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怪獣の来訪

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第二章

「ご理解を」
「そうですか」
「それはおいおいわかりますが」
「今からですね」
「わかっておいて下さい」
「子育てには体力ですか」
「はい、体力には自信は」
 女医はこのことについてもだ、美紗子に問うた。
「大丈夫ですか?」
「学生時代はテニスをしていました」
 美紗子は女医にすぐに答えた。
「中学から大学まで」
「そうですか」
「毎日走ってラケットを持っていました」
「では卒業されてからは」
「そこからは」
 就職して結婚して結婚してからも働いていたがというのだ。
「特に」
「そうですか、そのことは不安ですね」
 就職してから運動をしてなかったことはというのだ。
「ですがそれまでスポーツをされていたのなら」
「体力はですか」
「いいかと、ただ本当にぎりぎりなので」
 三十五歳ではというのだ。
「お気をつけを」
「育児についても」
「お覚悟を」
 女医はくれぐれもと言うのだった、そしてだった。
 美紗子は出産の用意に入った、マタニティ体操をして身体に気をつけ食事にもしっかりとした。そうして遂にだった。
 出産をした、元気な男の子と夫の勇人に言われた。勇人は背は一七三位で黒い髪の左右を短くし上はやや立たせている感じだ。すっきりとした頬に真一文字の口、しっかりとした顎で視線は強く。跳ね上がった感じの見事な眉を持っていて奇麗な額である。身体は引き締まっている。だが年齢は美紗子と同じ位だ。工事現場で働いていてダンスが趣味だ。
 その彼がだ、妻に笑顔で言ったのだ。
「本当に元気で俺そっくりのな」
「男の子なのね」
「ああ、本当にな」
「そう、よかったわ」 
 産まれた子が元気と聞いてだ、美紗子はそのことを喜んだ。
「それは何よりよ」
「よくやったな」 
 勇人は美紗子にこうも言った。
「じゃあこれからは二人でな」
「赤ちゃんをね」
「育てていこうな」
「そうしましょう」
 この時美紗子はこう言えた、だが。 
 退院してから二人で子育てをはじめてだ、美紗子はすぐにだった。
 女医の言った言葉を思い出すことになった、二人の子供の名前はあるプロ野球選手の名前から翔平となったが。
 翔平はやたら泣いた、しかも雷の様な声で昼も夜もだ。それでだ。
 勇人は真夜中に起きてだ、共に息子をあやす美紗子に言った。
「これで三日連続だな」
「そうね」
 美紗子も言う。
「夜泣き凄いわね」
「子供は夜泣きするって聞いてたけれどな」
「こんなに凄いなんて」
「思わなかったな」
「しかもね」
 美紗子は翔平のおむつをチェックしつつ言った。 
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