一隻に陸攻を丸ごと一機献上か? 正気の沙汰じゃない」
私は吐き捨てるように言った。
「自爆特攻は大嫌いだ」
「脱出を想定して立案されていたようですが」
祥高さんが補足する。
「もちろん、そうだろう」
そう言いながらも私は憤りで全身がワナワナと震えた。
「前線兵士のことを全く考えていない参謀連中の発案だろう」
「……」
再び沈黙。時折無線で艦娘同士の交信が入る。
私は腕を組んだ。
特攻。
艦娘たちの前では本当に止めて欲しい作戦だ。誰だって特攻隊を見たら明日は我が身と思う。
ところが最前線の異常な雰囲気の中では否定する以前に『私も一緒に特攻しよう!』という気分に陥ることがある。これが一番危険なのだ。
「お前たちは間違っても特攻なんて考えるなよ!」
つい口走る。まさに、戦争(戦場)の狂気を目の当たりにする思いだ。
もう、あまり深く考えたくなかった。
もし立案した参謀が目の前にいたら今の私は躊躇(ちゅうちょ)なく殴りかかっている。
だが私は急に苦笑した。
「それもまた、狂気の一種か」
戦争とは関わる者全ての精神を歪めるものだ。そういう狂気の中で、いかに自分を律し続けるか?
少なくとも帝国海軍は崇高な精神の元で闘うべきだ。また兵士(艦娘)たちを単なる狂信者にしないためにも彼女たちは、きちんと指揮をしたい。それは司令官の戦いでもある。
私は唇をぐっとかみ締めた。
以下魔除け
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後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほちん」とは
「美保鎮守府:第一部」の略称です。
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